株の売り方で迷わない!売却方法の種類や判断基準、売却後の注意点を徹底解説

株の売り方で迷わない!売却方法の種類や判断基準、売却後の注意点を徹底解説

保有している株をいつ売ればいいのか、判断に迷っている投資家は多くいます。株式投資では、買うタイミングだけでなく売るタイミングも重要です。この記事では、株の売却に関する基本知識から実践的な売り方、売却後の資金管理まで体系的に解説します。

記事を読めば、売却時期の判断に自信が持てるようになり、投資成果の向上にもつながります。株を売る判断基準として代表的なのは「目標株価到達」「割高評価」「損切りライン到達」の3つです。複数の注文方法の中から、状況に応じて使い分け、納得のいく売却判断をしましょう。

株を売るうえで知っておくべきこと

株を売るうえで知っておくポイントは、以下の3つです。

  • 株の売却による税金の仕組み
  • 株の売却手数料
  • 売却後の資金の流れ

» 自分に合った戦略を見つける!株式投資の始め方と注意すべきリスク

株の売却による税金の仕組み

株の売却利益は「譲渡所得」として課税されます。税率は一律20.315%で、内訳は所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%です。株式の譲渡益には「申告分離課税」が適用されるため、給与など他の所得と合算されません。譲渡益は、売却価格から取得価格と売買手数料を差し引いた額で計算されます。

損失が出た場合は同年内の他の譲渡益と相殺でき、残る損失も翌年以降3年間繰り越しが可能です。口座の種類によって税金の扱いが異なり、特定口座(源泉徴収あり)なら証券会社が税金を自動的に処理してくれます。源泉徴収なしの特定口座や一般口座では、自分で確定申告を行う必要があります。

NISA口座で得た売却益は非課税です。上場株式と非上場株式では税率が異なることがあるため、保有銘柄の種類に応じて確認しましょう。
» 株式投資でかかる税金をわかりやすく解説!

株の売却手数料

株を売却する際の手数料は、証券会社によって金額や体系が異なるため、事前の確認が重要です。ネット証券は対面証券よりも手数料が安く、定額制と従量制の2種類があります。大手ネット証券では、100万円以下の取引であれば数百円程度の手数料が一般的です。
» ネット証券の選び方を初心者から上級者まで徹底解説

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、売却時の手数料は譲渡益から自動的に控除されます。PTS(私設取引システム)や時間外取引では、通常とは異なる手数料がかかるため注意が必要です。近年は、以下のような手数料優遇サービスを提供する証券会社も増えています。

  • 単元株(100株)取引の手数料無料化
  • 取引頻度や資産額に応じた優遇プランの提供

売却後の資金の流れ

株式売却後の資金の流れの理解は、投資計画を立てるうえで重要です。売却代金は約定日から2営業日後(T+2)に証券口座へ入金され、手数料や税金が差し引かれた金額が反映されます。源泉徴収ありの口座では税金が自動で処理されます。ただし、源泉徴収なしの特定口座や一般口座では確定申告が必要です。

売却益は他の所得と損益通算でき、損失は最大3年間繰り越して控除できます。取引後は証券会社から届く取引報告書を確認しましょう。証券会社によっては、売却資金を即時に反映するサービスを提供しています。

株の売りどきの判断基準

株の売りどきの判断基準は、以下のとおりです。

  • 目標株価に達したとき
  • 株価が割高になったとき
  • 株価が損切りラインに達したとき
  • 資産配分を調整したいとき
  • 資金が必要になったとき

目標株価に達したとき

目標株価に達したときは、利益を確定する基本的な売却タイミングになります。「この株価になったら売る」といった目標を銘柄ごとに決めておくことが大切です。目標株価は企業の適正価値や将来性をもとに設定しましょう。明確な基準を持って感情に左右されない投資判断を行ってください。

目標達成時には、当初の投資理由が今も有効か、企業の成長性や市場環境に変化がないかを確認しましょう。すべてを売却せず、1部だけ利益を確定して上昇の余地に備える選択もあります。ただし「もっと上がるはず」といった根拠のない期待は危険です。欲張って売りどきを逃すと、利益を減らす恐れがあります。

株価が割高になったとき

株価が割高になったときは、売却の有力なタイミングです。割高な株はリスクが高く、早めの売却で利益確保につながります。割高かどうかを判断する目安として、以下の指標を参考にしてください。

PER(株価収益率)
株価が企業の収益に対して何倍かを示し、高ければ割高とされます。
PBR(株価純資産倍率)
2倍を超えると過大評価とみなされやすい指標です。
配当利回り
利回りが過去最低水準に下がっていると、割高のサインとなることがあります。
株価と業績の関係
株価が急騰しているのに業績が伴っていない場合は注意してください。

テクニカル指標では、RSIが70以上で高止まりしている状態は注意が必要です。ボリンジャーバンドの+2σや+3σを超えて推移している状況も警戒が必要です。チャート上でオーバーボート(買われすぎ)の状態が続いている場合も、警戒してください。

株価が損切りラインに達したとき

株価が損切りラインに達したら、速やかに売却することが重要です。損切りは資産を守るための基本戦略です。購入価格から5〜10%の下落が一般的な目安となります。冷静さを欠く前に、損切りラインは事前に決めておきましょう。チャート分析ができる場合は、支持線を損切りラインに活用するのも効果的です。

テクニカル指標を取り入れれば、より根拠のある判断が可能です。損切りを先延ばしにすると損失が膨らみます。「戻るかも」という期待は危険で、損失を広げる原因になるので注意してください。損切りの理由を振り返ることで、次回の判断に活かせます。

同じ銘柄で損切りを繰り返すようであれば、投資戦略を見直すしてください。

資産配分を調整したいとき

資産配分バランスが崩れたら、株式の一部を売却して調整しましょう。特定の銘柄や業種への投資比率が高まると、リスクが高まります。以下のケースでは売却を検討してください。

  • 特定銘柄が資産全体の20%以上を占めている
  • 同一業種への投資が偏っている
  • ライフステージの変化によりリスク調整が必要である

定期的な見直しも効果的です。半年ごとにポートフォリオを確認し、理想の配分と大きくずれていれば調整しましょう。分散効果を保ちながら、基本原則の「高く売って安く買う」も実践できます。年齢に応じて株式の比率を下げ、債券などの安定資産を増やす長期的な調整も重要です。

「100-年齢」を株式の保有比率の目安とする考え方も参考になります。

資金が必要になったとき

急な出費が発生したとき、株式の売却は有効な手段です。預金や現金など他の資金で対応できない場合に限り、売却を検討しましょう。ポートフォリオへの影響を抑えるには、一部売却が有効です。売却益が出る場合は、税金も考慮して必要額を計算しましょう。相場が悪い時期の売却は避けるほうが無難です。

緊急時に備えて現金や換金しやすい資産を確保し、資金計画は定期的に見直しておくことをおすすめします。

株の売り方の種類

株を売る際の基本的な注文方法は、以下の3つです。

  • 指値注文
  • 成行注文
  • 逆指値注文

» 株式投資に欠かせない用語を理解しよう!

指値注文

指値注文は、希望の売却価格を指定できる注文方法です。指定価格に達しなければ売却されないため、自分で価格をコントロールできます。相場が乱高下していても、設定価格に届かなければ売買は成立せず、想定外の安値で売るリスクを避けられます。ただし、指定価格に届かなければ取引は成立しません。

流動性が低い銘柄や取引開始・終了時には約定しにくい場合があります。

成行注文

成行注文は、株式を「現在の市場価格」で売買する方法で、価格を指定せず即時の約定を優先するのが特徴です。成行注文が役立つ状況は、以下のとおりです。

  • 急いで売却・購入したい場合
  • 確実に取引を完了させたい場合
  • 相場の急変に迅速に対応したい場合

価格を指定しないため、相場が急変しているときは、想定外の価格で取引が成立する場合もあります。流動性の低い銘柄では、売値と買値の差(スプレッド)が大きく、不利な価格で約定しやすいので注意が必要です。取引時間外に出した注文は、翌営業日の始値で約定するため、前日からの価格変動の影響を受けやすくなります。

売却株数が多い場合は、1度に全株が同じ価格で売れず、複数の価格で分割して約定されることもあります。

逆指値注文

逆指値注文は、株価があらかじめ設定した価格に達したときに自動的に売却される注文方法です。トリガー価格と呼ばれる条件を設定し、株価がトリガー価格に到達すると成行注文が自動で執行されます。逆指値注文は、損切りや利益確定に活用でき、相場を常に見ていられない投資家にとって便利な仕組みです。

ただし、急な値動きがあった場合には、設定価格より不利な条件で約定することもあります。多くのネット証券では、逆指値注文やストップ注文として提供されており、複数の銘柄にまとめた設定も可能です。長期保有中の銘柄でも、急落に備えて逆指値を入れておくと安心です。

株の売り方

株を売る方法には、以下の4つの手順があります。

  1. 銘柄の選択
  2. 注文条件の設定
  3. 注文内容の確認と発注
  4. 売却完了後の確認

銘柄の選択

株を売却する際は、どの銘柄を売るかを見極めることが重要です。保有銘柄を選ぶ際は、ティッカーシンボルや証券コードを間違えないよう注意しましょう。類似した名前の企業もあるため、慎重に確認します。売却判断には、損益状況や配当・株主優待の権利確定日、銘柄の流動性などの確認が大切です。

配当や優待を目的とする場合、権利確定日前に売却すると権利を失う恐れがあるため、タイミングに注意しましょう。保有期間によっては税率が異なり、短期売却では税負担が大きくなる場合もあります。税制も考慮して売却時期を検討しましょう。複数銘柄を持っている場合は、優先順位を決めて計画的に売却するのが賢明です。

市場環境や投資方針に応じて、手放す銘柄を判断してください。流動性の低い銘柄は、希望価格で売れない可能性があります。大量に売却する場合は、市場への影響も考慮しましょう。

注文条件の設定

株を売却する際は、注文条件の設定が重要です。条件を適切に指定すれば、希望価格で売却しやすくなります。設定項目は、以下のとおりです。

  • 売却株数
  • 注文方法
  • 売却価格
  • 注文の有効期限や執行条件
  • 取引市場

注文方法の選択は売却結果に大きく影響します。指値注文は希望価格で売却できますが、価格が届かなければ約定しません。成行注文は即時に売却できますが、価格は市場任せです。逆指値注文は、トリガー価格に達したときに自動で売却され、損失を抑えたい場面で有効です。

信用取引では弁済期日に注意し、余裕を持って売却してください。売却手数料も把握しておくと利益計算に役立ちます。

注文内容の確認と発注

注文内容は、小さなミスが大きな損失につながるため、慎重に確認しましょう。売却する銘柄名や株数、注文方法など、入力に誤りがないか丁寧に確認します。問題がなければ発注し、画面に「売却注文」と表示されているか確認が必要です。注文後は受付完了画面で注文番号を控えておけば、トラブル時の対応がスムーズです。

注文状況はリアルタイムで確認できるため、寄付前や引け間際など約定しにくい時間帯では、取引の動きに注意しましょう。大量の株を売却する場合は、1度にすべて売らず、複数回に分けることで市場への影響を抑え、有利な価格での取引が期待できます。

モバイルアプリの通知機能の活用で、約定状況をリアルタイムで把握でき、外出中でも安心して取引を管理できます。

売却完了後の確認

株式を売却した後は、取引内容の確認が重要です。約定通知や取引履歴で、売却内容に誤りがないか確認しましょう。多くの証券会社では、メール通知やアプリ内で取引情報を確認できます。売却代金の入金日も確認してください。約定日から2営業日後(受渡日)に口座へ反映されるのが一般的です。

特定口座を利用している場合、売却益にかかる約20%の税金が自動で差し引かれるため、源泉徴収額を確認しておきましょう。確定申告や投資分析のために保管すべき情報は、以下のとおりです。

  • 取引報告書
  • 取引履歴
  • 売却損益の計算結果

株の売却後の注意点

株を売却した後には、以下の点に注意してください。

  • 資金管理を徹底する
  • 次の投資戦略を考える

資金管理を徹底する

投資を成功させるには、株式を売却した後の資金管理が欠かせません。証券口座の残高を定期的に確認し、資金状況を把握しましょう。売却益がある場合は、再投資や生活費、税金支払いなどに分けておくと安心です。

売却益には約20%(所得税15%、住民税5%)の税金がかかるため、事前の確保が大切です。資金の使い道を決めておくと、無駄遣いや衝動的な投資を防げます。どの銘柄をいつ、いくらで売買したかなどの取引記録を残しておけば、自分の投資傾向を把握しやすくなります。

売却資金はそのままにせず、MMFや定期預金などリスクの低い商品で運用するのも一案です。生活費と投資資金は明確に分けましょう。生活費を投資に回すと、急な出費に対応できなくなる恐れがあります。投資は、余剰資金で行うのが基本です。

次の投資戦略を考える

株を売却した後は、資金を有効に活用するために、次の投資先を慎重に検討しましょう。戦略を考える際は、以下のポイントを意識すると効果的です。

  • 売却資金の運用先
  • 市場環境や経済状況の分析
  • 長期的な資産形成の目標
  • ポートフォリオの分散状況

投資経験の振り返りも大切です。成功や失敗を分析すれば、判断の精度が高まります。ポートフォリオ全体を見直す良い機会です。株式に偏っていた場合は、債券やREIT、インデックスファンドなど他の資産クラスも検討しましょう。セクターローテーションを意識すると、成長が期待される業種を見つけやすくなります。

変化の早い環境に対応するために、新しい投資手法や金融商品の知識も定期的にアップデートしましょう。投資日記やポートフォリオ管理ツールを活用すれば、判断を客観的に見直せるため、次の戦略にも役立ちます。

まとめ

株は適切なタイミングと方法で売却すれば、利益確定や損失の抑制につながります。売却には譲渡益課税(20.315%)と手数料がかかり、売却代金は約3営業日後に入金されます。売りどきの判断には、目標株価の到達や割高評価といった基準が有効です。指値・成行・逆指値など、状況に応じた注文方法を選びましょう。

感情に流されず、事前に決めた基準に従って売却すれば、判断のブレを防げます。売却後は資金の使い道や次の投資戦略を考えることが重要です。長期的に安定した投資成果のために、戦略的に資金を運用しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA