
株式投資は魅力的な資産運用方法ですが、初心者にとっては複雑で難しく感じられます。すでに証券口座を持っていても、次のステップに進むのは簡単ではありません。この記事では、株式投資の基礎知識から始め方、メリット、リスクを抑えた投資方法まで幅広く解説します。
本記事を読めば、自信を持って次の投資ステップに進め、より効果的な資産運用の方法を見つけられます。株式投資を成功させるには、基礎知識を身に付け、自分に合った投資戦略を立てることが重要です。リスクを理解して適切な分散投資を行い、長期的な資産形成を目指しましょう。
株式投資を始める前に知っておきたい基礎知識

株式投資を始める前に、以下の2つの基礎知識を身に付けることが重要です。
- 株式の仕組み
- 株式投資の目的
株式投資の基礎知識をもとに、投資への理解を深めましょう。
株式の仕組み
株式は企業の所有権を表す証券で、購入すると企業の一部所有者となることが可能です。株式の価格は、市場での需要と供給によって決まります。企業の業績や将来性が良好だと判断されると、多くの人が買いたいと考えるので株価が上がります。逆に、業績が悪化すると株価は下がると理解しておきましょう。
株主には、議決権と配当を受ける権利の2つが与えられます。議決権とは、株主総会で意見を述べたり、投票したりできる権利です。配当を受ける権利により、企業の利益の一部を受け取れます。株式は証券取引所で売買されるので現金化しやすく、長期投資の対象として人気があるのが特徴です。
株式投資の目的
株式投資の目的は、主に資産形成と資産運用にあります。長期的な視点で資産を増やせるため、多くの人にとって魅力的な選択肢です。お金を銀行に預けているだけでは、インフレによって実質的な価値が目減りしてしまうので、対策が重要です。株式投資をすれば、インフレに負けない資産運用ができます。
株式投資は、経済成長への参加の側面もあります。企業の成長に投資すれば、企業の価値上昇の恩恵を受けることが可能です。配当金という形で受動的な収入を得られます。退職後の生活資金確保や子どもの教育資金準備といった、長期的な目標のために株式投資を行う人も多くいるのが現状です。
株式投資の始め方

株式投資を始めるには、以下の手順を踏む必要があります。
- 証券口座を開設する
- 証券口座に入金する
- 銘柄を選んで購入する
- 株式を売却する
手順に沿って順番に進めると、安全に投資ができます。投資にはリスクが伴うため、慎重に検討しながら進めましょう。
証券口座を開設する
証券口座を開設するときは、自分に合った証券会社を選ぶことが大切です。手数料や取り扱っている商品、使いやすさなどを比較検討しましょう。オンラインで簡単に口座を開設できるので、初心者の方でも安心して始められます。口座開設をするときは、オンラインで申し込み可能な証券会社を選びましょう。
証券会社のウェブサイトで口座開設申込フォームに必要事項を入力し、本人確認書類を提供します。本人確認書類には、運転免許証やマイナンバーカードなどが利用可能です。職業や年収、投資経験などの情報を入力し、取引方法や口座種類を選択しましょう。
申込内容を確認し、同意事項にチェックを入れたら、本人確認書類をアップロードまたは郵送します。数日から2週間程度で、口座番号とログイン情報を含んだ口座開設完了の通知が届きます。
証券口座に入金する
証券口座に入金する方法は、以下のとおりです。
- 銀行振込
- クレジットカード
- コンビニATM
- ネットバンキング
- 即時入金サービス
一般的なのは銀行振込ですが、他にもクレジットカードやコンビニATM、ネットバンキングなどの選択肢があります。入金するときは、手数料や入金限度額、反映時間などを事前に確認しておくことが大切です。
入金がうまくいかない場合は、入力ミスやシステムエラーの可能性があるため、証券会社のサポートに問い合わせましょう。入金が完了したら、入金履歴を確認して正しく反映されているか確認してください。
銘柄を選んで購入する

銘柄を選んで購入することは、株式投資の重要なステップです。適切な銘柄を選べば、投資の成功率を高められます。銘柄選びは、まず自分の投資目的に合った企業を探すことが大切です。長期的な成長を目指すのか、安定した配当を求めるのかなど、目的によって選ぶ基準が変わってきます。
売上高や利益の推移、負債の状況など企業の財務状況をチェックし、健全な経営がなされているかを判断するのも重要です。株価のチャートや各種指標の分析も役立ちます。過去の株価推移や、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などを見れば、現在の株価が割高か割安かを判断できます。
さまざまな要素を総合的に判断し、投資スタイルに合った銘柄を選びましょう。複数の銘柄を比較検討すれば、より良い選択ができます。銘柄を決めたら、購入のタイミングを見極めることが重要です。株価が下がっているときに買うのか、上昇トレンドに乗るのかは、個人の投資戦略によって異なります。
適切な注文方法を選び購入数量を決定しますが、初めての場合は少量から始めるのがおすすめです。徐々に経験を積みながら、投資額を増やしていきましょう。
株式を売却する
株式を売却するときは、適切なタイミングと方法を選ぶことが大切です。売却注文を出す方法には、成行注文と指値注文があります。成行注文は現在の市場価格ですぐに売却できますが、指値注文は希望する価格を指定して売却可能です。自分の状況に合わせて選びましょう。
売却タイミングの見極めは、目標利益を達成したときや、想定していた損失額を超過したときがポイントです。損失が大きくなる前に売却して損切りすることも、資金を守るうえで重要な戦略です。売却益には譲渡益課税がかかるので、税金にも注意が必要になります。確定申告の準備も忘れずに行いましょう。
株式投資のメリット

株式投資には、以下のメリットがあります。
- 株価の値上がり益
- 配当金
- 株主優待
経済や企業への理解が深まり、少額から始められる点も魅力です。高い流動性や複利効果もあるため、株式投資は多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。
株価の値上がり益
株価の値上がり益は、株式投資の大きな魅力の1つです。購入価格よりも高い価格で株式を売却すれば、差額が利益となります。値上がり益を得るには、成長企業や新興企業の株式に投資したり、景気拡大期に投資タイミングを合わせたりするのが効果的です。
好業績が予想される企業の株式を長期保有すれば、大きな値上がり益を狙えます。短期売買でも利益を得ることはできますが、リスクも高くなるので注意が必要です。売却時に得た利益は課税対象となるため、税金にも注意しましょう。非課税枠のある特定口座を利用すれば、税金面でも有利に運用できます。
配当金
配当金は、企業が株主に対して利益の一部を現金で還元するもので、株式投資の大きなメリットの1つです。配当金を受け取ることで、株価の値上がり益とは別の収入が得られます。一般的に年1回か年2回支払われるので、定期的な収入源として期待できます。
配当金額は企業の業績や経営方針によって変動するため、安定した収入とは限りません。投資家にとって、高配当株は魅力的な選択肢です。配当金を株価で割った指標(配当利回り)が高いほど、投資額に対する配当金の割合が高いことを意味しています。
配当金も税金の対象となり、源泉徴収されるのが一般的なので、注意が必要です。配当金の支払いは、企業に義務付けられているわけではありません。経済情勢や業界動向によっては配当金が減額されたり、停止されたりするため注意しましょう。
株主優待
株主優待は、企業が株主に対して提供する特別な特典や商品・サービスのことです。株主優待制度は、株主の長期保有を促進し、企業と株主の関係を強化する目的があります。株主優待の内容は企業によって異なりますが、自社製品の割引券や無料プレゼントが一般的です。
株主優待を受けるには、企業が定めた一定数以上の株式を保有している必要があります。保有株数や保有期間に応じて、特典が変わることも多くあります。株主優待は配当とは別に受け取れる特典であり、食品、小売、サービス業などの企業で多く実施されているのが特徴です。
優待内容は企業の業績や方針により変更されるため、投資判断の際に確認する必要があります。税金面では、一般的に現金以外の優待は非課税扱いとなるので、株主にとって見逃せないメリットです。企業の成長性や財務状況などを十分に分析したうえで、株主優待も考慮に入れて投資判断をしましょう。
株式投資のリスク

株式投資には以下のリスクがあります。
- 価格変動リスク
- 信用リスク
- 取引が成立しないリスク
投資リスクは完全に回避できませんが、正しい知識と適切な投資戦略により軽減可能です。投資開始前に自己の資金力や投資目的、リスク許容度を把握しましょう。
価格変動リスク
価格変動リスクは株式投資において重要なリスクの1つです。株価は常に変動しているため、投資した金額よりも低い価格で売却しなければならない可能性があります。景気が後退したり業界全体が不振に陥ったりすると、多くの企業の株価が下落します。個別の銘柄でも予期せぬ悪材料が出ると、急落するため注意が必要です。
新興市場の株式は値動きが大きい傾向があり、外国株式は為替変動の影響も受けます。株式投資を行うときは自分の資金力と相談しながら、慎重に判断しましょう。
信用リスク
信用リスクは、投資先の企業が倒産や債務不履行に陥るリスクを指します。企業が経営破綻した場合、株価が急落したり、最悪の場合は無価値になったりします。投資を行う前に、企業の財務状況や経営状態をしっかりと確認することが大切です。
大手企業や安定した業績の企業を選ぶことでもリスクを抑えられますが、完全にリスクを避けることはできません。信用リスクを軽減するには、分散投資が効果的です。
取引が成立しないリスク
取引が成立しないリスクは、株式投資において見落とされがちですが重要な問題です。注文した株式の売買が、予想通りに進まない状況があります。売り手や買い手が少ない流動性の低い銘柄や、値幅制限による一時的な取引停止などが取引できない原因です。システムトラブルが発生した場合も、注文が受け付けられません。
市場が急激に変動した場合も、希望通りの価格で取引できないリスクが高まります。リスクを軽減するには、流動性の高い銘柄を選ぶことや、成行注文を活用するなどの対策が有効です。完全に回避するのは難しいので、投資を行うときは念頭に置いておきましょう。
リスクを抑えた株式投資の始め方

リスクを抑えた株式投資を始めるには、以下のポイントが重要です。
- 自分が理解できる業界や会社を選ぶ
- 少額投資から始める
- 分散投資する
- ロボアドバイザーを活用する
ポイントを押さえれば、初心者でも安心して投資を始められます。投資にはリスクがつきものなので、無理のない範囲で始めましょう。
自分が理解できる業界や会社を選ぶ
自分が理解できる業界や会社を選ぶことは、株式投資のリスクを抑えるうえで重要です。理解しやすい企業に投資すれば、より的確な投資判断ができます。日常生活で使っている製品やサービスの企業、自分の知識や経験がある業界などが、自分に合った投資先としておすすめです。
スマホをよく使う人であれば、Apple社やSamsung社などの企業の株式を検討してみるのも選択肢の1つです。
少額投資から始める
少額から始めれば、投資のリスクを抑えながら経験を積むことができます。初めての投資では、総資産の5%程度から始めましょう。少額で購入可能な銘柄や投資信託、ETF、積立投資、単元未満株などが少額投資の方法にはおすすめです。少額投資を始めるときは、ネット証券やスマホアプリを利用すると便利です。
株主優待が充実している銘柄や、配当利回りの高い銘柄を選べば、少額投資でもメリットを得られます。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説
分散投資する
分散投資は、投資リスクを軽減し、安定した収益を得るための重要な戦略です。複数の銘柄や資産クラスに投資を分散させることで、ポートフォリオの安定性を高められます。分散投資を行うと、一部の株価が下落しても、他の投資先で補えるので、全体的なリスクを軽減できます。
過度な分散は運用効率を下げるので注意が必要です。定期的に資産配分を見直し、リバランスを行うことも大切です。市場の変動に合わせて、長期的な視点で投資を行うことが重要になります。分散投資の程度は、リスク許容度に応じて調整するのがおすすめです。
ロボアドバイザーを活用する
ロボアドバイザーは、株式投資のリスクを抑えながら、効率的に運用する方法として注目されています。AIが自動で資産配分を行い、リスク管理をサポートしてくれるため、初心者でも簡単に利用できます。ロボアドバイザーの主なメリットは、以下のとおりです。
- 少額から始められる
- 手数料が安い
- 長期投資に適している
- 定期的に自動でリバランスを行う
- 感情に左右されず客観的な判断で投資を実行できる
世界中のさまざまな資産に分散投資できるので、個別銘柄選びの手間や時間を節約できます。投資パフォーマンスをリアルタイムで確認できるのも魅力的です。ロボアドバイザーを利用すれば、専門知識がなくてもプロ並みの運用を実現できます。
まとめ

株式投資を始めるときは、基礎知識の習得から実践的な投資方法まで、幅広い知識が必要です。株式投資には魅力的なメリットがあるものの、同時にリスクも存在します。自分に合った投資方法を選び、慎重に進めることが大切です。理解できる業界や会社を選び、少額から始めて徐々に経験を積みましょう。
分散投資やロボアドバイザーの活用など、リスクを抑える方法もあります。長期的な視点で投資を行えば、より安定した運用が可能です。実際に投資を始めるときには、初期投資額や税金・手数料についても注意しましょう。
株式投資は、長期的な視点で行うことが重要です。自分に合った投資方法を見つけ、着実に資産形成を進めていきましょう。