- 今の証券口座で投資を続けるか悩んでいる
- 他の証券口座の特徴やメリットを知りたい
- 自分に合った証券口座の選び方がわからない
すでに投資を始めていても「他の証券口座の方が良い銘柄が買えるのでは」と悩む人は多いはずです。証券口座とは何かを調べず開設し、後悔することは投資初心者によくある失敗です。記事では証券口座の基礎知識や自分に合った口座選びのポイント、開設方法を解説します。
記事を読めば各証券口座の特徴を理解し、自分の投資スタイルに合った証券口座を開設できます。証券口座とは株式や投資信託などの金融商品を取引するための口座です。各証券口座にはそれぞれ特徴があり、手数料や取扱商品が異なります。自分の投資スタイルに合わせて証券口座を選ぶことが、資産形成を成功させるための第一歩です。
証券口座とは金融商品を売買するために開設する口座

証券口座とは株式や投資信託、債券などの金融商品を売買するために開設する口座です。投資を開始する際には証券口座の開設が必須です。
証券口座には購入した株式や投資信託を保管・管理する役割があります。証券口座の目的は資産を運用して増やすことです。日常的に入出金に使う銀行口座とは、証券口座を開設する目的や仕組みが異なります。
証券口座と銀行口座の違い

証券口座と銀行口座の違いを以下の項目別にまとめました。
- お金の管理方法の違い
- 金融商品の取扱いの違い
お金の管理方法の違い
証券口座と銀行口座にはお金の管理方法に違いがあります。銀行口座とは給与の受け取りや公共料金の支払いなど、日常生活で使うお金を管理する場所です。銀行口座は預金の元本が保証されます。
証券口座とは金融商品を運用して、資産を増やすための口座です。金融商品の価格は日々変動するため、元本割れのリスクがあります。銀行口座から証券口座に資金を移すことで、金融商品の取引ができます。
金融商品の取扱いの違い
証券口座と銀行口座の違いは取り扱う金融商品の種類です。証券口座は資産を増やすことを目的としているため、株式や投資信託、債券などの投資商品を主に扱っています。NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用した投資も、証券口座で行えます。
銀行口座は資産を安全に守ることが目的のため、普通預金や定期預金など元本保証されている商品が中心です。銀行でも投資信託などの商品を買えますが、証券会社と比べると金融商品の種類は限られています。本格的に資産を増やしたいなら、金融商品が豊富な証券口座の開設がおすすめです。
証券口座で取引できる金融商品

証券口座で取引できる金融商品は以下のとおりです。
- 株式
- 投資信託
- 債券
株式
株式とは会社がお金を集めるために発行するもので、購入すると会社の株主になれます。株式の魅力は会社の成長に応じて利益が期待できる点です。
株式投資で得られる利益には以下の種類があります。
- 値上がり益(キャピタルゲイン)
- 値上がり利益とは、購入した株式の価格が上昇したときに売却して得られる利益のことです。
- 配当金(インカムゲイン)
- 配当金とは、会社が得た利益の一部を株主に現金で還元するものです。
- 株主優待
- 株主優待とは、会社の商品やサービスの割引券などを受け取れる、日本株特有の特典です。
株式投資には購入したときよりも株式の価値が下がる「価格変動リスク」もあります。万が一、投資した会社が倒産した場合は株式の価値がなくなる可能性もあることを理解しておきましょう。
» 自分に合った戦略を見つける!株式投資の始め方と注意すべきリスク
投資信託

投資信託とは投資の専門家が多くの人から集めた資産をまとめて、株式や債券などに投資する金融商品です。運用は投資の専門家に任せられるため、投資信託は投資の経験や知識が少ない人でも始められます。投資信託は少額から国内外の商品に分散投資できるため、投資初心者でも購入しやすい点もメリットです。
ただし、投資信託の運用には手数料がかかり、投資元本が保証されない点には注意が必要です。
» 投資信託とは?種類やメリット・デメリットを解説!
債券
債券とは国や会社にお金を貸し、見返りとして利子を受け取る仕組みの金融商品です。あらかじめ定められた「満期」になると、貸したお金が全額返ってくることが債券の特徴です。
国が発行する債券を「国債」と言い、会社が発行する債券を「社債」と言います。株式と比べると価格の変動が穏やかなため、債券は資産全体のバランスを安定させる目的で選ばれることが多くあります。
債券にはお金を貸した国や会社の経営が悪化すると、利子や元本が支払われなくなる「信用リスク」があることに注意が必要です。海外の債券に投資する場合は為替レートの変動によって円に換算したときの価値が変動する「為替変動リスク」も考慮しておきましょう。
証券口座の種類

証券口座の種類は以下のとおりです。
- 一般口座
- 特定口座
- NISA口座
一般口座
一般口座とは1年間の利益や損失の計算から確定申告まで、すべて自分で行う口座です。証券会社から年間の取引結果をまとめた「年間取引報告書」が発行されないため、自分で利益や損失を計算して申告しなければなりません。
計算ミスや申告漏れのリスクがあるため、一般口座の管理は投資初心者には難しい作業と言えます。特定口座制度前から投資をしていた人や未公開株などを取引する人に一般口座は向いています。証券口座を開設する際に口座区分を何も選択しないと、自動的に一般口座が開設されることがあるため注意しましょう。
特定口座

特定口座とは投資で得た利益にかかる税金を、自動で計算してくれる口座です。証券会社が1年間の利益や損失を自動で計算し「特定口座年間取引報告書」を作成してくれるため、自分で複雑な計算をする手間を省けます。
特定口座では「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のどちらかを選びます。「源泉徴収あり」は証券会社が税金を差し引いて利益を納めてくれるため、自分で税金を申告する必要がありません。「源泉徴収なし」は証券会社が作成した年間の報告書をもとに、自分で税金の申告と納税を行います。
投資初心者や確定申告の手間を減らしたい人には「源泉徴収あり」の口座がおすすめです。
NISA口座
NISA口座とは投資で得た利益が非課税になるお得な制度です。通常、株や投資信託の利益に対して約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すれば税金が0円になります。
2024年から始まった新NISA制度では商品の非課税保有期間が無期限になり、非課税で投資できる総額が1,800万円に拡大されました。1年間の「つみたて投資枠」の投資上限額は120万円です。「成長投資枠」の上限額は240万円で、合計360万円まで新NISAで投資できます。
NISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と損益を相殺(損益通算)することはできません。
証券口座の2つの形式

証券口座には以下の形式があります。
- ネット証券
- 店舗型証券会社
ネット証券
ネット証券とはインターネット上で取引する証券会社のことです。実店舗を持たないため、運営コストが抑えられることが、ネット証券のメリットです。
ネット証券には以下の特徴があります。
- 取引手数料を安く抑えられる
- スマホやパソコンから株の売買ができる
- 投資に役立つ情報やツールを無料で使える
ネット証券には電話やチャットサポートはありますが、対面での相談はできない点に注意が必要です。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説
店舗型証券会社
店舗型証券会社とは投資の専門家と相談しながら株式や投資信託などの売買が行える場所です。担当者と直接話せるため、店舗型証券会社なら投資初心者でも安心して投資の判断ができます。
店舗型証券会社ではIPO(新規公開株)や店舗限定の金融商品も案内されます。セミナーに参加して投資の知識を深めることも店舗型証券会社なら可能です。ただし、ネット証券に比べて店舗型証券会社は、株式の売買手数料が高くなる点に注意しましょう。
証券口座選びのポイント3選

証券口座選びのポイントは以下のとおりです。
- 手数料とコストで選ぶ
- サポート体制で選ぶ
- 取引ツールの使いやすさで選ぶ
手数料とコストで選ぶ
証券口座を選ぶ際には手数料やコストを比較しましょう。手数料が高いと、投資で得た利益が減ってしまうためです。
投資商品ごとにかかるコストや手数料、選ぶポイントを以下の表にまとめました。
| 国内株式 | 外国株式 | 投資信託 | |
| 主なコストや手数料 | 売買手数料 | 売買手数料、為替手数料 | 購入時手数料、信託報酬 |
| 選ぶポイント | 手数料無料の証券会社を選ぶ | 為替手数料を確認してから選ぶ | 手数料率や信託報酬が低いものを選ぶ |
| 補足 | 多くのネット証券で売買手数料が無料化されている | 外貨で取引するため、円をドルなどに換算するときに為替手数料が発生することがある | 長期運用では信託報酬の差が成果に影響する |
他にも、以下の手数料を確認しておくと、よりコストを抑えられます。
- 単元未満株の手数料
- 単元未満株の手数料とは、単元未満株(通常100株単位で取引する株を1株から購入できるサービス)の注文にかかる費用です。
- 口座管理手数料
- 口座管理手数料とは、口座を保有しているだけでかかる費用です。多くのネット証券は口座管理手数料が無料です。
- 入出金手数料
- 入出金手数料とは、証券口座に入金したり、出金したりするときにかかる費用です。提携銀行を使えば入出金手数料が無料になる場合があります。
少額から投資を始めたい人や維持費を抑えたい人は、投資にかかる手数料やコストに注意しましょう。
サポート体制で選ぶ

証券口座はサポート体制が整ったサービスを選びましょう。サポート体制が整ったサービスとは投資でわからないことがあるときに、すぐ相談できる窓口や仕組みがあることを指します。
証券口座を選ぶ際に以下のサポート体制があるかを確認しましょう。
- 電話やチャットなど複数の方法で問い合わせができる
- 土日や夜間など生活スタイルに合う時間に対応している
- AIチャット以外に専門スタッフと直接話せる
- 専門家による市場分析や銘柄レポートを確認できる
- 投資についてのオンラインセミナーに参加できる
取引ツールの使いやすさで選ぶ
証券口座は取引ツールが使いやすいサービスを選びましょう。使いやすい取引ツールとは初心者でも操作を簡単にでき、注文や資産状況をすぐに確認できる仕組みのことです。使いにくい取引ツールでは良い銘柄を見つけても最適なタイミングで売買できず、機会を逃してしまう可能性があります。
情報収集から注文までの流れがスムーズにできる取引ツールを選ぶことが、投資成績の向上につながります。
証券口座の開設方法

証券口座の開設手順を以下に解説します。
- 口座開設を申し込む
- 本人確認書類を提出する
- 口座開設完了の通知を受ける
- 入金して取引を開始する
口座開設を申し込む
口座開設の申し込みとは証券会社で株式や投資信託などを取引するために行う手続きのことです。証券会社の申し込みページでは手続きに必要な入力項目が順に表示され、スムーズに登録を完了できます。
口座開設の際に入力・選択する項目は以下のとおりです。
- 個人情報
- 職業・年収・投資経験の有無
- 口座の種類
- 各種ルールへの同意
本人確認書類を提出する

証券口座を開設する際は法律によって本人確認書類の提出が義務付けられています。マイナンバーカードがあれば、表面と裏面の写真を提出するだけで本人確認書類の提出は完了します。
マイナンバーカードを持っていない場合は、以下の書類を組み合わせて提出しましょう。
- マイナンバーがわかる書類
- マイナンバーがわかる書類には、通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しが該当します。
- 顔写真付きの本人確認書類
- 顔写真付きの本人確認書類には、運転免許証やパスポートが該当します。
本人確認書類を提出する際は書類の有効期限や入力内容に誤りがないか確かめましょう。
口座開設完了の通知を受ける
本人確認書類の提出後、証券会社の審査に通ると口座開設完了の通知がメールまたは郵送で届きます。口座開設完了の通知は本人以外が受け取れないよう「転送不要」の簡易書留で郵送されることが一般的です。
口座開設完了の通知には取引サイトのログインIDや初期パスワードが記載されています。記載された情報をもとに取引サイトにログインし、パスワード設定などの初期設定を完了させましょう。
入金して取引を開始する
口座開設完了の通知を受け取ったら、証券口座に入金して取引を始めましょう。ネット証券では銀行からお金を移せる「即時入金サービス」が利用でき、手数料無料ですぐに証券口座に反映されます。銀行のATMや窓口からの入金は手数料が発生したり、入金が反映されるまでに時間がかかったりするため注意が必要です。
証券口座に入金したら、取引ツールやウェブサイトにログインしましょう。株式の銘柄名やコードを検索し、購入株数や価格を入力して発注します。注文方法には成行注文(※1)や指値注文(※2)などがあります。
※1 成行注文とは、現在の市場価格で株を売買する注文方法です。
※2 指値注文とは、希望価格を指定して株を売買する注文方法です。
証券口座の特徴を理解して自分に合った口座を開設しよう

証券口座とは株式や投資信託などの金融商品を売買・管理するための口座です。銀行口座とは違い「資産を運用して増やす」ことが証券口座の目的です。
証券口座によって手数料やサポート体制、取引ツールの使いやすさが異なるため、目的に合わせて複数の口座を使い分けましょう。手数料の安さを重視するならネット証券、専門家のアドバイスを受けたいなら店舗型証券会社など、重視する点によって証券口座の選び方は異なります。
投資目的やスタイルを明確にし、自分に合う証券口座を選ぶことが資産形成の第一歩です。