
投資を始めたものの、どの銘柄に投資すれば良いかわからず悩んでいませんか?多くの投資家がS&P500に注目していますが、実態や利回りについて詳しく知らない人もいます。個別株は自分で銘柄を選ぶ必要があり、選定に時間がかかると資産形成の歩みが遅くなります。
S&P500は構成銘柄があらかじめ決まっているため、銘柄選びの負担がありません。この記事ではS&P500の概要や過去の平均利回り、メリット・デメリット、具体的な投資戦略まで網羅的に解説します。記事を読むとS&P500の利回りを最大限に活用して資産形成を進める方法がわかります。
S&P500は過去に年平均約10%の利回りを記録している魅力的な株価指数です。S&P500はインデックスファンドやETFを通じて手軽に投資できるため、長期的に安定した資産形成を目指す人に最適です。
S&P500とは米国を代表する約500社で構成される株価指数

S&P500は米国を代表する約500社で構成されている、米国株式市場の約80%を占める経済動向の代表的指標です。S&P500は時価総額の大きい企業の影響を受けやすく、AppleやAmazonの株価が動くと指数全体も動きやすくなります。
構成銘柄は企業の成長や市場の変化に応じて入れ替わり、分散効果が高くリスクを抑えやすい点もS&P500の特徴です。
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S&P500の過去の平均的な利回り

S&P500は過去の実績から、長期的に安定したリターンが期待できる株価指数です。S&P500の安定した利回りは、米国の大企業が経済成長とともに発展してきた結果です。過去数十年間のS&P500の平均年間利回りは約10%で、多くの投資家が資産形成に利用しています。
S&P500はさまざまな業種の企業で構成されているため、リスク分散に優れています。インデックスファンドやETFを通じ、低コストでS&P500に投資できる点も魅力です。
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S&P500と他の株価指数の利回りの比較

S&P500は米国企業の成長に連動し、世界の主要株価指数より高い利回りを示すことが多い指標です。S&P500はダウ平均株価(※1)より多くの銘柄で構成されており、米国市場全体を反映しています。
過去10年で見るとS&P500の利回りはダウ平均を上回り、NASDAQ総合指数(※2)と比べても値動きは穏やかです。S&P500は日経平均やTOPIXより長期リターンが高い傾向があります。長期リターンが高いMSCI ACWI(※3)に対しても、米国市場が好調なときはS&P500のほうが良い成績です。
※1 ダウ平均株価とは、米国を代表する30社の株価をもとに算出される株価指数です。
※2 NASDAQ総合指数とは、NASDAQ市場に上場する全銘柄の株価をもとに算出される株価指数を指します。
※3 MSCI ACWIとは、先進国と新興国約50カ国の大型・中型株で構成された株式指数で、世界株式市場全体の動きを示します。
S&P500に投資する5つのメリット

S&P500への投資は資産形成において、以下の5つのメリットがあります。
- 米国経済の成長の恩恵を受けられる
- 特定銘柄の影響を抑えられる
- 値動きがわかりやすい
- コストが安い
- 銘柄選定の手間がかからない
米国経済の成長の恩恵を受けられる
S&P500への投資はGAFAMのような革新的企業の成長や人口増加による消費拡大など、米国経済の発展を直接反映します。米国経済の力強い成長はS&P500を構成する企業の業績にも大きく影響しています。
S&P500が成長している理由は多くの企業が世界中で事業を広げ、利益を伸ばし続けているためです。配当や自社株買いを積極的に行う企業が多いため、S&P500を保有するだけで米国経済の成長を資産形成に活用できます。
特定銘柄の影響を抑えられる

S&P500に投資すると、約500社の優良企業に分散投資するため、特定の企業の株価下落の影響を抑えられます。S&P500を構成する企業のうち1社の株価が大きく下がっても、他の企業で影響をカバーできるためです。個別株投資で起こりうる倒産や業績悪化のリスクを減らせる点が、S&P500の魅力です。
S&P500の構成銘柄は定期的に見直され、成長性の低い企業は除外されるため、ポートフォリオ全体の値動きが安定します。
値動きがわかりやすい
S&P500は米国経済全体の動きと連動し、情報が得やすく値動きがわかりやすい点が特徴です。多くの企業に分散投資しているS&P500は個別株より値動きが穏やかで、冷静に投資判断を下せます。S&P500の値動きを知るには以下の行動が求められます。
- 米国の景気指標や経済ニュースをチェックする
- 構成銘柄や株価の動向など公開情報を活用する
- 値動きの幅や短期的な変動の傾向を確認する
- 1社の株価下落による影響の大きさを把握する
S&P500の特徴を理解すると市場の動きを予測しやすくなり、安心して投資を続けられます。
コストが安い

S&P500に連動する投資信託やETFは指数に機械的に連動するため、運用時にかかる手数料などのコストを低く抑えられます。S&P500に連動する投資信託やETFはアクティブファンドと比べて運用コストが大幅に低くなっています。
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人気の高い指数のS&P500は多くの金融機関で扱われており、手数料の引き下げ競争が活発です。S&P500に連動する商品の中には、年間の運用管理費用が0.1%を下回る低コストなものもあります。
長期間S&P500に投資を続けるほど手数料の差が資産形成に大きく影響するため、コストの安さは大きなメリットになります。
銘柄選定の手間がかからない
S&P500に投資する大きなメリットは自分で投資先の企業を選ぶ手間がなくなる点です。S&P500に連動する投資信託やETFを1つ購入すれば、米国を代表する約500社の優良企業にまとめて投資できます。定期的に構成銘柄が見直されるS&P500を活用すると常に時代に合った優良企業に投資し続けられます。
投資先を選ぶには決算書を読み、業界の将来性を調べる専門的な分析が必要です。S&P500では専門家が定期的に構成企業を評価し、業績が悪化した企業や成長性が低い企業は指数から除外されます。S&P500から除外された企業の代わりに、売上や利益が伸びている新興企業や業績が好調な企業が加わります。
S&P500に投資する4つのデメリット

S&P500は魅力的な投資先ですが、以下の4つのデメリットがあります。
- 投資対象が米国に偏っている
- 為替変動リスクがある
- 市場平均を超えるリターンは狙えない
- 短期的な大きな利益は得にくい
投資対象が米国に偏っている
S&P500のデメリットは、投資対象が米国企業に偏るため米国の景気や政治リスクを直接受け、地理的分散が不足する点です。米国の景気が悪化するとS&P500の成長が停滞してしまいます。アメリカ以外の国が経済成長した場合、S&P500だけでは他国経済の恩恵を十分に享受できません。
S&P500だけに投資すると、米国一国の経済や政治情勢が資産に大きく影響することを理解しておく必要があります。
為替変動リスクがある
S&P500への投資には為替レートの変動によって資産価値が変わる「為替変動リスク」があります。S&P500に連動する金融商品は米ドル建てのため、日本円で投資すると為替レートが投資成果に以下のように影響します。
為替状況 | 資産価値への影響 |
円高・ドル安 | 株価上昇でも円換算で資産価値が減少(為替差損) |
円安・ドル高 | 株価上昇に加え円換算で資産価値が増加(為替差益) |
S&P500に投資する際は株価の動きとは別に、為替の変動が資産価値に影響する点に留意しましょう。
市場平均を超えるリターンは狙えない

S&P500は米国株式市場の平均的な動きを示す指数のため、市場平均を超えるリターンは狙えません。約500社の銘柄で構成されているS&P500では個別企業の株価の変動があっても全体のリターンは平均化されます。
個別株では一企業の株価が急騰して資産が10倍になる「テンバガー」のような利益が期待できますが、リスクも伴います。S&P500投資は安定性とリスク分散を重視し、市場平均の成長を目指す手法です。
短期的な大きな利益は得にくい
S&P500は安定した大企業で構成され約500社に分散投資しているため、安定した値動きになります。長期的な経済成長を目指す一方で、短期で大きな利益は狙いにくい点がS&P500の特徴です。
短期間で資産を大きく増やしたい場合は株価が数倍に跳ね上がる可能性がある個別株投資が適しています。S&P500はコツコツ資産を育てるのに向いており、短期売買で大きなリターンを追うには不向きです。
S&P500の利回りを活用した投資戦略3選

S&P500の利回りを効果的に活用するには、以下の3つの方法があります。
- 長期的な視点で投資する
- 配当金を再投資する
- インデックスファンドを活用する
長期的な視点で投資する
S&P500の利回りを最大限に活用するには長期的な視点で投資を続けることが不可欠です。過去に何度も暴落しながら回復と成長を繰り返してきたS&P500は、長期投資の有効性を実績で裏付けています。S&P500に長期投資すると以下のメリットがあります。
- 複利効果を活用できる
- 高値掴みを避けられる
- 精神的な安定を保てる
S&P500で毎月一定額を投資すると、高値では少なく安値では多く買えるため、平均購入単価を下げられます。市場が大きく下落しても長期的な成長を信じて、落ち着いて資産運用を継続できる点がS&P500の魅力です。
配当金を再投資する

S&P500への投資で得た配当金を再投資すれば複利の効果を活用できるため、資産を効率的に増やせます。複利とは投資で得た利益を元本に加えて再び投資し、新たな利益を生み出す仕組みです。
受け取った配当金でS&P500に連動する投資信託やETFを買い増すと商品の保有量が増え、資産が雪だるま式に成長します。投資信託には分配金を自動で再投資できる「分配金再投資コース」があり、手間なく複利の効果を活用できます。
インデックスファンドを活用する
S&P500の利回りを最大限に活用するにはインデックスファンドの活用が有効です。S&P500に連動するインデックスファンドを活用すると、以下のメリットがあります。
- 銘柄選びの手間を省ける
- 運用コストを低く抑えられる
- 少額から投資を始められる
- 税制優遇を受けられる
- 自動積立を設定できる
忙しい人でもS&P500の成長を効率よく取り込めることがインデックスファンドの魅力です。
S&P500を購入する方法

S&P500に投資する主な方法は以下の2つです。
- ETFで投資する
- 投資信託で投資する
ETFで投資する
ETF(上場投資信託)とは証券取引所に上場し、株式と同じように売買できる投資信託です。ETFは価格がリアルタイムで変動し、株式と同様に好きなタイミングで取引できます。一般的な投資信託より保有中の費用が安い傾向がある点もETFの魅力です。
ETFは株式取引と同じ手順で証券口座から注文でき、指値や成行などでも取引できます。S&P500に連動する代表的なETFは以下のとおりです。
- VOO バンガードのS&P500連動型ETF
- IVV iシェアーズ・コアS&P500連動型ETF
- SPY SPDRのS&P500連動型ETF
- 1547 上場インデックスファンド米国株式 S&P500連動型
- 2558 MAXIS米国株式 S&P500連動型上場投信
ETFは保有中に分配金が支払われますが、自動再投資は行われず、証券口座に現金で入金されます。株式売買に慣れていれば、ETFでS&P500にスムーズに投資できます。
投資信託で投資する
S&P500に連動する投資信託は多くの証券会社で100円から積立投資ができます。NISA(つみたて投資枠)の対象商品も多く、非課税のメリットを受けながら効率的に資産を増やせる点が魅力です。
投資信託の分配金が出た場合、自動再投資を設定していれば、複利効果を最大限に活用できます。S&P500に連動する代表的な投資信託は以下の2つで、SBI証券や楽天証券などの主要なネット証券で購入できます。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
投資信託は株式と違い、基準価額で取引されます。基準価額とは投資信託1口当たりの値段です。基準価額は市場が閉まる午後3時ごろに保有資産の時価から算出されます。投資信託は注文時に売買価格が確定しないため注意が必要です。
米国経済とS&P500の今後の利回りの見通し

S&P500の今後の利回りは好材料とリスクがあるものの、全体としては緩やかな成長が予想されます。AI関連の大手ハイテク企業の好業績や米国経済のソフトランディングへの期待が、S&P500の利回りを押し上げています。
S&P500のリスクは、FRBの高金利政策の長期化や米大統領選挙などの政治的不確実性、世界情勢の変化です。総合的に見るとS&P500は成長が期待できますが、過去ほどの高いリターンではなく安定した利回りになる可能性が高いです。
S&P500の利回りを味方につけて安定した資産形成を目指そう

S&P500を投資対象とする商品は、米国経済の成長を背景に長期的に安定した利回りが期待できるため資産形成に最適です。S&P500は長期的に成長する傾向があり、長期・積立・分散を守れば価格変動の影響を抑え、複利効果で利回りを高められます。
配当金の再投資や低コストのインデックスファンドの活用は、S&P500の利回り向上に効果的です。S&P500を中心に運用すれば利回り確保と資産形成が可能なうえ、個別株を選ぶ手間やリスクを抑えて分散投資ができます。