
IPO株(新規上場株)に興味があるけど、買い方が分からない人は多いです。IPO株は上場前の企業の株を購入できる機会のことです。この記事ではIPO株の買い方や証券会社の選び方、IPO株を買うときの注意点などを解説します。
記事を読めばIPO株投資の基本的なステップを理解し、初心者でもIPO株の購入方法を実践できるようになります。IPO株を購入するためには、リスク管理と戦略を立てたうえで投資を行うことが重要です。まずは証券口座を開設し、IPOのチャンスをしっかりとつかみましょう。
IPO株の買い方

IPO株を買うステップは、次のとおりです。
- 証券口座を開設する
- 目論見書を確認する
- ブックビルディングに参加する
- 抽選結果を確認する
- 購入申し込みをする
- 上場後の取引戦略を立てる
人気銘柄は抽選倍率が高いこともありますが、基本を理解すれば初心者でもIPO株に挑戦できます。
1.証券口座を開設する
IPO株を買うには、証券口座が必要です。複数の証券会社に口座を開設することで、IPO当選確率を上げられます。証券口座の開設はオンラインで申し込みできる証券会社が多く、最短で3営業日程度で開設できます。口座開設に必要なものは以下のとおりです。
- 本人確認書類
- メールアドレス
- パソコンまたはスマートフォン
IPO株の購入を考えるなら、IPO取り扱い数の多いネット証券がおすすめです。ネット証券は基本的に無料で口座開設ができます。入金方法はネットバンキングや銀行振込が一般的です。抽選参加条件は証券会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
NISA口座やつみたてNISA口座ではIPO株は購入できません。一般口座か特定口座を選択する必要があるので注意が必要です。
2.目論見書を確認する
目論見書はIPO株投資をする判断材料として欠かせない資料です。目論見書には企業の事業内容や税務状況、リスク要因など投資判断に必要な情報が記載されています。目論見書の注目ポイントは、以下のとおりです。
- 会社概要と事業内容
- 財務状況と収益性
- 成長戦略と市場分析
- リスク要因
- 資金使途
- 株式情報
- 大株主や役員の情報
目論見書は、証券会社のウェブサイトや企業の投資家向け情報(IR)ページからダウンロードできます。目論見書は、専門用語が多く含まれているため最初は難しく感じます。じっくり内容を理解してから次のステップに進みましょう。
3.ブックビルディングに参加する

目論見書を確認したらブックビルディングに参加します。ブックビルディングとは、IPO株の価格決定と株式の割当を行う工程です。ブックビルディングへの参加方法は、証券会社のウェブサイトやスマホアプリから申し込めます。
ブックビルディングの申込期間は通常3〜5日営業日と短いので、見逃さないように注意しましょう。申し込み時は株価の公開価格は確定していません。仮条件の中から決定されるので、理解したうえで参加しましょう。人気のある銘柄では抽選倍率が高くなります。当選確率を上げるには、複数の証券口座からの申し込みが効果的です。
証券会社によっては、預かり資産額や取引実績などの申し込み条件が設けられているため、事前に確認しておきましょう。
4.抽選結果を確認する
抽選結果は、証券会社のウェブサイトやスマートフォンアプリの画面から確認が可能です。抽選結果は一般的に以下のように表示されます。
- 当選
- 補欠当選
- 落選
当選した場合は、購入申込期間内に購入手続きが必要です。購入申込期間を過ぎると権利が失効してしまうので注意しましょう。補欠当選の場合は、他の投資家が購入を辞退したときに繰り上げ当選となる可能性があります。人気の高いIPO株は応募者が多く、当選確率が低くなる傾向があります。
5.購入申し込みをする

当選通知を受け取ったら購入申し込みをしましょう。購入申し込み画面では購入単位(何株単位で購入するか)を確認し、希望する株数を入力します。申し込み前に、証券口座に必要な資金が入金されているか確認しましょう。資金が不足していると申し込みできない場合があります。
申し込み完了後は証券会社から確認のメールや通知が届くことが多くあります。通知は大切に保管しておきましょう。IPO株の購入申し込みはキャンセル不可のため、慎重に判断してから申し込んでください。申し込みが完了後、上場日になると自動的に口座に株式が反映されます。
6.上場後の取引戦略を立てる
購入したIPO株を、上場直後に売却するか中長期保有するかを事前に決めておきましょう。上場初日は値幅制限があるため、売却できる価格には上限があります。初値売り(※1)を考えている場合は、成行注文にするか指値注文にするかの検討もしておきましょう。
ロックアップ期間(※2)終了後には、株価が下落するリスクがあります。取引判断を行う際は、同業他社や市場全体の動向の比較も参考にしてください。IPO株だけを見るのではなく、業界全体の状況や市場環境も考慮に入れて売買の判断をしましょう。
※1 初値売りとは、上場初日に上場株を売却することです。
※2 ロックアップ期間とは、既存株主が保有株式を売却できない期間のことです。
IPO株を買う証券会社の選び方

IPO株購入では適切な証券会社選びが重要です。証券会社を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 手数料を比較する
- サービス内容を確認する
IPO取扱数の多い会社を選ぶことも当選確率アップにつながります。
手数料を比較する
IPO取引における手数料体系は証券会社によって異なり、主に定額制と比例制の2種類あります。取引金額によってどちらがお得かが変わってきます。IPO株の取引では、手数料の違いが利益に大きく影響するのでしっかり比較しましょう。
定額制は取引金額に関わらず一定の手数料がかかるため、大きな金額の取引ではお得になる傾向があります。比例制は取引金額に応じて手数料が変動するので、少額投資をする場合に最適です。証券会社によっては、新規口座開設者向けに手数料無料キャンペーンを実施していることがあります。
キャンペーンをしている証券口座では、通常時の手数料も確認しましょう。IPOの規模によっても手数料が異なるので注意が必要です。多くの証券会社ではIPO抽選参加は無料ですが、一部では有料の場合があるので避けましょう。
長期投資を考えている場合は、長期保有を考慮した手数料プランがあるか確認すると安心です。
サービス内容を確認する
証券会社を選ぶ際は、以下のサービス内容を確認しましょう。
- 豊富なIPO銘柄を取り扱っている
- 抽選確率を公開している
- オンラインでブックビルディングに申し込める
- 補欠当選制度を導入している
- IPO情報を提供している
取扱数が多い証券会社ほど、魅力的な銘柄に出会える機会が増加します。SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券は多くのIPO銘柄を取り扱っているため、選択肢が広がります。スマホからブックビルディングに申し込めるかどうかも重要です。資金拘束期間の長さも確認しておきましょう。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説
IPO株を買うときの注意点

IPO株を買うときの注意点は、以下のとおりです。
- 購入資金を準備する
- 市場リスクを理解する
- 上場後の株価変動に備える
注意点を理解したうえで、IPO株を購入しましょう。
購入資金を準備する
IPO株を購入するには、最低購入単位(通常100株単位)と公開価格をかけた金額が必要です。想定公募価格と最終的な公開価格は異なることがあるため、想定よりも多めに資金を用意しておきましょう。資金が不足していると抽選自体に参加できない場合もあるため注意してください。
複数の証券会社から申し込むことで当選確率を上げられますが、その分多くの資金が必要となります。購入後の株価変動に備えて、追加資金が必要になる可能性も考慮した資金計画を立てましょう。IPO株は上場直後に価格が大きく変動することがあるため、余裕を持った資金準備が必要です。
市場リスクを理解する

市場リスクはIPO株投資において重要な要素です。IPO株は、一般的な株式よりも市場全体の動向に強く影響を受けやすい点に注意が必要です。市場が下落トレンドにある時期には、どんなに優良企業のIPOでも株価が上昇しないことがあります。市場リスクの要因は以下のとおりです。
- 景気循環や金融政策
- 大型IPOの連続開催
- 政治・経済イベント
- 市場の流動性低下
各リスクに対処するためには分散投資が効果的です。市場の状況を読み、適切なタイミングで投資するようにしましょう。
» 株の買いタイミングとは?投資スタイルに合った分析方法を解説
上場後の株価変動に備える
IPO株に投資する際は、上場後の株価変動に備えておくことが重要です。上場初日に発生する「初値プレミアム」による株価の急騰は、長続きしないことを理解しておきましょう。上場後の株価は、さまざまな要因で変動するため注意が必要です。
IPO投資は高いリターンが期待できる一方で、リスクも伴うことを忘れないようにしましょう。銘柄選びだけでなく、上場後の株価変動を見据えた戦略を立てることで、より安定した投資判断が可能になります。
IPO株投資を成功させるポイント

IPO株投資で成功させるポイントは、次のとおりです。
- 複数の証券会社を利用する
- 長期的な目線で投資する
- セクターや業績を確認する
人気銘柄だけでなく、注目度の低い優良銘柄にも目を向けると当選確率が高められます。
複数の証券会社を利用する
複数の証券会社に口座を開設することで、手間は増えますがIPO株の当選確率を高められます。証券会社ごとに抽選配分や当選確率は異なるので、分散して申し込むことでチャンスを増やせます。証券会社によっては取引実績や預かり資産額によって優遇される証券会社もあります。
複数の証券会社を利用する際は、各証券会社の抽選ルールや配分方法を理解して戦略的に活用しましょう。大手ネット証券を起点に、IPO銘柄の取扱数が多い中小証券会社の口座開設も視野に入れると効果的です。
長期的な目線で投資する

投資は短期間ではなく、長い目で見ることが成功への近道です。IPO株も一時的な値動きに一喜一憂するのではなく、将来の成長性を見据えて投資しましょう。長期投資を成功させるには、企業の本質的な価値や事業内容を調査し、持続的な成長が見込める会社を選ぶことが大切です。
株価が一時的に下がったとしても、投資先企業の基本的な価値が変わっていなければ焦って売却する必要はありません。定期的に、投資先企業の業績や市場環境を再評価する習慣をつけることも大切です。長期保有によって得られる配当や株主優待なども投資判断の材料にしましょう。
セクターや業績を確認する
IPO投資をする際は、企業のセクターと業績に注目することが重要です。業界全体のトレンドと企業の方向性が一致しているか見極めましょう。企業の過去3〜5年の業績推移を把握すれば、安定した成長を遂げているか評価できます。注目するポイントは、以下のとおりです。
- 売上高や営業利益の伸び率
- 財務の健全性
- 主力製品の市場シェア
企業を正しく評価するには、競合他社との差別化ポイントを理解することも大切です。独自の技術やビジネスモデルを持つ企業は、市場での優位性を維持しやすい特徴があります。将来の収益予測や事業拡大計画の分析も行いましょう。成長が見込まれる分野への投資計画がある企業は、長期的な株価上昇が期待できるためおすすめです。
IPO株の最新情報を集める方法

IPO株投資を成功させるには、質の高い情報を効率よく集めることが重要です。具体的な情報収集方法は次のとおりです。
- IPOカレンダーを活用する
- ニュースサイトや情報サービスを使う
複数の情報源を組み合わせれば有望なIPO案件を見逃さず、より確実な投資判断ができるようになります。
IPOカレンダーを活用する
IPO株への投資を成功させるには、新規上場予定企業の情報を把握することが重要です。IPOカレンダーは、新規上場を予定している企業の情報をまとめたスケジュール表です。IPOカレンダーを活用することで、上場予定日や企業名、想定価格、ブックビルディング期間などの重要情報を確認できます。
IPOカレンダーを入手できる場所は、以下のとおりです。
- 証券会社の公式サイト
- 主要経済メディア
- 専門サイト
- 投資アプリ
スマートフォンアプリ版のIPOカレンダーには、通知機能が備わっていることが一般的です。通知機能によりブックビルディング開始日などの重要なタイミングを知らせてくれます。過去のIPO実績や抽選確率も同時に確認できるカレンダーを選ぶと、効率的に投資判断ができます。
魅力的なIPO案件を見逃さないように、定期的にカレンダーをチェックしましょう。
ニュースサイトや情報サービスを使う
魅力的なIPO銘柄を見つけるには、信頼性の高いニュースサイトや情報サービスを活用して良質な情報を収集することが重要です。日経新聞や東洋経済などの経済メディアでは、定期的にIPO特集記事を掲載しています。市場分析や注目銘柄が詳しく解説されているため、投資判断の参考になります。
無料で利用できる情報サービスは次のとおりです。
- 証券会社のIPOニュースレター
- 専門ニュースサイト
- 投資情報ポータルサイト
- 証券会社のアプリやウェブサイト
SNSで投資の専門家をフォローすれば、リアルタイムの情報や専門家の見解を得られます。企業のIR情報やプレスリリースでは銘柄の詳細な分析が可能です。企業の成長戦略や財務状況を確かめることで、確信を持った投資判断ができます。
多様な情報源を組み合わせることで市場の動向をより正確に把握し、良質な投資機会を見逃さない体制を整えられます。
まとめ

IPO株投資は適切な準備をすれば初心者でも始められます。複数の証券口座を開設し、IPOカレンダーを活用して情報収集を行いましょう。目論見書を読み込み、企業の将来性を見極めてブックビルディングに参加することがIPO株投資を成功させるポイントです。
IPO株の当選確率を高めるためには複数の証券会社を利用し、取引実績などによる優遇制度も活用することが重要です。IPO株投資は継続的に参加することで、徐々に成功確率を高められます。IPO株も投資の一種である以上、自己資金管理と適切なリスク管理を忘れないことが大切です。
まずは証券口座を開設し、気になるIPO情報をチェックすることから始めてみましょう。