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投資を始めても自分に合った金融商品を選ぶのは難しいものです。インデックス投資信託はよく知られていますが、仕組みや他の金融商品との違いを理解している人は多くありません。
この記事ではインデックス投資信託の基礎知識から、メリット・デメリット、他の金融商品との違いまで解説します。記事を読めば自分に適したインデックス投資信託を判断できるようになります。
インデックス投資信託とは市場全体に低コストで分散投資できる金融商品です。自分の投資目的に合ったインデックス投資信託を選び、長期・積立で運用することが着実な資産形成の鍵となります。
インデックス投資信託と投資信託の違い

インデックス投資信託と投資信託の違いは以下のとおりです。
- インデックス投資信託とは市場全体の動きに連動することを目指す投資信託
- 投資信託とは投資家から集めた資金をプロが運用する金融商品
インデックス投資信託とは市場全体の動きに連動することを目指す投資信託
インデックス投資信託とは日経平均株価などの市場全体の動きを表す「指数(インデックス)」と同じ値動きを目指す金融商品です。専門家が銘柄を探すのではなく、指数に機械的に連動させるシンプルな運用を行うため「パッシブ運用」とも呼ばれています。
1つのインデックス投資信託を買うだけで以下の効果が期待できます。
- 複数の銘柄に自動で分散して投資できる
- 市場全体の成長に合わせて資産が増えやすい
- 値動きがわかりやすく、状況を把握しやすい
インデックス投資信託は経済全体の成長に合わせて資産を増やしていきたいと考える人に適した金融商品です。
投資信託とは投資家から集めた資金をプロが運用する金融商品
投資信託とは投資家から集めたお金をひとまとめにし、プロが代わりに株式や債券などに投資してくれる金融商品です。専門的な知識がなくても運用をプロに任せられるので、手軽に投資を始められます。1つの商品で国内外のさまざまな資産に分散して投資できる点も投資信託の特徴です。
投資信託の運用による利益や損失は、投資額に応じて投資家に分配されます。投資信託は少額からでもプロの力を借りて、世界中のさまざまな資産へ分散投資ができる便利な仕組みと言えます。
» 投資信託とは?種類やメリット・デメリットを解説!
インデックス投資信託のメリット

インデックス投資信託のメリットは以下のとおりです。
- 低コストで運用ができる
- 分散投資でリスクを軽減できる
- 長期投資に向いている
低コストで運用ができる
インデックス投資信託は運用にかかる手数料などのコストを低く抑えられます。市場全体の平均点を目指すシンプルな運用方法を採用しているためです。
インデックス投資信託は以下のような手数料が無料だったり、安く設定されていたりすることが一般的です。
- 信託報酬:投資信託を持っている間、毎日かかる費用
- 購入時手数料:投資信託を買うときにかかる費用
- 信託財産留保額:投資信託を売るときにかかる費用
インデックス投資信託は買うときから売るときまで、さまざまな手数料を節約できることがポイントです。余計なコストをかけずに資産形成していきたい人にとって、インデックス投資信託は魅力的な選択肢と言えます。
分散投資でリスクを軽減できる

インデックス投資信託は1つの商品で多くの投資先に資金を分けることでリスクを効果的に減らせます。投資先が自動的に数十から数百の会社や国・地域に分かれる仕組みになっているためです。
インデックス投資信託に投資すると以下のリスクを軽減できます。
- 個別銘柄リスク: 特定の会社の業績が悪化したり、倒産したりするリスク
- カントリーリスク: 特定の国の経済や政治の状況が悪化するリスク
細かい分析の知識や時間がなくても、手軽に分散投資のメリットを得られることがインデックス投資信託の特徴です。
長期投資に向いている
インデックス投資信託は長い時間をかけて資産を育てる長期投資に向いています。一度買って長く持ち続けることで、投資で得た利益がさらに利益を生む「複利」の力を生かせるためです。運用にかかる手数料が比較的低いため、長期保有でも利益が目減りしにくいこともインデックス投資信託の強みです。
インデックス投資信託は焦らずじっくりと資産を増やしたい人にとって心強い金融商品と言えます。
インデックス投資信託のデメリット

インデックス投資信託のデメリットは以下のとおりです。
- 大きなリターンは期待しにくい
- 短期間での利益は出にくい
大きなリターンは期待しにくい
インデックス投資信託は市場全体の平均的な成果を目指す投資方法のため、大きなリターンはあまり望めません。分散投資が基本のため、一部の会社の株価が大きく値上がりしても全体の成績に与える影響は小さくなるためです。
個別株投資のように、特定の会社の株価が短期間で2倍や3倍になるような大きな利益はインデックス投資信託では得られません。インデックス投資信託は一攫千金を狙うのではなく、安定した成長を目標とする人に向いています。
短期間での利益は出にくい
インデックス投資信託で短期間での利益を求めることは現実的ではありません。市場は短期的には上下の変動が激しく、数か月や1年程度の期間では一時的な下落局面に遭遇する可能性が高いためです。下落局面ではインデックス投資信託で含み損を抱えることもあります。
インデックス投資信託は複利効果を生かした長期的な資産形成に強みがあります。短期的な利益を追求する投資手法には向いていないことを理解しておきましょう。
インデックス運用とアクティブ運用の違い

インデックス投資信託とアクティブ運用の違いを以下の観点から解説します。
- 目指す運用成果の違い
- コストとパフォーマンスの違い
目指す運用成果の違い
インデックス運用の最大の特徴は市場平均に連動した運用成果を目指すことです。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの特定の指数と同じような値動きをすることを目指しています。相場環境に関わらず一定の投資方針を維持していくことがインデックス運用の特徴です。
アクティブ運用は市場平均を上回るパフォーマンスを目指す運用方法です。ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が自らの判断で銘柄選択を行い、より高いリターンを獲得しようとします。アクティブ運用では相場環境によって投資方針を変更することもあります。
安定したリターンを求めるならインデックス運用、市場平均を上回る可能性を求めるならアクティブ運用を選びましょう。
コストとパフォーマンスの違い
インデックス運用はアクティブ運用と比べて運用管理手数料が大幅に低いことが特徴です。一般的にインデックス運用の手数料は年率0.1~0.5%程度なのに対し、アクティブ運用は年率1.0~2.0%程度です。インデックス運用とアクティブ運用の手数料の差は長期投資では大きな影響を与えます。
アクティブ運用は高いリターンを狙いますが、安定して市場平均を超える例はごくわずかです。インデックス運用は市場平均のパフォーマンスを目指すため、確実に市場平均に近いリターンが得られます。
コストとパフォーマンスを踏まえると多くの投資家にとってインデックス運用の方が有利なことが多いです。ただし相場環境や投資目的によってはアクティブ運用が適している場面もあります。自分の投資スタイルに合わせた選択をおすすめします。
インデックス投資信託とETF(上場投資信託)の違い

インデックス投資信託とETFの違いを以下の観点から解説します。
- 取引方法と流動性の違い
- 手数料の違い
- NISAやiDeCoなどの制度利用の違い
取引方法と流動性の違い
インデックス投資信託は証券会社や銀行の営業時間内に注文し、注文日の基準価額で1日1回だけ取引されます。注文を出しても実際に解約金が手元に届くまでには数日かかることもあるため、急に資金が必要になった場合には注意が必要です。
ETFは株式と同じように取引所で売買されるため、市場が開いている間はリアルタイムで取引できることがメリットです。すぐに現金化したい場合には便利ですが、以下のような点には注意しましょう。
- 市場価格で取引されるため、基準価額と差が生じることがある
- スプレッド(買値と売値の差)によって取引しにくくなるリスクがある
- 1株当たりの価格が高く感じることもある
インデックス投資信託は基準価額で取引されるため価格の透明性が高いという利点があります。ETFはタイミングを見計らった売買がしたい人には適しています。
手数料の違い

インデックス投資信託は購入時手数料が無料の商品が多いことが特徴です。ETFは株式と同じように売買するため、取引の際に証券会社に売買手数料を支払わなくてはなりません。
継続的にかかるコストにもインデックス投資信託とETFには違いがあります。インデックス投資信託は信託報酬が年率0.1〜0.5%程度かかるのに対し、ETFは同じ指数に連動する商品でも低めの水準です。
ETFを取引する際には株式と同様にスプレッドが発生します。スプレッドは見えにくいコストですが、頻繁にETFを売買する場合は無視できない金額になることがあるため注意しましょう。
NISAやiDeCoなどの制度利用の違い
NISAではインデックス投資信託とETFの両方を投資対象として選択可能です。ただしつみたてNISAに関しては、ETFの投資ができません。つみたてNISAでは一定の条件を満たしたインデックス投資信託のみが投資対象です。
iDeCoについても制限があり、ETFは投資対象として認められていません。iDeCo向けに指定されたインデックス投資信託には投資が可能です。
税金面での違いも重要なポイントです。インデックス投資信託は特定口座での税金の源泉徴収が可能ですが、ETFの場合は確定申告が必要になることがあります。
NISAやiDeCoなどの税制面の違いを理解したうえで自分の投資目標に合った選択をしましょう。
インデックス投資信託の選び方

インデックス投資信託の選び方は以下のとおりです。
- 投資目的に合わせて選ぶ
- 手数料と運用実績を確認する
投資目的に合わせて選ぶ
投資目的を明確にすることはインデックス投資信託を選ぶ際に欠かせないステップです。投資目的によって最適な投資先は変わります。
投資目的別に適したインデックス投資信託は以下のとおりです。
- 資産形成:全世界株式や先進国株式のファンド
- 老後資金の準備:国内外の株式と債券をバランス良く組み合わせたファンド
- 定期的な収入源の確保:高配当株式に連動するファンド
- リスクの抑制:債券中心のファンド
- 短期間の運用:MMFや短期国債に連動するファンド
自分の将来設計や資金計画に合わせて最適なインデックス投資信託を選んでください。
手数料と運用実績を確認する
手数料と運用実績はインデックス投資信託を選ぶ際の重要な判断材料です。低コストで効率的な運用を実現するために、しっかり確認しましょう。
インデックス投資信託にはさまざまな手数料がかかり、長期で見ると負担が大きくなりがちです。できるだけ手数料のかからない商品を選ぶことがポイントです。特に以下の3つの手数料が無料または低いインデックス投資信託を選びましょう。
- 信託報酬
- 販売手数料
- 信託財産留保額
運用実績を確認する際はベンチマーク(※1)とのトラッキングエラー(※2)が小さいインデックス投資信託が理想的です。インデックス投資信託の目的は市場に連動することなので、トラッキングエラーが小さいほど本来の役割を果たしていると言えます。
※1 ベンチマークとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの特定の指数のことです。
※2 トラッキングエラーとは、基準となるベンチマークのリターンとどれだけ乖離しているかを示す指標のことです。
インデックス投資信託で成功するためのポイント

インデックス投資信託で成功するためのポイントは以下のとおりです。
- 長期的な視野を持つ
- 積立投資を活用する
長期的な視野を持つ
インデックス投資信託で成功するためには短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視野を持つことが不可欠です。5年、10年、あるいは20年といった長い時間軸で考えることで、真の資産形成が可能になります。
歴史的に見ると市場は長期的には右肩上がりの傾向があります。短期的な値動きに振り回されず、長期的な市場の成長を信じて投資を続けることがインデックス投資の本質です。
市場が急落したときこそ冷静に行動しましょう。慌てて売却するのではなく、むしろ割安になった株を買い増すチャンスと捉える姿勢が長期的な成功の鍵です。
積立投資を活用する
積立投資はインデックス投資信託の強みを最大限に引き出す投資方法です。毎月一定額を自動的に投資することで時間分散効果を得られ、長期的な資産形成に大きな効果をもたらします。
積立投資の最大の魅力は「ドルコスト平均法」により、平均取得単価を抑えられる点です。ドルコスト平均法とは市場の動きに関係なく、一定のタイミングで同じ金額を投資し続ける方法です。相場が下がったときにはより多くの口数を購入できるため、結果的に平均購入価格を引き下げやすくなります。
インデックス投資信託を積立投資するメリットは以下のとおりです。
- 少額から始められる
- 自動的に投資を続けられる
- 感情に左右されずに投資できる
- 給料日に合わせて積立設定ができる
長期的な視点で着実に資産を増やしたい人には、インデックス投資信託の積立投資が最適な選択肢になります。
インデックス投資信託の強みを生かして着実な資産形成を目指そう

インデックス投資信託は市場平均のリターンを目指す金融商品です。低コストで幅広い銘柄に分散投資できるため、個別銘柄選びの手間やリスクが軽減されます。長期・積立投資との相性が良く、複利効果を最大限に生かせることが特徴です。
月1万円を30年間インデックス投資信託に投資すれば、年利5%で約1,000万円の資産形成も夢ではありません。無理のない金額から始め、市場の上下に関わらず投資を継続することがインデックス投資信託成功への近道です。