【TOB銘柄を探せ!】東証が少数株主保護に向け独立社外取締役の役割を明確化(2023年)

【TOB銘柄を探せ!】東証が少数株主保護に向け独立社外取締役の役割を明確化(2023年)

東京証券取引所(東証)は、少数株主保護を強化するため、独立社外取締役の役割を明確化する取り組みを進めています。2023年5月19日に開催された「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」第3回では、独立社外取締役の具体的な役割や支配株主からの独立性確保について議論が行われました。

独立社外取締役の役割の整理

東証は、独立社外取締役が少数株主保護において果たす役割を整理し、基本的な考え方を提示する方針です。現行のコーポレート・ガバナンス(CG)コードでは、原則4-7や補充原則4-8③において独立社外取締役の役割を定めていますが、具体的な行動指針は明確化されていません。

想定される利益相反リスクの類型

独立社外取締役が関与すべき利益相反リスクの場面として、以下の3つの類型が想定されています:

  1. 直接取引:支配株主と上場会社間の直接取引
  2. 事業譲渡・事業調整:事業の一部を譲渡または調整する取引
  3. 完全子会社化支配株主による上場子会社の完全子会社化

例えば、完全子会社化のケースでは、特別委員会を設置し、その判断を取締役会が尊重する対応が一般化しています。東証は、このような実務を考慮しつつ、独立社外取締役と特別委員会の役割をさらに具体化する方針です。

支配株主からの独立性確保

独立社外取締役の選任においては、支配株主との関係を明確化し、独立性を確保することが求められます。

独立性基準の見直し

現在の「上場管理等に関するガイドライン」では、独立社外取締役の独立性基準が規定されていますが、支配株主との取引関係を完全に排除する要件は設けられていません。今後、これらの基準を改訂する可能性が議論されています。

MoM(マジョリティ・オブ・マイノリティ)の導入

独立社外取締役の選任に際して、少数株主の過半数の賛成(MoM)を要件とする制度の導入も検討されています。これにより、少数株主の意見がより反映される形での選任が実現される可能性があります。

特別委員会の役割の明確化

支配株主を有する上場会社では、特別委員会が少数株主保護において重要な役割を果たします。特別委員会は、利益相反リスクが生じる取引や意思決定において、少数株主の利益を守るための中立的な立場を担います。

特別委員会の具体的な対応としては、以下が挙げられます:

  • 独立社外取締役を含む委員会の設置
  • 重要な取引に関する判断を取締役会に勧告

これらの対応を通じて、特別委員会が実質的な機能を果たすことが期待されています。

今後の展望

東証は、独立社外取締役や特別委員会の役割を整理し、少数株主保護をさらに強化するための具体的な指針を提示する予定です。また、独立性基準の改訂やMoMの導入など、制度改革も視野に入れています。

これらの取り組みにより、上場会社のガバナンス体制が強化され、少数株主の権益保護が一層進むことが期待されています。企業は、東証の動向を注視しながら、ガバナンス強化の取り組みを進める必要があります。

TOBの可能性

東証が進める独立社外取締役の役割明確化や支配株主からの独立性確保の取り組みは、日本の資本市場における透明性と信頼性を高める重要な一歩です。少数株主の保護が強化されることで、投資家にとって魅力的な市場環境が構築されることが期待されています。

このような東証からのいろいろな規制が強化されるなかで、親子上場をしている状況は、子会社側も上場したままでは東証規制に対応していくためのコストが高くなってきていることもあり、親会社がTOBをするケースが増えてきています。

なお、この記事からわかることとしては

  • 独立社外取締役の選任に前向きではない会社はTOBの可能性が高い

ということになるかと考えています。たとえば、親会社と兼任の役員が多い上場子会社などはTOB確率が高くなるイメージでしょうか。

TOBをする場合、基本的にはプレミアムをつけた株価で親会社が買い取るケースがほとんどですので、投資家にとってもTOBの可能性がある銘柄に戦略的に投資していくことも1つの選択肢だと思います。このサイトではTOBについての研究を深めていくなかで、投資銘柄の1選択肢としてTOB銘柄の可能性を探っていきたいと思っています。

 

 

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