
- 高配当株はふつうの株と何が違うの?
- 高配当株のメリット・デメリットが知りたい
- 高配当株に投資するときの注意点はあるの?
高配当株は、安定した収入を求める方にとって魅力的な投資対象です。しかし、株式投資にはリスクがあるため、適切な知識が欠かせません。この記事では、高配当株の基礎知識やメリット・デメリット、成功させるポイントを解説します。
記事を読めば、高配当株投資の正しい知識が身に付き、自分に合った投資方法を見つけられます。高配当株とは株価に対して配当金が高い株式です。高配当株投資では安定した配当収入が得られ、株主優待も充実しています。
» 自分に合った戦略を見つける!株式投資の始め方と注意すべきリスク
高配当株とは株価に対して配当金が多い株式

高配当株とは、一般的に配当利回りが3%以上のものを指します。高配当株に関して以下の2点を解説します。
- 配当利回りの計算方法
- 低配当株との違い
配当利回りの計算方法
株式の配当利回りは株価に対する配当金の割合を示すもので、以下の式で求められます。
配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価 × 100(%)
株式の配当利回りが高いほど、投資額に対して多くの配当を受け取れます。配当利回りを計算する際は単元株制度や予想配当利回り、実績配当利回りに注意しましょう。株式の四半期配当と年間配当の確認も重要です。多くの日本株は100株単位で取引されるため「最低購入単位×株価」で初期投資額を計算する必要があります。
株式の配当金は、企業の業績や経営判断によって変動する可能性があるため注意しましょう。株式の配当利回りを追求するだけでなく、投資したい企業の配当の継続性や増配実績も確認することが大切です。
» 配当利回りとは?計算方法や高配当株の選び方を解説
低配当株との違い
高配当株と低配当株の違いは配当利回りです。高配当株は一般的に配当利回りが3%以上と高いのに対し、低配当株は1~2%程度にとどまる場合が多くあります。株式の配当利回りに違いが生じる理由は、企業の成長段階と利益の使い方に関係しています。
高配当株の特徴は、成熟した企業や安定した収益基盤を持つ企業が多いことです。高配当株は景気後退時に株価の下落幅が小さい傾向にあります。低配当株は成長性が高く、将来的に株価が上昇する可能性が魅力です。
低配当株は主に成長段階にある企業に多く見られ、利益を株主への還元よりも事業拡大のための再投資に回す傾向があります。
高配当株のメリット

高配当株のメリットは以下のとおりです。
- 安定した配当収入が得られる
- 長期保有で複利効果が期待できる
- 株主優待が充実している
安定した配当収入が得られる
高配当株は市場の変動に関わらず定期的な収入が期待できるため、長期的な資産形成に役立ちます。安定した配当が期待できる業種は公共インフラ企業や生活必需品セクター、大手銀行、商社などです。生活に関わる業種は景気変動の影響を受けにくく、不況時でも一定の需要があります。
長期にわたり配当金の増額を続けている企業も、経営の安定性が高いためおすすめです。安定したキャッシュフローを得たい場合は、四季配当(年4回配当)を行う企業を選びましょう。毎四半期ごとに配当金が支払われるため、高配当株を定期的な収入源として活用できます。
長期保有で複利効果が期待できる

高配当株を長期保有すると、複利効果により投資の利益を増やせます。複利効果とは受け取った配当金を再投資することで、時間とともに指数関数的に投資元本が増えることです。高配当株で受け取れる配当金は、増えた元本に応じて増加します。
高配当株投資は配当金を受け取るだけでなく、再投資によって資産形成ができます。複利効果を自動的に得るには、配当再投資制度(DRIP)の活用や証券会社の自動再投資サービスを活用しましょう。高配当株の長期保有により、一時的な株価の下落があっても、長期的な視点で見れば資産は着実に成長します。
配当所得に課税されますが、高配当株の売買を頻繁に行わなければ、税制上のメリットもあります。
株主優待が充実している
高配当株の特徴は、株主優待制度を併せて提供している企業が多いことです。多くの企業が株主に対して自社製品や割引券、食事券、カタログギフトなどを提供しています。100~1000株程度の少額投資でも、株主優待を利用できます。高配当株投資の投資効率を考える際は「実質利回り」が重要です。
実質利回りは高配当株の配当利回りに優待利回りを加えたもので、総合的な投資効果を測る指標です。高配当株の中には、配当金と株主優待の両方が充実した銘柄もあります。権利確定月には優待目的の需要で株価が一時的に上昇する場合があるため、高配当株の購入タイミングには注意が必要です。
高配当株のデメリット

高配当株のデメリットは以下のとおりです。
- 減配・無配のリスクがある
- 株価が急落する可能性がある
- 配当金に税金がかかる
減配・無配のリスクがある
高配当株投資には、企業の業績悪化や財務基盤の弱さによって配当金が減額されたり、配当が無くなったりするリスクがあります。過去に減配や無配の履歴がある企業には注意が必要です。配当利回りが異常に高いのは株価が大きく下落した影響である場合が多く、業績悪化のサインです。
減配や無配は高配当株からの配当収入の減少だけでなく、保有株の評価額も大きく下がり二重のダメージを受けます。景気後退期や特定業界の不況時には、多くの企業が配当金を見直す傾向があるため、経済状況にも注意しましょう。
株価が急落する可能性がある

高配当株の企業が業績不振に陥ると株価が急落し、配当の継続に影響を与える可能性があります。株価急落のリスク要因は以下のとおりです。
- 配当維持と成長投資の両立困難
- 金利上昇局面での株式の魅力が低下
- 特定事業や顧客への依存
- 規制変更や法制度改正
- 新技術によるビジネスモデル崩壊
同業他社と比較して、著しく高い配当利回りの企業には注意が必要です。高い配当利回りの企業は一見魅力的に見えますが、将来性に対する市場の不安を反映している可能性があります。
配当金に税金がかかる
高配当株の配当金に対して20.315%の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)で株式を保有している場合は、配当金から自動的に税金が差し引かれます。一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を利用している場合は、確定申告が必要です。配当所得の税金計算方法には、総合課税と申告分離課税があります。
総合課税の特徴は給与所得など、他の所得と合算して累進課税率で計算されることです。申告分離課税は一律20.315%の税率で計算されます。NISA口座で保有する株式の配当金は非課税です。海外の高配当株に投資する場合は、現地国の源泉税と日本の税金の両方がかかる可能性があるため注意しましょう。
日本の高配当株の場合、配当控除制度により一定の条件下で税負担が軽減される場合があります。
» 株の配当金にかかる税金をわかりやすく解説!
高配当株を選ぶ際のポイント

高配当株を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 配当性向を確認する
- 財務の健全性を確認する
- 事業の安定性と成長性を見る
配当性向を確認する
配当性向とは、会社が稼いだ利益に対して株主に配当している割合を示す指標です。配当性向は「年間配当金÷1株当たり当期純利益(EPS)×100」で求められます。配当性向が極端に低い企業は、株主還元に消極的な傾向があります。
配当性向が30~50%の企業は、利益を株主還元と事業成長にバランスよく配分していると判断が可能です。配当性向が70%以上の場合は、将来の配当維持が難しくなる可能性があります。100%を超えている配当性向は、赤字決算や特別損失の発生など企業の財務状態に問題があるため注意が必要です。
業種によって適正な配当性向の水準は異なるため、同業他社と比較することが大切です。数年間の配当性向の推移を見ると、企業の配当政策の安定性も確認できます。配当性向と合わせて、自社株買いなど他の株主還元策とのバランスも見ると、企業の株主還元に対する姿勢を把握できます。
» 配当性向が高い銘柄のメリット・デメリットを解説
財務の健全性を確認する

高い配当を出していても、企業の財務状態が悪ければ将来的に減配や無配になるリスクが高まるため、財務の健全性が重要です。財務の健全性は、以下の指標で確認できます。
- 自己資本比率
- 負債比率
- フリーキャッシュフロー
- 純資産
- 利益率
- 流動比率
自己資本比率が40%を超えていれば、財務基盤がしっかりしている企業です。流動比率は企業の短期的な支払い能力を示す指標で、150%以上が理想です。格付け機関による評価も参考にしましょう。財務諸表を確認する際は3〜5年の推移を見れば、企業の財務状況の変化や傾向を把握できます。
事業の安定性と成長性を見る
優良な高配当株を見つけるには、企業の事業が安定していて将来性があるかを確認することが重要です。景気変動に左右されにくい事業モデルを持つ企業は、不況時でも安定した配当を維持できます。事業の安定性を判断するには、以下のポイントを確認しましょう。
- 過去5〜10年の売上高と営業利益
- 競争優位性や参入障壁
- 景気サイクルへの耐性
- 配当成長率の一貫性
企業の成長性を判断する際は、新規事業への積極的な投資状況や海外展開などの事業多角化の取り組みなどに注目します。デジタル化やAIなどの新技術に対応し、時代の変化に合わせて行ける企業は、長期的な成長が期待できます。
高配当株投資を成功させるためのポイント

高配当株投資を成功させるためのポイントは、以下のとおりです。
- 個別株で投資する
- 高配当ETFで分散投資する
- 事業の安定性と成長性を見る
個別株で投資する
個別株へ直接投資すると、より高い配当利回りを狙えます。1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の高配当株に分散投資をしてリスクを減らすことが重要です。株主優待と配当の両方を得られる「株主優待+高配当」の銘柄を選ぶと、投資効率が高まります。
個別株投資では業績発表や決算情報をこまめに確認し、必要に応じて銘柄の入れ替えを検討しましょう。取引手数料や売買タイミングも考慮しながら、自分の投資スタイルに合った高配当株の選定を心がけてください。
高配当ETFで分散投資する

高配当ETFは、1つの商品で複数の高配当株に自動的に分散投資できる仕組みです。個別株に投資するよりも高配当ETFはリスクを抑えながら、安定した配当収入を得られます。高配当ETFでは、数十~数百もの銘柄に一度に投資が可能です。
さまざまな高配当ETFを組み合わせると、地域やセクターによる経済変動のリスクも分散できます。高配当ETFは経費率も低く、少額から始められるため初心者にも使いやすい投資商品です。
投資信託を活用する
投資信託は専門家が運用してくれるため、個別の銘柄選びに悩む必要がありません。投資信託の特徴は少額から多くの銘柄に分散投資できることです。投資信託を選ぶ際は手数料の低さや基準価額の推移、過去の分配金の実績に注目しましょう。初心者には、インデックス型の高配当株ファンドがおすすめです。
インデックス型の高配当株ファンドはコストが低く、市場平均に連動した成績が期待できます。分配金再投資コースを選べば、受け取った配当金が自動的に再投資されるため複利効果も得られます。投資信託を定期的に積み立てると、相場の平均的な価格で購入することが可能です。
グローバル型ファンドなら、為替リスクを分散しながら世界中の優良高配当企業に投資できます。REITファンド(不動産投資信託)では、不動産からの家賃収入を原資とした安定した分配金が期待できます。
高配当株投資の注意点

高配当株投資の注意点は、以下のとおりです。
- 高配当株投資は初期費用がかかる
- 権利落ち日に株価が変動する
- 高すぎる利回りに注意する
- 経済状況や配当実績を分析する
高配当株投資は初期費用がかかる
日本の株式市場では最低購入単位として「単元株」の制度があり、多くの場合100株単位での購入が必要です。人気の高配当株1銘柄であれば数十~数百万円、複数銘柄への分散投資には数百万円以上が必要になります。高配当株の取引手数料は証券会社によって異なります。
単元未満株サービスを利用すれば、1株から購入できるため初期費用を抑えることが可能です。高配当ETFや投資信託を活用すれば、少額から分散投資できます。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説
権利落ち日に株価が変動する
高配当株は権利落ち日に株価が下がります。配当金相当額が高配当株の株価から差し引かれるためです。株価変動には、以下のパターンがあります。
- 配当金とほぼ同額下落
- 下落後に徐々に回復
- 市場環境による変動
配当利回りが高い株式ほど、権利落ち日の株価変動が大きくなる傾向があります。株価下落は、高配当株の買い増しの好機と捉えましょう。
高すぎる利回りに注意する

7%以上の利回りがある高配当株は、業績悪化や財務問題を抱えている可能性があるため注意が必要です。高配当株の投資判断をする際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 過去の配当実績や減配履歴
- 企業の財務状況
- 配当性向
- 業界平均との比較
高配当株の利回りの高さだけに惹かれて投資すると、減配や株価下落によって大きな損失を被る可能性があります。短期的な高配当よりも、長期的に安定して配当を成長させられる企業を選びましょう。
経済状況や配当実績を分析する
投資判断をする際は、配当金の増減傾向や配当性向の変化に注目すると効果的です。配当カバレッジ(純利益÷配当金総額)が低下傾向にある場合は、減配のリスクがあります。特定の業界では、新たな規制によって事業環境が大きく変わる場合があるため注意しましょう。
高配当株投資では、インフレ率やGDP成長率などの経済指標も考慮しましょう。特に海外事業比率の高い企業の場合は、為替変動も配当に大きな影響を与えるため注意が必要です。
» 高配当株はおすすめしないと言われる理由を解説
まとめ

高配当株投資は、株価に対して配当金が多い株式に投資する投資方法です。安定した配当収入が得られる点や長期保有による複利効果が期待できる点が高配当株のメリットです。ただし、高配当株投資は減配や無配のリスク、株価急落の可能性、配当金に課税されるデメリットもあるため注意しましょう。
高配当株を選ぶ際は配当性向や企業の財務の健全性、事業の安定性と成長性の確認が不可欠です。高配当株投資では個別株への投資や高配当ETFでの分散投資、投資信託の活用を検討しましょう。
異常に高い利回りには警戒し、経済状況や配当実績を定期的に分析すれば、高配当株投資の成功につながります。