
「すでに投資を始めているものの、次に投資するべき銘柄がわからない」と悩んでいませんか?話題の銘柄「テーマ株」について聞いたことはあっても、本当に儲かるのか疑わしいと感じる人も多くいます。この記事ではテーマ株の概要や魅力、リスクを解説します。
記事を読んでテーマ株投資の全体像を理解し、次の投資戦略を立てるヒントを見つけましょう。短期的な値動きが大きく資金が集中しやすいため、大きなリターンが期待できる点がテーマ株の魅力です。テーマ株のリスクを避けるためにはニュースやトレンドにアンテナを張り、投資先企業の将来性を見抜く必要があります。
テーマ株とは話題やトレンドに関連して注目される銘柄

テーマ株とは、話題性や時代のトレンドに関連して注目される銘柄です。テーマにはニュースや社会の出来事、新技術などが含まれます。特定のテーマに関心が集まると、関連会社の株価が連動して動く傾向があります。将来性のある分野へ投資でき、大きなリターンの可能性がある点がテーマ株の魅力です。
一方で、人気だけが先行し実態が伴っていないテーマ株もあるため、情報の見極めが必要です。
テーマ株が注目される理由

テーマ株が注目される理由は、以下の4点です。
- 成長期待が高い
- トレンドに乗りやすい
- 短期的な値動きが大きい
- 資金が集中しやすい
成長期待が高い
テーマ株が注目される理由は、将来的に大きく成長する可能性を秘めているからです。テーマ株は市場需要の始まりとも言える分野を扱う企業株です。新技術は利便性や新たな価値創出を可能にします。新技術が世間に広まると、技術を導入した製品は企業や個人の必需品となり、新たな需要を生み出します。
トレンドに乗りやすい
テーマ株は社会や経済の動きと連動する傾向があります。環境問題が話題になれば脱炭素関連の銘柄、感染症が流行すれば医療やバイオ関連銘柄などが注目されます。注目の話題はメディアやSNSで頻繁に取り上げられるため、トレンドに沿った株の売買がしやすい点がテーマ株のメリットです。
テーマに合致する複数の銘柄を「関連銘柄」として一斉に購入する投資家もいます。トレンドの変化がテーマ株の株価を急激に押し上げるきっかけとなるため、流れに乗れば大きなリターンが期待できます。
短期的な値動きが大きい

短期間で株価が大きく動くため、利益を狙いやすい点もテーマ株が注目される理由の一つです。短期的な値動きがある株は多くの投資家の注目が集めやすく、取引が活発になります。テーマ株は小さなニュースや出来事にも敏感に反応する傾向があります。
テーマ株の値動きの幅の大きさを生かしてタイミング良く売買すれば、短期的な利益獲得が可能です。
» 株の買いタイミングとは?投資スタイルに合った分析方法を解説
資金が集中しやすい
テーマ株はトレンドの流れに応じて一気に注目が集まるため、特定の銘柄に投資資金が集中しやすい傾向があります。市場全体が横ばいであっても、明確なテーマ性を持つ銘柄は急激に株価が上昇する場合があります。
テーマ株に資金が集中しやすいのは、「連想買い」が起きやすいからです。政策発表や技術革新などの明確な理由で生まれたトレンドでは、直接関係が薄い銘柄にも資金が波及する場合があります。連想買いによりテーマ全体の注目度がさらに高まり、テーマ株への資金の流れが加速する循環が生まれます。
テーマ株の種類

テーマ株の代表的な以下5種類を解説します。
- AI関連
- 電気自動車
- 5G
- ESG
- バイオテクノロジー
AI関連
AI技術は社会や経済のさまざまな場面で新しい価値を創出しています。AI関連分野は今後も急速な市場拡大が続くと予測されているため、テーマ株に大きな注目が集められています。特に大きな社会的期待を寄せられているのは、以下のAI関連分野です。
- 生成AI
- 自動運転
- 医療活用
- 故障予測
AI技術の応用のために不可欠な以下の産業需要も高まっています。
- 高性能コンピューター部品(AIチップ)
- AIを動かすための特別なプログラム
- 大量の情報を処理・保管するためのデータセンター
AI技術の進化と社会への浸透は今後も加速していく見込みです。AI関連企業のテーマ株への投資は将来的な資産形成の助けになる可能性があります。
電気自動車

世界中で地球環境を守る意識が高まっている背景を受け、電気自動車のテーマ株が注目されています。各国政府の政策も電気自動車の普及を後押しする要因の一つです。
日本国内では、EV購入時に最大80万円の補助金が支給されます。充電設備の設置にも補助金が提供され、公共および家庭用の充電インフラの拡充が図られています。
近年電気自動車の利便性と環境性能の向上が顕著であることも、注目すべきポイントです。バッテリー技術の進化による航続距離の延長や、急速充電などが可能になっています。電気自動車は今やガソリン車に劣らない、もしくは勝る性能を備えており、今後の普及が期待されています。
5G
5Gは日々の生活や社会の仕組みを大きく変える力を持つ、新しい通信技術です。国が5G技術の普及を積極的に進めていることも、5Gのテーマ株が注目されている要因の一つです。5Gをきっかけに生まれた新しいサービスやビジネスは数多くあります。
超高速・大容量通信が特徴の5Gでは、映画などの大きなデータも短時間でやり取りが可能です。車の自動運転や、医師が遠隔地から手術を行う遠隔医療など、遅れが許されない場面でも5Gが活躍しています。街全体や家の中のスマート家電が同時につながる「多数同時接続」も5Gの革新的な技術です。
5Gの新技術を広めるため、アンテナ(基地局)を建てたり、光ファイバー(※1)を整備したりする動きが活発になっています。5G対応のスマートフォンや、関連機械や部品の需要も増えています。幅広い分野を切り開く可能性のある5Gは注目度の高いテーマ株の一つです。
※1 光ファイバーとは、光(レーザーやLEDの光)を使って情報を伝える細いガラスやプラスチックのケーブルです。高速・大容量の通信を可能にするため、インターネットや電話、テレビ放送などに広く使われています。
ESG

ESGとは以下の頭文字を取った言葉です。
- 地球環境(Environment)
- 社会(Social)
- 会社の運営方法(Governance)
ESGを大切にする企業のテーマ株は将来の成長が見込まれ、注目されています。以下の取り組みを行う企業はESGに積極的であると言えます。
- 再生可能エネルギーの導入
- 多様な人材が活躍できる職場環境の整備
- 法令を遵守した公正な取引
- 透明性の高い経営
- 地域社会との良好な関係づくり
社会全体を良くしようとする姿勢は、多くの人々や投資家からの支持を集め、企業の持続的な成長を後押しします。ESGに特化した投資信託やETF(上場投資信託)も数多くあり、投資家は企業を応援する形でテーマ株への投資が可能です。
バイオテクノロジー
バイオテクノロジーとは、生き物の力や仕組みを応用して暮らしを良くする技術のことです。バイオテクノロジーには社会が抱える問題を解決する可能性が秘められており、テーマ株への投資が注目されています。以下の分野でバイオテクノロジーの活躍が期待されています。
- 難病治療の新薬
- 再生医療
- 遺伝子治療
- 生物由来医薬品
- 病気の早期発見技術
バイオテクノロジーの応用範囲は農業や食品、環境問題まで広がっています。バイオテクノロジーは医療分野に留まらない発展性を秘めているため、テーマ株にも人気が集まっています。
テーマ株のリスク

テーマ株は大きな利益が期待できる魅力的な投資対象ですがリスクもあるため、冷静な判断をすることが大切です。以下4つのリスクについて解説します。
- 株価が急落する可能性がある
- 実際の業績が伴わない場合がある
- 情報に振り回されやすい
- テーマ自体が廃れる可能性がある
株価が急落する可能性がある
テーマ株の株価は短期間で大きく値上がりすることがある一方で、急落するリスクも抱えています。株価が急激に上昇した後で利益を確定しようとする投資家の売りが集中し、一気に値下がりすることがあります。以下の状況によりテーマ株の株価が急落する場合もあるため、注意しましょう。
- 関連する技術や業界に悪いニュースが出た
- 政府の規制強化が発表された
- 競合企業が新しい製品やサービスを発表した
- 製品に不具合が見つかった
- 大口の投資家が一度に大量の株を売却した
テーマ株は大きなイベントや発表が終わった後に「材料出尽くし」として売られるケースも多くあります。テーマ株は上昇の勢いが強い分、下落する時のスピードも速いため、暴落には注意が必要です。
実際の業績が伴わない場合がある

テーマ株では、期待先行になりすぎて実際の業績が伴わない場合があります。赤字を抱えている企業や新技術が研究段階に留まっている企業でも、株価が一時的に急騰するケースが見られます。注目度の高いテーマに少し関連性があるだけで、事業化していない企業の株が買われるケースもあることが実状です。
実際の収益の見込みは不透明であることがわかると、テーマ株の株価は急落するリスクがあります。特に曖昧な理由で上昇したテーマ株は下落スピードも急速になる傾向があります。テーマ株に投資する際は表面的なテーマ性だけで判断せず、企業の本業や事業内容、財務状況をしっかり調べましょう。
情報に振り回されやすい
テーマ株はインターネットやSNSにあふれるたくさんの情報によって、判断が左右されやすい特徴があります。インターネット上の情報の中には、真偽が疑わしいうわさ話や個人の思い込みなども多く含まれています。投資の専門家ではないインフルエンサーの意見を深く考えずに信じてしまう人がいることも事実です。
特定のニュースを見ただけで、特定のテーマ株の銘柄について過度に期待したり、心配したりする人もいます。あまりに多くの情報に触れると、テーマ株の投資について冷静に判断できなくなる可能性があるため注意しましょう。
テーマ自体が廃れる可能性がある
テーマ株への投資では、テーマ自体が時代の流れとともに廃れるリスクがあることを覚えておきましょう。市場の注目を集めていたテーマでも、社会の関心や技術革新、政策の変更などにより、急速に色あせてしまう場合があります。
2020年ごろには、新型コロナウイルスの影響によって「巣ごもり消費(※2)」関連銘柄の株価が急上昇しました。しかし人々の生活スタイルがもとに戻ると、テーマへの関心は急激に冷え込み、関連企業の株価が下落しました。
再生可能エネルギー関連の補助金や優遇措置が打ち切られたことで、関連銘柄の株価が下落した事例があります。テーマ株はテーマが時代の需要とずれた瞬間、株価が連動して大きく下落する特徴があります。
テーマ株に投資する際は、「長期的に支持されるか」「社会の流れと合致しているか」などの視点を持つようにしましょう。
※2 巣ごもり消費とは、外出自粛やリモートワークの普及がきっかけで注目された消費行動のことです。家庭用ゲーム機、ネット通販、動画配信サービスなどの消費活動が活発化しました。
テーマ株を探すポイント

有望なテーマ株を探すポイントは以下の3点です。
- 時事ニュースをチェックする
- 今後のイベントを押さえておく
- 流行やトレンドを追いかける
時事ニュースをチェックする
テーマ株を見つけるうえで、以下の時事ニュースを意識的にチェックすることは大切です。
- 政策の転換
- 経済動向
- 社会の課題
- 技術革新
チェックしたニュースが追い風になる企業について考えると、有望なテーマ株を見つけるヒントになります。政府の子育て支援についての発表があった場合は、保育施設関連や教育ICTなどに注目が集まる可能性があります。
地政学的リスクが高まっている報道があった場合は、防衛関連企業やエネルギー自給関連の株に注目してみましょう。一般報道だけではなく経済紙や業界紙、官公庁の発表資料などの一次情報にも目を通すと、情報の精度が高まります。
日々のニュースの中に有望なテーマ株の「芽」が隠れていることを意識して情報収集を行いましょう。
今後のイベントを押さえておく

大きなイベントは特定分野への関心を集め、関連する企業のテーマ株に影響を与える可能性があります。世の中の動きを先読みするために、以下のイベント情報をチェックしましょう。
- 金融政策関連会議
- 大規模国際イベント
- 企業決算発表
- 業界展示会・新製品発表
- 国内外の重要政治・経済イベント
イベントを意識的に把握しておくことで、テーマ株の動きについて今後何が起きるかを読み取りやすくなります。社会の動きと市場の反応を結び付けて考える視点を持つことは、将来性のあるテーマ株を見つけるうえで欠かせません。
流行やトレンドを追いかける
世間の流行やトレンドは株式市場でも注目されやすいため、有望なテーマ株を見つけるヒントとなります。以下の流行やトレンドを収集することがおすすめです。
- X(旧Twitter)で話題のキーワード
- 経済ニュースで取り上げられる新技術・サービス
- Googleトレンドで検索数が急上昇しているトピック
- 日常生活や身の回りで流行している商品やサービス
- 業界の展示会やカンファレンスから得られる最新技術の動向
情報を集めるだけでなく、流行の背景や影響を自分なりに分析するようにしましょう。流行は一時的な話題にとどまらず、大きな産業の成長につながる可能性があります。日々の気付きを投資の視点でとらえ直せば、有望なテーマ株との出会いを引き寄せる機会を増やせます。
まとめ

テーマ株とは、話題性や時代のトレンドに関連して注目される銘柄です。成長期待が高く、短期的な値動きが大きいため、大きな利益を得られる可能性がある点がテーマ株に投資するメリットです。一方でテーマ株には、株価の急落やテーマ自体が廃れるなどのリスクも存在します。
有望なテーマ株を見つけるためには、時事ニュースやイベントのチェックを欠かさないことが大切です。人気があるテーマというだけで特定の銘柄に飛びつかず、企業の成長に期待できる根拠を慎重に見極めてください。記事の内容を参考に情報をしっかりと取捨選択し、将来性の高いテーマ株へ投資してみましょう。