
- 次にどの銘柄を買うべきか迷っている
- 相場の変動が気になって、買い増しのタイミングを逃している
- リスクを抑えながら着実に資産を増やしたい
投資を始めたころによくある悩みを抱えている方におすすめしたいのが、ドルコスト平均法です。ドルコスト平均法について耳にしたことはあっても、どのような投資手法なのかを知らない方は多いのではないでしょうか?
この記事では「ドルコスト平均法」とは何かやメリット・デメリット、成功のポイントを解説します。記事を読めば日々の株価の値動きに振り回されることなく、賢く資産形成を進めていく方法がわかります。
ドルコスト平均法とは株価変動によるリスクを低減し、感情に左右されずに投資を続けられる強力な手法のことです。まずはNISAなどの非課税制度を利用して、投資信託の少額自動積立を設定することから始めてみましょう。
ドルコスト平均法とは一定の金額を定期的に継続して投資する手法

ドルコスト平均法とは定期的に一定金額で同じ株を購入し続ける投資手法のことです。ドルコスト平均法の基本的な知識を以下の点に分けて解説します。
- ドルコスト平均法の基本概念
- 一括投資との違い
ドルコスト平均法の基本概念
ドルコスト平均法とは株を購入するタイミングを分けることで、1口当たりの平均購入価格をならす投資方法のことです。金融商品の価格は常に変動するため、同じ金額で定期的に買い続ける場合、時期によって購入量が変わります。
毎月1万円ずつ同じ株を買う場合、株価が100円の月は100口買えますが、200円に値上がりした月は50口しか買えません。ドルコスト平均法では購入のタイミングを分散させることで、一番高い値段で多く買ってしまう「高値掴み」のリスクを減らせます。買いどきに悩む必要がない点もドルコスト平均法の大きな特徴です。
一括投資との違い
ドルコスト平均法と一括投資の最も大きな違いは、投資のタイミングと回数にあります。一括投資はまとまった資金を一度に投じる一方で、ドルコスト平均法は定期的にお金を分けて投資する手法です。投資のタイミングの違いは相場の状況に応じた成果や精神的な負担などの違いをもたらします。
価格が長く上がり続ける相場では最初に全額を投資する一括投資を選ぶと、大幅な利益獲得が可能です。価格が変動しやすい相場では、ドルコスト平均法の方が平均の購入価格を抑える効果があります。投資対象や目的によって、適した投資方法を選ぶことが株式投資による資産形成の鍵です。
ドルコスト平均法のメリット

ドルコスト平均法のメリットは以下のとおりです。
- リスクを軽減できる
- タイミングを選ばず始められる
- 少額から始められる
リスクを軽減できる
ドルコスト平均法のメリットは投資における価格変動のリスクを小さくできる点です。投資するタイミングを複数回に分けるため、一番高い値段でまとめて買ってしまう「高値掴み」が避けられます。一定の金額で購入し続けるドルコスト平均法を選べば、平均購入価格の低減が可能です。
株価の値動きに一喜一憂せず済み、精神的負担を軽減できる点もドルコスト平均法のメリットです。ドルコスト平均法は価格変動の影響を抑えつつ、長期的な視点で資産を育てていきたい方に適しています。
タイミングを選ばず始められる

ドルコスト平均法を利用すると、投資を始めるタイミングで悩む必要がありません。決まった日に決まった金額を買い続けるため、難しい相場の分析や専門的な知識がなくてもドルコスト平均法を始められます。
買いどきに悩んだ結果、先延ばしにして機会損失をすることは投資でよくある失敗の一つです。ドルコスト平均法ならいつ投資を始めても安定的な結果を得やすいため、先延ばしを防ぐ助けとなります。
市場が下落しているときは特に投資をためらいやすくなる傾向があります。ドルコスト平均法では安いときに多くの口数を自動で買えるため、将来的な価格回復の恩恵を受けやすくなる点もメリットです。
少額から始められる
少額からでも投資が始められる点もドルコスト平均法の魅力です。大きな資金を準備する必要がないため心理的な負担が少なく、お試し感覚で始められます。多くの金融機関では以下の少額投資のサービスが用意されています。
- 投資信託の積立
- 単元未満株(ミニ株)
- クレジットカード積立やポイント投資
ドルコスト平均法により少額で複数の銘柄にコツコツ投資すると、リスクを分散させながら賢い資産形成ができます。
ドルコスト平均法のデメリット

ドルコスト平均法のデメリットは以下の3点です。
- 手数料の負担が大きくなる可能性がある
- 短期での投資には向いていない
- 相場動向による損失のリスクがある
手数料の負担が大きくなる可能性がある
ドルコスト平均法で定期的に投資を続けると、取引のたびに手数料がかかる可能性があります。金融商品や利用する金融機関によっては投資する都度、以下の手数料が発生します。
- 個別株の売買手数料
- 投資信託の購入時手数料
- 少額積立の最低手数料
- 外国資産の為替手数料
手数料が多くかかると投資の利益が減ってしまいます。ドルコスト平均法を始める前に手数料の負担についてよく確認しておきましょう。
短期での投資には向いていない

ドルコスト平均法は時間をかけるタイプの投資戦略であり、短い期間で大きな利益を出すことには向いていません。ドルコスト平均法は価格の変動リスクを分散できるメリットがある一方で、投資元本を増やすスピードは緩やかです。
相場が上がり続ける金融商品の場合は一括投資のほうが短期間に大きな利益を得られる可能性があります。短期的な値上がりを狙う投資をしたい方はドルコスト平均法以外の戦略がおすすめです。
相場動向による損失のリスクがある
比較的安定的な投資戦略であるドルコスト平均法でも、相場の状況によっては損失を被るリスクがあります。ドルコスト平均法とはあくまでも購入価格を平均化する手法であり、投資した元本が保証されるわけではありません。株価が下がり続けて回復しない相場では、ドルコスト平均法で買い増しを続けると損失額が大きくなります。
投資期間の終わりに価格が暴落すると、積み上げてきた利益がなくなって元本割れする恐れもあります。ドルコスト平均法でも相場動向に左右される側面があり、利益が確実に保証されている戦略ではないことを理解しておきましょう。
ドルコスト平均法に適した投資対象や制度

ドルコスト平均法に適した投資対象として以下を解説します。
- 投資信託
- 株式投資
- 外貨預金
- iDeCoやNISA
投資信託
投資信託は少額から購入できるため、毎月決まった金額を積み立てやすく、ドルコスト平均法と相性の良い投資対象です。投資信託は1つの商品で世界中の株式や債券に分散投資でき、値下がりのリスクを抑えやすいメリットもあります。多くの証券会社では投資信託の自動積立設定ができ、感情に左右されない機械的な投資が可能です。
投資信託の商品には全世界株式(オルカン)やS&P500など、長期的な成長が期待できる商品も豊富にあります。投資信託で得た分配金を再投資すれば、複利の力を生かして効率の良い資産形成ができます。ドルコスト平均法のメリットを最大限に生かせる仕組みが整っている点で、投資信託はおすすめの投資対象です。
» 投資信託とは?種類やメリット・デメリットを解説!
株式投資

株価が常に動いている株式投資では、ドルコスト平均法を使うとリスクを抑えた投資ができます。株式投資でドルコスト平均法を実践する方法は主に、株式累積投資(るいとう)と単元未満株(ミニ株)の2つです。
株式累積投資は証券会社のサービスを利用し、毎月決まった金額で自動的に特定の株を買い付ける方法です。単元未満株は毎月自分で決めた日に、一定の金額で株を少しずつ購入していきます。
個別の会社以外に、日経平均株価などの指数に連動するETF(上場投資信託)も株式と同じように取引ができます。将来的な成長が期待できる銘柄や、安定して配当金がもらえる高配当株などはドルコスト平均法と相性が良い投資対象です。
外貨預金
外貨預金でドルコスト平均法を活用すると、為替レートの変動によるリスクを抑えられます。為替レートは常に変動しているため、一度に大きな金額を両替すると損をする可能性があります。ドルコスト平均法を使えば円高のときには多く、円安のときには少なく外貨を購入するため、購入価格の平均化が可能です。
資産を外国の通貨に分けることで、日本円の価値が下がったときのリスクに備えられる点も外貨預金のメリットです。日本よりも金利の高い国の通貨で預金をすれば、金利の差からの利益も得られます。外貨預金は銀行で毎月少額積み立てができ、投資の経験が少ない方でも手軽に始められます。
外貨預金をする際は両替手数料の負担や、日本円に戻したときに元本が減るリスクがある点に注意しましょう。
iDeCoやNISA
iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は税金の優遇を受けながらドルコスト平均法を実践できる国の制度です。iDeCoやNISAの制度を通じて、投資信託や株式などに積立投資を行います。
iDeCoは支払った掛金が当年の所得から差し引かれるため、所得税や住民税の負担を軽くできます。原則60歳まで引き出せないため、ドルコスト平均法により長期的な視点で積立を続けたい方はiDeCoが適しています。NISAは投資で増えた利益が非課税になるため、複利の効果を活かして効率良く資産形成を目指せる点が魅力です。
iDeCoとNISAのどちらの制度も金融機関で自動積立の設定が可能です。投資初心者でも手間をかけることなく計画的にドルコスト平均法を実践できるため、おすすめの制度といえます。
ドルコスト平均法を成功させるポイント

ドルコスト平均法を成功させるポイントは以下の3点です。
- 相場の動きに惑わされない
- 自動積立機能を活用する
- 「やめどき」を見極める
相場の動きに惑わされない
ドルコスト平均法を成功させるためには日々の相場の動きに心を乱されないようにしましょう。投資を始めると価格の上下が気になってしまうものです。
価格が下がると不安で売りたくなり、逆に上がると焦って予定以上に投資したくなる場合があります。しかし、一時的な感情で行動すると「安定性」というドルコスト平均法の最大のメリットが得られなくなります。ドルコスト平均法を行う際は、長期的な資産づくりが本来の目的であることを忘れないでください。
心を落ち着かせるために値動きを過度にチェックしないことがおすすめです。最初に決めた「定期的に一定額を投資する」というルールを淡々と守ることがドルコスト平均法の成功の鍵です。
自動積立機能を活用する

証券会社の「自動積立機能」を活用すると投資をより簡単に、かつ計画的に続けられます。自動積立機能は一度設定すれば毎月決まった日に決まった金額を自動で買い付けてくれるため、感情的な迷いや買い忘れを防げます。自動積立機能はドルコスト平均法の「定期的・定額」というルールを守るうえで役立つサービスです。
「やめどき」を見極める
ドルコスト平均法を成功させるには投資の「やめどき」をあらかじめ決めておくことがとても大切です。出口を決めずに投資を続けると利益を確定させるタイミングを逃したり、大きな損をしてしまったりする可能性があります。以下のタイミングを「やめどき」の目安にできます。
- 目標金額を達成したとき
- ライフイベントで資金が必要になったとき
- 投資方針を変更するとき
- 投資対象への不安が高まったとき
- 損失許容額を超過したとき
ドルコスト平均法を実践するうえで自分なりのルールを設けておけば、相場に変動があっても冷静な判断ができます。
ドルコスト平均法の注意点とリスク管理

ドルコスト平均法の注意点とリスク管理について以下の点に分けて解説します。
- 投資目標と期間を設定する
- 定期的な見直しと調整を行う
投資目標と期間を設定する
ドルコスト平均法を成功させるには具体的な投資目標と期間の設定が欠かせません。目標が曖昧だと、相場の変動に一喜一憂してしまい、長期的な視点を保つことが難しくなります。以下は具体的な目標の例です。
- 目的:子どもの大学進学資金
- 期間:10年間
- 金額:500万円
目標が決まれば投資のために毎月いくら積み立てれば良いかを逆算できます。証券会社のウェブサイトなどにある投資シミュレーションツールを使えば、ドルコスト平均法の目標達成に必要な積立額を簡単に把握できます。設定した投資期間の長さによってリスク許容量を考えることも忘れないようにしましょう。
定期的な見直しと調整を行う
投資を始めてからしばらく経つと、経済状況や生活環境が変化する可能性があります。ドルコスト平均法で確実な利益を得るためには、定期的な見直しと調整が不可欠です。年に1回程度のタイミングで以下の見直しをしましょう。
- 資産バランスの確認
- 保有商品の見直し
- 積立額の見直し
定期的な見直しと調整を行えば、市場や生活の変化に柔軟に対応でき、ドルコスト平均法の着実な目標達成を目指せます。
長期的な視点でドルコスト平均法を賢く活用しよう

ドルコスト平均法とは一定金額で同じ投資商品を購入し続けることで、相場変動リスクを抑える投資戦略です。ドルコスト平均法を成功させる鍵は長期的視点です。市場の一時的な価格変動に左右されず、淡々と積立を継続することで複利効果を最大化できます。
ドルコスト平均法を使えば価格下落時に多くの資産を安く購入できます。NISAなどの非課税制度の活用や資産の分散投資とドルコスト平均法を組み合わせれば、より効果的な資産形成が可能です。定期的にライフステージの変化に応じた見直しを行い、ドルコスト平均法を賢く活用して長期的な資産形成を目指しましょう。