買ってはいけない高配当株の4つの特徴|買っても良い場合の3つの特徴も解説!

買ってはいけない高配当株の4つの特徴|買っても良い場合の3つの特徴も解説!

高配当株投資は魅力的な選択肢ですが、配当利回りの高さだけを基準に投資判断をすると、大きな損失を被るリスクがあります。配当利回りが高い高配当株であっても、必ずしも良い投資先とは限りません。この記事では避けるべき高配当株の特徴や、高配当株の選び方について解説します。

記事を読めば優良な高配当株を見分ける知識が身に付き、長期的に安定した配当収入を得られる可能性を高められます。高配当株を選ぶ際は、企業の財務状況や将来性を確認し、総合的に判断しましょう。持続可能な利益を上げている企業を選べば、長期的な資産形成につながります。
» 高配当株投資の正しい知識を伝授!
» 高配当株はおすすめしないと言われる理由を解説

買ってはいけない高配当株の特徴

配当利回りの高い銘柄は魅力的に見えますが、すべてが良い投資先とは限りません。買ってはいけない高配当株の特徴は、以下のとおりです。

  • 配当利回りが極めて高い
  • 利益が持続的に減少している
  • 配当性向が極端に高い
  • 急な配当金の増額がある

配当利回りが極めて高い

一般的に配当利回りが10%を超える銘柄には、企業の深刻な問題が隠れている場合が多くあります。何らかの理由で株価が大幅に下落すると、配当利回りが高くなります。株価下落の理由が以下の場合は、注意しましょう。

  • 将来的な減配や無配の予想
  • 業績悪化や財務問題
  • 持続不可能な配当政策
  • 借入や資産売却での配当維持

買ってはいけない高配当株には、一時的な特別配当によって配当利回りが高くなる場合もあります。特別配当は継続的ではないため、長期的な投資判断の材料にはなりません。

利益が持続的に減少している

短期的な高配当を魅力に感じて購入すると、長期的な損失につながる恐れがあります。3〜5年以上連続して利益が減少している企業には、注意しましょう。買ってはいけない高配当株の中には、一時的な業績悪化ではなく、構造的な問題を抱えている銘柄もあります。

企業の売上高が増加しているにも関わらず利益率が低下している場合は、競争力が弱まっていることを示しています。資産売却によって一時的に利益を得ていたり、設備投資や研究開発費を削減していたりする企業は、将来的な利益の減少につながる可能性があるため注意が必要です。

配当金の支払いを維持するために借入金を増やしている企業も、買ってはいけない高配当株に該当します。

配当性向が極端に高い

配当性向が極端に高い企業は、利益の多くを配当金として支払っており、将来の成長に必要な資金が不足する恐れがあります。配当性向が80%を超える企業は、将来の成長に向けた投資資金が不足する可能性があります。配当性向が100%を超えている企業は、利益以上の配当を出しており、長期的には持続不可能です。

配当性向が極端に高い企業が抱えるリスクは、以下のとおりです。

  • 将来の設備投資の不足
  • 財務体質の悪化
  • 借入金の増加

リスクが顕在化すると、企業の利益が圧迫され、将来的な減配につながる可能性があります。配当性向を評価する際は、企業が属する業界の平均との比較が重要です。成熟産業の配当性向は50〜60%程度が一般的ですが、成長産業ではより低い水準が健全とされる場合があります。

急な配当金の増額がある

企業が突然配当金を大幅に増やす場合、投資家の注目を集めるための一時的な施策や、業績不振を隠している場合があります。配当金のデータを見ると、急激な配当増額の後に業績が悪化するケースが多く見られます。収益の成長に見合わない配当増額を行う企業には、注意が必要です。

一時的に高い配当を得られても、株価下落や減配によって損失を被る可能性があります。

高配当株を買うメリット

高配当株を買うメリットは、以下のとおりです。

  • 定期的に配当金が得られる
  • 長期保有で複利効果が期待できる

定期的に配当金が得られる

配当金は株価下落時でも支払われることがあり、市場の変動に左右されにくい収入源です。配当金は税金を引かれて支払われるため、全額を生活費に充てたり、再投資に活用したりできます。配当金は特別な手続きをしなくても、自動で証券口座や預金口座に入金されるため、手間がかかりません。

高配当株を長期保有していると、企業の業績向上に応じて配当が増える「増配」が行われ、結果的に購入時の投資額に対する利回りが高まります。日本市場では株主優待制度を提供している企業も多く、配当金と株主優待の両方を受け取れる銘柄も存在します。

景気後退期でも、生活必需品セクターや公共事業などの業種に属する企業の中には、比較的安定した配当方針を維持しているケースが多い傾向です。企業の配当金は、経済環境に左右されにくく、安定収入を求める投資家にとって有力な選択肢となります。

長期保有で複利効果が期待できる

高配当株を長期で保有することで、配当金の複利効果により資産が加速度的に増加する点がメリットの一つです。配当金を再投資すれば、配当金に対しても新たな配当が発生するため、時間の経過とともに資産形成のスピードが加速します。年利3%の配当を複利運用すると、約24年で元本が2倍になります。

複利効果を高めるには、毎年配当金を増やし続けている「連続増配銘柄」への投資が効果的です。増配傾向の企業は、時間の経過とともに元本に対する配当利回りが実質的に上昇します。

高配当株を買うデメリット

高配当株投資はメリットばかりではありません。高配当株を買うデメリットは、以下のとおりです。

  • 業績悪化で減配・無配になるリスクがある
  • 長期的なリターンが期待しにくい

業績悪化で減配・無配になるリスクがある

企業の収益が減ると、配当金の支払いが難しくなります。企業の収益力の低下が、減配や無配が起こる主な原因です。減配や無配は一時的な業績悪化だけでなく、市場環境の変化や競争激化の構造的な問題が原因となる場合もあります。以下の特徴がある企業には注意しましょう。

  • 財務状況が悪い企業
  • 景気に左右されやすい業種
  • 無理して高配当を続ける企業
  • 継続的に利益が減少している企業

企業が減配や無配に転じると、配当収入がなくなり、株価は下落します。過去に長く安定した配当を続けてきた企業でも、急激な業績悪化によって配当方針を変更する場合があります。

長期的なリターンが期待しにくい

高配当株は配当金だけに注目すると、企業の成長性という重要な要素を見落としがちです。高配当株は成熟・衰退産業に多く、株価上昇率が低い傾向にあります。株主還元に重点的に振り向けるため、配当利回りが高くなる場合があります。

高配当株は、配当金が一定でも株価が下落すれば投資元本が減少するリスクがあるため、注意が必要です。長期投資では、配当収入と株価の値上がりを合わせた「総合リターン」で判断することが重要です。将来の成長が見込まれる成長株と比べると、高配当株はリターンの面で劣ることもあります。

買っても良い高配当株の特徴

高配当株選びでは配当利回りだけでなく、企業の財務状況や将来性を見極めましょう。買っても良い高配当株の特徴は、以下のとおりです。

  • 業績が黒字を維持している
  • 配当性向に無理がない
  • 将来性や競争力がある事業を持っている

業績が黒字を維持している

業績が黒字を継続している企業は、安定した収益基盤を持っており、配当の継続や将来の成長が期待できるため、投資先として信頼できます。安定した収益基盤があれば、配当金の支払いも継続できる可能性が高まります。本業のもうけである、営業利益が安定してプラスで、直近3~5年間の最終利益が黒字であることが重要です。

安定して黒字を出せる企業は、景気変動に左右されにくい堅実なビジネスモデルを持っている可能性が高いです。配当金を支払いながらも内部留保をしっかり確保できている企業は、将来の成長投資と株主還元のバランスが取れています。

投資先を選ぶ際は、一時的な高配当だけでなく、黒字を維持できる企業を見極めることが大切です。

配当性向に無理がない

配当性向に無理がない企業を選ぶことは、安定した配当収入を長期的に得るうえで重要です。配当性向とは純利益に対する配当金の割合です。配当性向が高いほど、配当金として株主に還元していることになります。一般的に健全な配当性向は30〜50%程度とされています。

配当性向が極端に高い企業には注意が必要です。配当性向が高い企業には、業績悪化時に配当を維持できないリスクや、少ない内部留保による財務体質の弱体化リスクがあります。逆に配当性向が極端に低い場合は、株主還元に消極的な可能性があります。

業種によっても適正な配当性向は異なるため、平均値などで確認しましょう。公益企業などの安定した収益構造を持つ業種では、配当性向が高めでも問題ないケースがあります。一方、成長産業では投資資金を確保するために配当性向が低めに設定される場合もあります。

理想的な高配当株は、株主への還元と将来への成長投資の両立を図り、配当と内部留保のバランスが取れている企業です。

将来性や競争力がある事業を持っている

将来性や競争力のある事業を持つ企業は、市場環境の変化にも強く、持続的な株主還元に期待できます。将来性や競争力のある事業を見極めるポイントは以下のとおりです。

  • 市場での競争優位性
  • 技術革新への投資姿勢
  • 成長産業での事業基盤
  • 事業転換の実績
  • 特許や知的財産権

デジタル化やDXへの対応が進んでいる企業に注目しましょう。デジタル技術を活用して業務効率化やビジネスモデルの変革に成功している企業は、将来的な成長が期待できます。グローバル展開を進め、海外市場での成長余地がある企業も魅力的な投資先の一つです。

日本では国内市場が縮小傾向にあるため、海外での事業拡大は将来の収益源として重要です。業界内でのシェア拡大や収益性向上の傾向がある企業も、将来的な配当増額の可能性があります。市場シェアの拡大は価格決定力の向上にもつながり、利益率の改善に寄与します。

高配当株に関するよくある質問

高配当株に関するよくある以下の2つの質問に回答します。

  • 高配当株と他の投資商品の違いは?
  • 高配当株の税金に関する注意点は?

高配当株と他の投資商品の違いは?

高配当株は、配当利回りが高い株式に投資する投資手法です。最大の特徴は、株価の上昇による資産価値の増加と、定期的に受け取る配当金の両方からリターンを得られることです。二重のリターンが期待できる点で言えば、不動産投資の家賃収入と資産価値の向上と似ています。

高配当株は株式の一種なので、不動産より流動性が高い点はメリットの一つです。投資信託と比較すると、高配当株は自分で銘柄を選定する必要があるため、手間がかかります。投資信託はプロが銘柄選定や運用を行いますが、手数料が発生するため、手数料分の運用効率は低下します。

定期預金は元本が保証されていますが、利回りが低い傾向があるため注意が必要です。インフレに対する手段として不適切な場合があります。一方、高配当株は利回りが3~6%程度で定期預金より高い利回りになる傾向です。

高配当株の税金に関する注意点は?

配当金には、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の、計20.315%の税金がかかります。税金の扱いは口座の種類によって異なります。特定口座(源泉徴収あり)を使っている場合は、配当金から自動的に税金が差し引かれるため手続きは不要です。

一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で高配当株を保有している場合は、確定申告が必要になるため注意しましょう。NISA口座で保有する高配当株は、配当金が非課税になるため税金対策に有効です。海外の高配当株に投資する場合は、現地国と日本の両方で課税される可能性があります。

国内株式の配当所得には配当控除制度があり、一定の税額控除が適用されます。総合課税を選択すると配当控除の恩恵を受けられますが、所得によっては税負担が増える場合もあるため、よく検討してください。

まとめ

高配当株投資は魅力的な投資方法ですが、正しい銘柄選びが成功の鍵です。買ってはいけない高配当株の特徴は、以下のとおりです。

  • 配当利回りが極めて高い
  • 利益が持続的に減少している
  • 配当性向が極端に高い
  • 配当金の急な増減がある

良質な高配当株は、安定した黒字経営で、将来性のある事業を展開しています。高配当株を選ぶ際には、配当性向が30~50%である企業を選ぶことが重要なポイントの一つです。高配当株投資には配当金による定期的な収入と、複利効果による資産価値の向上のメリットがあります。

一方で、減配・無配リスクや長期リターンの限界などのデメリットも存在します。投資判断は配当だけでなく、企業の財務健全性と成長性を総合的に評価することが大切です。初心者には簡単に思える高配当株投資ですが、実際には詳細な企業分析が必要です。

投資の目的や自分の性格を加味して、高配当株投資以外の選択肢も検討してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA