【初心者向け】TOB銘柄を見つけるには？証券会社・金融庁・ニュースサイトの活用法まとめ

• なかなか良い銘柄が見つからない
• 今の投資先以外にも選択肢を増やしたい
• TOB銘柄に興味があるけど、探し方がよくわからない

TOB (株式公開買付け)は大きなリターンが期待できる一方で、情報収集は容易ではありません。

TOBとは一定期間に多数の株式を買い集めること

TOBとは、企業が市場外で特定会社の株式を計画的に買い集める方法です。買付期間や価格、数量をあらかじめ公表し、市場での大量購入による株価変動を避けながら効率的に株式を取得できます。TOBについて、以下を解説していきます。

• TOBの目的
• TOBの種類
• TOBが市場に与える影響

TOBの目的

会社をより良く成長させたり、経営をスムーズに進めたりするために、TOBという方法が用いられることが一般的です。具体的には、以下のような目的でTOBが実施されます。

• 会社の経営を自分たちでしっかりと行えるようにするため
• グループ会社を一つにまとめ、効率的に経営するため
• 他の会社と力を合わせて、大きな成果を目指すため
• 外部の短期的な視点に左右されないため
• 長期的な視点で経営判断をしやすくするため
• 迅速な意思決定ができるようにするため

TOBの種類

TOBには会社の経営陣との関係や買い付ける株式の量、誰が買うかによっていくつかの種類があります。会社の将来や株価に与える影響が異なるため、どのようなTOBなのかを知っておくようにしましょう。

どれくらいの株式を買い付けるかによっても区別されることが一般的です。全部買付は、会社が発行している株式をすべて買い取ろうとするものです。一部買付は会社の株式の一部分だけを買い付けることを目的としています。

LBO (レバレッジド・バイアウト）は、買収するための資金の大部分を借金でまかなって行われる買収です。少ない自己資金で大きな会社を買うときにLBOが使われます。

TOBが市場に与える影響

TOBが発表されると、会社の株価や取引の量に大きな変化が出ます。TOBで示される株の買い付け価格は、市場での価格よりも高く設定されがちです。多くの投資家がTOBに注目するので、株の売買が活発になる傾向にあります。TOBが発表されると、市場には以下のような影響が出ることが考えられます。

• 株価の上昇
• 取引の活発化
• TOB不成立による株価急落リスク
• 上場廃止の可能性

TOB銘柄の見つけ方

TOB銘柄の見つけ方は以下のとおりです。

• 証券会社の情報サイト
• 金融庁のTOB届出情報
• 株式関連の専門ニュースサイト
• 証券取引所の公式発表やプレスリリース
• SNS

証券会社の情報サイト

証券会社の情報サイトは、TOBの対象になりそうな銘柄や、すでに発表された銘柄を見つけるために役立ちます。多くの証券会社では、投資家向けに以下のような情報を提供しています。

• TOB情報・ニュース
• 発表済TOB銘柄リスト
• 関連企業ニュース・専門家分析レポート
• 銘柄検索機能(スクリーニング)
• TOB情報メール通知・アラート

金融庁のTOB届出情報

金融庁が提供する情報を活用すれば、TOBの対象となる銘柄をいち早く見つけられます。企業がTOBを行う際には「公開買付届出書」という書類を金融庁に提出する決まりがあるからです。公開買付届出書は金融庁のウェブサイトを通じて一般にも公開されるため、投資家も内容を確認できます。

株式関連の専門ニュースサイト

株式投資に関する専門的なニュースサイトは、TOBの対象となりそうな銘柄を見つけるための情報源として有用です。株式関連の専門ニュースサイトでは、企業の動きや市場のトレンドに関する情報がタイムリーに報じられるからです。専門ニュースサイトを活用する際は、以下のポイントを参考にしてください。

• 企業名＋TOBのキーワードでニュースを検索
• M&Aや市場再編の速報記事で最新のTOB情報を取得
• TOBの背景や目的、価格、期間などを解説した専門家の分析記事を閲覧
• 過去のTOB事例や発表後の株価の動きに関する特集記事を閲覧
• 1サイトだけでなく複数の専門ニュースサイトから情報収集
• 普段利用している証券会社が提供する投資情報内のニュースコンテンツも確認

» 自分に合った戦略を見つける！株式投資の始め方と注意すべきリスク

証券取引所の公式発表やプレスリリース

証券取引所が出す公式発表やプレスリリースは、TOBの有力な情報源です。会社がTOBを行う際は証券取引所へ関連情報を開示する義務があるため、正確な情報を発表しなければならないからです。証券取引所のウェブサイトでは公開買付開始公告や上場廃止可能性の通知、情報サービス検索結果を閲覧できます。

SNS

SNSでもTOBの情報収集が可能です。多くの人がリアルタイムでTOBの情報を発信しており、時には公式な発表よりも先に手がかりを見つけられる場合があります。

投資関連のオンラインコミュニティやグループに参加し、他の投資家の情報や意見を聞くこともTOBの情報収集に有効です。特定の企業名や業界名と「TOB」を組み合わせて検索すると、関連する投稿を探せます。

SNSの情報は速報性が期待できる反面、不確かな情報も含まれる可能性があります。得られた情報は必ず金融庁の発表や企業の公式な知らせなど、信頼できる情報源で正しいかどうかを確認しましょう。

TOBされやすい銘柄の特徴

TOBされやすい銘柄の特徴は以下のとおりです。

• 親子上場している企業
• 株価が割安な企業
• 業績が安定している企業
• 優待や配当利回りが高い企業

親子上場している企業

親子で上場している企業は、TOBの対象になりやすいです。親会社が子会社の経営の円滑化や結びつきを強くする目的で、子会社の株式を買い集めるTOBが行われるからです。親会社が子会社に対してTOBを検討する場合には、以下のようなケースがあります。

• 親会社が子会社を完全に自分のものにしたい
• 子会社の事業を立て直したい
• 子会社の株式取引をやめさせたいと判断した
• 親会社と子会社が協力し大きな成果を生み出せると判断した
• 子会社の株価が本当の価値よりも割安だと親会社が判断した
• 親会社の経営計画の一環として子会社の株式が必要になった
• 他の株主が持つ子会社の株を親会社が買い集めたい

株価が割安な企業

株価が本来の価値よりも安い企業は、買収する側にとって魅力的です。少ない資金で企業を手に入れられる可能性があるからです。株価が割安と見なされる状況にはPER(※1)やPBR(※2)などの指標が低い場合が考えられます。財産価値や将来の成長性が評価されていない場合や一時的な業績不振なども対象です。

※1 PERとは株価収益率が低い状態です。
※2 PBRとは株価純資産倍率が1倍を大きく下回る状態です。

業績が安定している企業

業績が安定している企業は、TOBの対象として魅力的です。買収する側にとって、買収後の事業が計画どおりに進む可能性が高く、リスクを抑えながら安定したリターンを期待できるためです。業績が安定している企業には、次のような特徴があります。

• 売上高・利益の安定・成長
• 高い自己資本比率・低負債
• 安定したキャッシュフロー創出力
• 景気変動に強い事業
• 高い市場シェア・ブランド力
• 安定配当・増配実績

業績が安定している企業は、買収する側から見て安心して投資できる対象と見なされ、TOBの候補になりやすいです。

優待や配当利回りが高い企業

株主優待が魅力的で、配当利回りが高い企業は、TOBの対象として注目されます。優待や配当利回りが高い企業は株主へ利益をきちんと返そうという姿勢が強く、会社の経営が安定している証拠とも言えるからです。

» 株の配当に関する基礎知識から高配当銘柄の選び方まで解説
» 配当利回りとは？計算方法や高配当株の選び方を解説

TOB銘柄を見つける際の注意点

TOB銘柄を見つける際の注意点は以下のとおりです。

• 情報の信頼性を確認する
• 企業のTOBの目的を把握する
• TOBの価格と条件をよく読む
• TOB銘柄の流動性に注意する
• 市場の反応をチェックする
• リスク管理を徹底する

情報の信頼性を確認する

インターネットで見つけた気になる株は、必ず情報の信頼性を確認しましょう。情報が正しいかどうかを確かめるには、以下の点を確認します。

• 公式発表の確認
• 複数情報源での確認
• 情報発信者の調査
• 最新情報であるかの確認

企業のTOBの目的を把握する

企業のTOBの目的によって、その後の株価の動きや会社の将来が変わってくる可能性があります。TOBの目的は企業によってさまざまです。会社経営の安定化や統合による巨大化、他企業からの乗っ取り防止が挙げられます。TOBにより他会社の仕事や技術力を獲得したい場合もあります。

TOBの価格と条件をよく読む

TOBの価格や条件を見落とすと、期待していた利益が得られないばかりか、思わぬ損をしてしまう可能性があります。TOBの価格と条件をよく読む際は、以下の点を中心に確認しましょう。

• 価格の妥当性
• 買付株数・下限
• 申込期間・支払時期
• 申込方法・取扱証券
• 成立・不成立条件
• 成立後の会社方針
• 説明書の内容

公開買付説明書にはTOBに関する細かい条件や、注意すべき点が詳しく書かれているので、隅々まで目を通すことをおすすめします。

TOB銘柄の流動性に注意する

TOBが発表された銘柄は、株の売り買いがしにくくなることがあるので注意が必要です。TOBが発表されると市場で該当株を取引する人が減ったり、株価が動きにくくなったりする場合があります。

TOBへの応募は、原則として途中でキャンセルできません。応募している間は資金が使えないので、他の良い投資先を見つけてもチャンスを逃すリスクもあります。TOB銘柄は思いどおりに売買できない可能性があります。投資を検討する際は、TOB銘柄の流動性のリスクも十分に考慮しましょう。

市場の反応をチェックする

TOB銘柄への投資を考える際、市場が当該TOBをどのように評価しているか見極めましょう。市場の反応の観察は、TOBの成功率や将来の株価動向を推測するうえで、重要なヒントを与えてくれるからです。市場の反応を読み解くために、以下のような情報を集めて検討します。

• TOB発表後の株価とTOB価格の関係
• 普段の取引量と比較した株の取引量の急増
• ニュース速報、専門家による分析レポートや評論記事
• TOBに対する専門家の見解や評価
• TOB銘柄に関する他の投資家の反応や全体的な雰囲気
• TOBが成立しない可能性
• より良い条件での対抗的な買い付け提案の噂
• TOB価格が引き上げられる際の市場で交わされる観測
• 企業が属する業界の他の会社の株価の動向

リスク管理を徹底する

TOBは魅力的な投資機会に見えることがありますが、必ずしも思いどおりに進むとは限りません。株価が予期せず大きく動くこともあり、損をしてしまう可能性も考えられます。あらかじめ危険性を避けるための準備をしておきましょう。

まとめ

企業が株式を買い集めるTOBは、株価が上がることも多くあります。ただし良い銘柄を見つけて投資するには、正しい知識と注意が求められます。TOBされそうな会社を見つけるには、さまざまな情報源の活用が大切です。

適切な情報収集と分析、そしてリスク管理を組み合わせることで、新たな投資チャンスを見つけ出せます。