【2025年9月テーマ株】東京世界陸上で“追い風”に乗る?短期上昇期待銘柄
2025.06.27投稿

2025年9月、東京において世界陸上競技選手権大会(世界陸上)が開催されます。世界中から200以上の国・地域のトップアスリート約2,000名が集結し、9日間にわたり熱戦が繰り広げられる陸上競技の最高峰イベントです。
東京での世界陸上開催は1991年以来34年ぶりとあって、国内外から多くの観客や注目が集まるでしょう。こうした大規模スポーツイベントは経済効果だけでなく、関連企業の広告露出増やインバウンド需要拡大を通じて株式市場にも影響を及ぼすと期待されています。実際、開催前後には「イベント銘柄」として物色され、短期的な株価上昇が見込まれるケースがあります。
ただし盛り上がりは一過性に終わりやすい点には注意が必要です。本記事では、東京世界陸上を控えて短期上昇が期待される関連日本株をカテゴリ別にピックアップし、注目理由と大会前後の株価見通しを投資家目線で考察します。
スポーツ用品メーカー – 需要増と公式ギア効果に期待
世界陸上の開催により、競技用具やスポーツウェアの需要増が見込まれます。公式ユニフォームや大会記念グッズを提供する企業は販売面で大きな恩恵を受けやすく、またスポーツへの関心高まりで関連商品の売上拡大が期待できます。大会効果を追い風に、業績やブランド力向上が意識されて短期的な株高材料となりそうです。
アシックス <7936>
日本代表公式ウェアを手がける国内屈指のスポーツ用品メーカーです。2019年ドーハ大会以降、陸上日本代表のユニフォーム提供を担っており、今回の東京大会でも選手団が同社製ウェアを着用します。世界的ランニングシューズブランドとして知名度も高く、大会スポンサー(WAオフィシャルパートナー)にも名を連ねています。
大会期間中はテレビや会場でブランド露出が増え、自社製品の販売促進につながる可能性があります。株価も大会前に向けて「公式スポーツギア銘柄」として物色され、短期上昇が期待されます。
もっとも大会終了後は材料出尽くし感から利益確定売りに注意です。
ミズノ <8022>
総合スポーツ用品の老舗メーカーで、陸上競技用シューズやウェアも幅広く展開しています。ミズノは長年にわたり日本陸上界をサポートし、用具提供やスポンサー活動を行ってきました。公式ユニフォーム提供企業ではありませんが、陸上競技全般の盛り上がりによるスポーツ需要増恩恵銘柄として市場で注目されやすい存在です。
大会で日本勢が活躍すれば関連商品の売上増加やブランドイメージ向上が見込まれ、思惑買いで株価が上振れする可能性があります。
ただし業績への寄与は限定的で、一時的な人気化にとどまる点は織り込んでおく必要があります。
ゴールドウイン <8111>
「THE NORTH FACE」など有力ブランドを擁するスポーツアパレル企業です。陸上競技そのものへの直接的な関与は薄いものの、大型スポーツイベントはスポーツファッション全体の追い風となり得ます。
同社も世界陸上公式グッズのライセンス商品展開やスポーツ観戦需要の高まりによる波及効果が期待できます。実際、東京五輪時にも同社のようなスポーツウェア株が注目を集めた経緯があります。大会前後にかけては関連銘柄として短期的に買われる可能性があるでしょう。
ただし実需面での恩恵は限定的なため、上昇局面では早めの利食いも検討すべきかもしれません。
メディア・放送 – 視聴率アップ&広告収入増で恩恵
大会の模様はテレビ中継やネット配信で連日報道されるため、放送各社にとっては視聴率向上と広告収入増の絶好の機会です。特に公式放送権を持つテレビ局は関連番組編成で視聴者を引きつけ、スポンサー収入の増加が期待できます。
株式市場でも「メディア関連株」として注目されやすく、開催前に思惑買いで株価が上昇しやすいセクターです。
TBSホールディングス <9401>
東京世界陸上の公式放送局です。TBS系列では大会期間中、連日主要セッションの模様を生中継する予定で、競技の熱戦とともに高視聴率が見込まれます。
すでに「1秒後、世界が変わる。」のキャッチコピーとともに大々的な宣伝展開を開始しており、チケットも累計30万枚突破と報じられました。
大会開催による広告収入の上振れ期待から、TBS株は開催前に向けて物色人気が高まる可能性があります。短期的には上昇基調が予想されますが、イベント終了後は平常時の視聴率に戻るため業績インパクトは一巡し、株価も落ち着きを取り戻す展開が考えられます。
電通グループ <4324>
日本最大手の広告代理店であり、スポーツイベントのマーケティングに深く関与しています。世界陸上でも大会スポンサー契約の仲介や関連イベント運営など裏方のキープレイヤーとなるでしょう。
大型スポーツイベントでは広告案件が増加し、広告代理店各社の出番が拡大します。電通は東京五輪でも大会マーケティングを統括した実績があり、今回もスポンサー企業のプロモーション支援などで収益機会を得ると期待されます。大会特需による業績貢献期待から、株式市場でも電通株に短期的な見直し買いが入る可能性があります。
ただし不透明要因もある業界のため、上昇幅は限定的かつ一時的と想定されます。
交通・観光 – インバウンド需要と観戦ツアーで活況
東京開催の国際大会は訪日観光客や国内観戦者の移動需要を喚起します。航空各社は海外からの観客やチーム関係者の渡航増加により国際線需要が伸び、鉄道・バスなども含め人の流れが活発化するでしょう。
また旅行会社各社は観戦ツアー商品を企画し、交通と宿泊を組み合わせた需要取り込みに動きます。円安基調も追い風となり、インバウンド需要の高まりが期待されます。これら交通・観光株は大会前から期待感で上昇しやすいセクターですが、イベント終了後は需要の反動減に注意が必要です。
日本航空 (JAL) <9201>
大会公式オフィシャルエアラインとして、選手や大会関係者の輸送を担う契約を結びました。9月の世界陸上本番に向けて各国代表チームや観戦客の来日が増える見通しで、JALの国際線旅客数は一時的に押し上げられるでしょう。
「世界陸上公式航空会社」の肩書きはブランド宣伝にも寄与し、今後の顧客獲得にプラスとなります。株式市場でもインバウンド復調の象徴としてJAL株が注目され、短期的な株価上昇が期待できます。
ただしイベント後には需要が平常化するため、中長期の業績見通しは冷静に見極める必要があります。
ANAホールディングス <9202>
国内航空2強の一角であるANAも、直接の大会公式スポンサーではないものの旅行需要増の恩恵を受ける銘柄です。特に欧米を含む世界各地から多数の選手団や観客が訪れることで、JALとともに国際線の利用率向上が見込まれます。
円安による訪日客増加トレンドも重なり、航空業界全体に追い風の局面と言えるでしょう。株価面でも「インバウンド関連」として物色され、短期上昇が期待されます。
ただし燃油価格など外部要因にも左右されるため、急騰局面ではリスク管理も忘れずに。
スポンサー企業 – 世界的イベント支える企業に脚光
世界陸上の開催を支援するスポンサー各社にも注目です。大会公式スポンサーとなることで世界規模の宣伝効果を得られるため、ブランド価値向上や関連商品の売上拡大が期待されます。日本企業も多数参画しており、電子機器から飲料まで幅広い業種が大会とタイアップしています。
スポンサー企業の株式は大会近づくにつれ話題性から買われる傾向がありますが、実際の業績寄与はスポンサー料負担との兼ね合いもあるため、一過性の盛り上がりに終わりやすい点は念頭に置きましょう。
TDK <6762>
世界陸上といえば男子選手のゼッケンスポンサーとしておなじみのTDKです。
同社は1983年の第1回ヘルシンキ大会から一貫して世界陸上をサポートしており、今回の東京大会でもWA公式パートナーを務めます。
20回目の記念大会が東京で開催されるにあたり、競技会場のスタートラインや電光掲示板、選手の胸番号など随所に「TDK」ロゴが掲出される予定です。これは世界中の視聴者に社名をアピールできる絶好の機会であり、企業イメージ向上につながります。
株式市場でも「お祭り銘柄」として認知されやすく、大会前にかけて株価がじわじわと持ち上がることが期待されます。もっともスポンサー活動は宣伝が主目的で直接的な収益増には結び付きにくいため、過度な上昇は長続きしない可能性が高い点に留意しましょう。
セイコーグループ <8050>
時計大手のセイコーは、世界陸上の公式計時(タイムキーパー)を務める企業です。1964年東京五輪以来スポーツ計時に携わってきた同社は、1985年以降世界陸上の計時を担当し今回で19回目という実績があります。34年ぶりの東京開催でも引き続きオフィシャルタイマーを担い、競技記録の計測や電光掲示板の表示など大会の要を支えます。
こうした世界的イベントで社名がクローズアップされる効果に加え、セイコーは大会開催を記念した限定モデル腕時計(公式タイマーのロゴ刻印入り)2種を発表するなど商品面でも商機をうかがっています。
大会が近づけば関連商品のプロモーションも活発化し、話題性からセイコー株にも短期物色買いが入る可能性があります。大会後は通常商戦に戻るため、株価の盛り上がりも沈静化するとみられますが、大会期間中の世界的PR効果は長期的なブランド価値向上につながるでしょう。
本田技研工業(ホンダ) <7267>
自動車大手のホンダは東京2025世界陸上のオフィシャルグローバルパートナーに新たに加わりました。同社の電動車両が大会公式車両(先導車や大会関係者の移動車など)として提供される予定で、これはホンダにとって世界へ環境技術をアピールする好機です。
実際、「コンパクトで環境に配慮した持続可能な大会の実現」を掲げる大会テーマに合わせ、EVやハイブリッド車で大会運営を支援することで持続可能性への貢献をアピールできます。
株式市場では、大会公式スポンサー入りの発表時にホンダ株が物色される場面も見られました。もっとも自動車業界全体が大型材料に乏しい中での一時的なテーマ買いとの見方も強く、株価への影響は限定的でしょう。
大会本番で同社車両が活躍する姿が報道されればイメージ向上につながるものの、業績面への直接インパクトは小さいと予想されます。
ソニーグループ <6758>
ソニーもワールドアスレティックス(世界陸連)の公式パートナー企業に名を連ねています。具体的には大会映像の撮影機材や放送技術面で協力するとみられ、同社の最新映像技術が競技中継で活用される可能性があります。
また、ソニーの関連事業であるスポーツエンターテインメント分野(例:ハイライト動画編集や配信プラットフォーム)でも大会を盛り上げる取り組みが期待されます。
グローバル企業だけに今回のスポンサー費用はマーケティング戦略の一環でしょうが、株式市場では「技術で大会を支える銘柄」として話題になるかもしれません。とはいえソニーの時価総額規模から見ればイベント影響はごくわずかで、株価への寄与も象徴的なものにとどまるでしょう。
セキュリティ・設備関連 – 大会の安全・運営を支える名脇役
世界的なスポーツイベントの開催には厳重なセキュリティ体制と円滑な運営が欠かせません。大会期間中は競技会場や選手村、関連イベント会場で警備需要が高まり、警備保障会社にとってビジネス機会となります。
また、大会設備や運営システムを提供する企業にもスポットが当たるでしょう。こうした裏方支援の企業群は表舞台に直接登場する機会こそ少ないものの、「縁の下の力持ち」として大会成功を下支えします。投資家もその点に注目し、開催前には関連銘柄を先回り物色する動きが期待されます。
綜合警備保障(ALSOK) <2331>
大会組織委員会はALSOKを「東京2025世界陸上サポーター(警備サービス)」として正式契約しました。つまり大会公式の警備サービス提供企業に指名された形で、大会期間中の競技会場や周辺の安全確保にALSOKが全面協力します。
同社は全国規模で警備員ネットワークを有し、要人警護からイベント警備まで豊富な実績があります。世界陸上でも入念な警備計画の策定や会場内外の警戒にあたることでしょう。こうした国際イベントへの参画は企業の社会的信用を高めるとともに、警備ノウハウ蓄積にもつながります。
株式市場でも大会公式警備企業として話題性があり、開催前には思惑買いが入る可能性があります。
もっとも大会後には通常業務に戻るため、業績への寄与は一時的です。株価上昇も短期的な範囲に留まりやすく、急騰局面では冷静な見極めが必要です。
セコム <9735>
国内警備業界の最大手で、幅広いセキュリティサービスを展開するセコムもイベント警備関連株として押さえておきたい銘柄です。2007年の大阪世界陸上ではナショナルパートナー(国内スポンサー)を務め、大会の安全・安心な運営に寄与した実績があります。
今回の東京大会では公式スポンサー契約こそ発表されていませんが、日本を代表する警備会社として大会開催都市・東京全体の安全を支える重要な存在であることに変わりありません。大会期間中は人員増強や監視強化など間接的な需要増が見込まれ、セコムにとって追い風となるでしょう。
また大会警備のニュース報道などで社名が露出する機会があれば、ブランドイメージ向上にもつながります。株価的にはALSOKと並んで「警備銘柄」として注目され、開催前にかけて断続的な買いが入る可能性があります。ただしこちらもイベント終了後は平常時に戻るため、あくまで短期的なテーマとして捉えるのが無難です。
まとめ:イベント投資は「期待」と「冷静さ」のバランスを
34年ぶりとなる東京開催の世界陸上は、日本企業にとってスポーツマーケティングの腕の見せ所であり、関連銘柄にも久々のテーマ性が生まれています。大会前は本記事で紹介したようなスポーツ用品、メディア、交通、スポンサー、警備といった幅広いセクターの銘柄が注目を集め、短期的な株価上昇が期待できます。
実際、五輪やW杯などでも開幕前に関連株が物色され急騰する場面が見られました。
ただし、その多くは大会が終わると熱狂が冷めて株価も元の水準に収れんする傾向があります。いわゆる「材料出尽くし」「イベント通過」後の反動には注意が必要です。
投資家としては、イベント連動の上昇局面では便乗しつつも欲張りすぎないスタンスが肝要でしょう。大会本番での日本勢の活躍は関連企業に追い風となり得ますが、その効果は一過性に留まる可能性が高いと心得ておきましょう。
短期売買の場合、適度な利食いタイミングを計りつつ、「噂で買って事実で売る」の相場格言も意識して臨みたいところです。一方、中長期視点では、世界的イベントへの関与が自社ブランドや国際展開にプラスとなる企業も存在します。そうしたポジティブな側面にも目を向けつつ、東京世界陸上の熱気を投資チャンスへとつなげていきましょう。
