
株式投資を始めたばかりの個人投資家にとって、配当金は魅力的な収入源の一つです。しかし、配当金がいつ受け取れるのかわからず、不安を感じている人は多くいます。この記事では、株の配当金に関する基礎知識から受け取り時期、税金の扱いまで詳しく解説します。
記事を読めば、配当金の受け取り時期や方法、税金の扱いについて理解でき、効率的な投資が可能です。配当金に関する疑問を解消し、受け取った配当金を最大限に活用しましょう。
株の配当金の基礎知識

株の配当金の基礎知識について、以下を解説します。
- 企業が配当金を支払う理由
- 配当金を受け取るための条件
企業が配当金を支払う理由
企業が配当金を支払う理由は、主に株主への利益還元と企業価値の向上です。株主の長期保有の促進や、財務健全性と成長をアピールする狙いもあります。株価の安定化や、投資家からの信頼の獲得も期待しています。
配当金の支払いは、企業が株主に対して感謝の気持ちを示す一つの方法です。企業が配当金を支払うと、株主と良好な関係を構築でき、資本市場での評価が高まります。企業の社会的責任の一環であり、結果として株主資本コストの低減にもつながります。
配当金の支払いの有無や金額は、企業の財務状況や成長戦略によりさまざまです。安定した配当の継続は、企業の健全性と将来性を示す指標になります。
配当金を受け取るための条件
配当金を受け取る条件は、以下のとおりです。
- 株主名簿への記載
- 権利確定日の時点で保有
- 最低投資単位以上の保有
- 支払対象の株式種類を保有
株主名簿は、会社の株主であることを公式に認める名簿です。権利確定日(基準日)までに株を持っていないと、希望する期の配当金をもらえません。最低投資単位(単元株)については、単元株未満の保有でも配当金を受け取れる場合があります。ただし、議決権がないなどの制限がある点には注意が必要です。
保有する株式の種類も重要なポイントです。普通株と優先株では扱いが異なるため違いを理解しておきましょう。株主優待と配当金は条件に違いがあるので、混同しないよう注意してください。
» 株の配当に関する基礎知識から高配当銘柄の選び方まで解説
株の配当金はいつ支払われる?期日をもとに解説

株の配当金の支払い日は、以下を基準に考えます。
- 権利確定日
- 配当金支払い基準日
権利確定日
権利確定日は、株主が配当金を受け取る権利を獲得する重要な日です。確定日に株主名簿に記載のある人だけが、配当金を受け取れます。権利確定日は、一般的に株主総会の3営業日前に設定されます。多くの企業では、3月末決算の場合、9月末と3月末が権利確定日です。
1年に1回だけ配当を行う企業の場合は、3月末のみが権利確定日に設定されます。投資家にとって、権利確定日の把握は重要です。確定日以降に株を購入しても、希望する期の配当金は受け取れないためです。配当金を確実に受け取るためには、権利確定日までに株を購入しましょう。
確定日の翌日から新しい権利付き株価に変わります。株価の変動に注意してください。
配当金支払い基準日
配当金支払い基準日とは、企業が株主に対して配当金が支払われる日です。株主名簿に記載される株主に対して、配当金が支払われる基準になります。通常、基準日は年1回または年2回設定されます。多くの企業では3月末と9月末に設定されていますが、企業によってさまざまです。
年4回の配当を行う企業もあるため、投資先の企業の情報をよく確認しましょう。配当金支払い基準日は、一般的に決算期末から3か月程度で設定されます。対象の日に配当金の具体的な金額が決定します。権利確定日と同じ日付になる場合も多いので、両方の日程を把握しましょう。
配当金支払い基準日の確認は、企業のIR情報や証券会社の情報を参考にしてください。
企業による配当金支払いスケジュールの違い

企業の配当金支払いスケジュールは、四半期や半期、年1回、不定期など頻度と時期に違いがあります。企業により異なる理由は、決算期や業界特性、企業規模、経営戦略などが影響するためです。投資家にとって、支払いスケジュールは欠かせない情報です。
一般的に、安定した業績の大企業は定期的な配当を行う傾向がありますが、成長企業では配当よりも事業拡大に資金を回すケースもあります。
各企業のIR情報で確認できますが、変更の可能性があるので定期的にチェックしましょう。
【手段別】株の配当金の受け取り時期

株の配当金の受け取り時期は、受け取り方法により異なります。代表的な以下の方法を解説します。
- 銀行振込
- 郵便振替
- 証券口座
銀行振込
銀行振込は、株の配当金を受け取る最も一般的で便利な方法です。選択すると、配当金支払日の当日に、指定した銀行口座に直接入金されます。銀行振込のメリットは、最も早い受け取りで手数料が不要な点です。確実で安全なうえ、入金確認の簡単さも挙げられます。
銀行振込を利用する際は、振込先の口座情報の登録が必要です。口座情報に変更がある場合は、株主名簿管理人に連絡しましょう。銀行振込は、大手企業や安定した配当を行う企業など、多くが採用する支払い方法です。株主の手間が不要で、確実に配当金を受け取れる点が魅力です。
郵便振替

郵便振替での配当金の受け取りは、銀行振込と比べて時間がかかります。郵便局の口座を使いたい人には便利な方法です。配当金を受け取る流れは、以下のとおりです。
- 振替払出証書の送付
- 郵便局での現金化
- 3か月以内の受け取り
送付された振替払出証書を持参して、郵便局で現金化します。3か月を過ぎると、株主名簿管理人への連絡が求められます。手数料が必要になる場合もあるため、事前に確認しましょう。受取人が指定した郵便局でのみ換金できるので、証書の紛失には十分注意してください。
郵便振替は、株主が選択した場合のみ利用できる方法です。
証券口座
証券口座での配当金受け取りは、最も簡単で便利な方法です。証券会社の口座に自動的に入金されるため、特別な手続きは必要ありません。通常、権利確定日から1〜2か月後に配当金が入金されますが、証券会社によって入金日が異なります。
メリットは、口座に入金された時点で配当金の確認が可能で、複数銘柄の配当金の管理が楽になる点です。確認方法は、証券会社のウェブサイトや取引明細で手軽に行えます。再投資プランがある場合は、自動的に株式購入に利用できます。証券口座による受け取りは、投資家にとって最も手間のかからない方法です。
配当金の管理が簡単で投資活動に集中できる、おすすめの選択肢です。
受け取った株の配当金にかかる税金と控除

受け取った株の配当金にかかる税金と控除について、以下を解説します。
- 配当金に対する税金
- 配当控除
配当金に対する税金
配当金に対する税金として、配当所得には20.315%の税金がかかります。内訳は以下のとおりです。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
上場株式の配当金は、申告分離課税か総合課税から選択が可能です。申告不要制度を利用すると確定申告が不要となり、証券会社が源泉徴収を行います。配当控除制度を利用すると、一定額の税額控除を受けられます。控除率は、大口株主で10%、中小口株主で5%です。
非上場株式の配当金に関しては、総合課税のみが適用されます。外国株式の配当金の場合、日本と外国の両方で課税される恐れがあります。ただし、確定申告の際に外国税額控除を適用できる場合もあるため、証券会社などに確認してください。
税金への理解を深めて、自分の投資状況に合わせた対応をしましょう。不安がある場合は、税理士や証券会社への相談も検討してください。
» 株の配当金にかかる税金をわかりやすく解説!
配当控除
配当控除は、個人投資家の税負担を軽減する制度です。配当所得に対する所得税と、住民税の一部が控除されるのが特徴です。配当控除の仕組みは、大口株主と小口株主で異なります。大口株主の場合、所得税の10%と住民税の2.8%が控除の対象です。一方、小口株主は所得税の5%と住民税の1.4%が控除されます。
上場株式の配当金のみが対象で、確定申告により控除が適用されるため注意してください。控除の上限額は、所得税・住民税の課税総所得の金額である点にも気を付けましょう。配当控除を受けるには確定申告が必要です。手続きにより実質的な税負担が軽減でき、利益を残すための有効な手段です。
株の配当金と株主優待の違い

株の配当金と株主優待の違いについて、以下の2点を解説します。
- 基本的な違い
- 取得条件の違い
基本的な違い
配当金と株主優待の違いを以下にまとめます。
- 配当金
- 企業が得た利益の一部を株主に分配するお金です。株式数に応じて定期的に支払われます。現金で受け取りが可能ですが、課税対象です。
- 株主優待
- 企業が独自に提供する商品やサービスを指します。保有株式数や保有期間に応じて、年1回や半年に1回などの頻度で提供されます。現金以外の形で提供され、一般的に非課税です。
2つの違いを理解すると、投資戦略を考える際の基準になります。どちらを重視するか、個人の投資目的や財務状況で判断しましょう。
取得条件の違い
株の配当金と株主優待には、取得条件にも違いがあります。配当金は、株式を1株でも保有すれば自動的に受け取りが可能です。一方、株主優待は企業が独自に設定した条件を満たす必要があります。配当金はすべての株主に平等に支払われますが、株主優待は一定数以上の株式保有が条件です。
配当金は株式数に応じて増加しますが、株主優待は保有株式数に関わらず一定です。受け取り方も異なり、配当金は主に現金で支払われますが、株主優待は商品やサービスの形で提供されます。投資の経験が浅い場合は、少額で始めやすい配当金からスタートするのがおすすめです。
株の配当金の受け取り時期に関するよくある質問

株の配当金の受け取り時期に関する、よくある質問をまとめました。配当金の受け取りに悩んでいる人は参考にしてください。
- 受け取りを忘れた場合どうなる?
- 配当金はどのくらいもらえる?
- 受け取りに必要な書類はある?
受け取りを忘れた場合どうなる?
配当金の受け取りを忘れた場合、企業が4年間保管するのが一般的です。受け取り期間を過ぎると、企業の収益として計上されます。忘れた場合は以下の流れで処理が進みます。
- 4年間は企業が保管
- 4年経過後は企業の収益に変更
- 時効成立前であれば請求可能
証券会社経由で受け取る場合は、自動的に口座に入金されるため忘れる心配はありません。ただし、銀行振込や郵便振替の場合は受け取り期限に注意が必要です。受け取り忘れを防ぐには、配当金振込指定や証券口座での受け取りがおすすめです。
配当金はどのくらいもらえる?

配当金の金額は、一般的に配当利回りを基準に比較します。計算方法は、1株当たりの年間配当金を株価で割り、100をかけた値です。日本企業の平均的な配当利回りは2〜3%程度です。高配当株と呼ばれる銘柄では、4〜5%以上の配当利回りを持つ銘柄も存在します。
配当金額は、企業の業績や経営方針、保有株数、投資期間などで変動します。安定した配当の企業もあれば、業績に応じて変動させる企業などさまざまです。投資金額が大きいほど、受け取る配当金の総額も増加します。長期的な株式の保有により複利効果が得られ、さらに大きな配当金を生み出します。
受け取りに必要な書類はある?
配当金を受け取るためには、以下の書類や準備が必要です。
- 身分証明書
- 配当金領収証
- 印鑑
- 口座情報
- 委任状(代理人の場合)
身分証明書は本人確認のためで、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどが該当します。受け取りの証明として配当金領収証が必要になるため、必ず持参しましょう。受け取り方法によっては、印鑑が必要になる場合があります。銀行振込を希望する場合は、振込先の口座情報が必要です。
代理人が受け取る場合は、委任状を用意します。記載する内容は、委任者(株主)や受任者(代理人)の情報、委任内容などが必要です。不明な点があれば、証券会社や企業の株主窓口に確認しましょう。
まとめ

株の配当金は企業からの利益還元であり、権利確定日に株主であることが条件です。支払い時期や金額は企業によって異なりますが、年に2〜4回支払われます。受け取り方法には、銀行振込や郵便振替、証券口座があります。
配当金は課税対象ですが、配当控除による税負担の軽減が可能です。株主優待とは異なり、現金で受け取れるのが特徴です。受け取りを忘れた場合でも、時効まで請求できます。配当金の金額は企業によってさまざまで、受け取りに必要な書類は一般的に不要です。
配当金に関する知識を活用し、投資の幅を広げて資産形成につなげましょう。
» 自分に合った戦略を見つける!株式投資の始め方と注意すべきリスク