今回は「コジマ」についてです。2024年時点の情報となります。
会社概要
基本情報
- 商号: 株式会社コジマ
- 設立: 1963年8月
- 所在地: 栃木県宇都宮市星が丘二丁目1番8号
- 電話番号: 028-621-0001
- URL: https://www.kojima.net/
- 事業内容: 家電製品、生活雑貨、日用品の販売および関連サービス
- 上場市場: 東京証券取引所プライム市場(1996年9月上場)
沿革
創業期(1960年代–1990年代)
- 1963年8月: 栃木県宇都宮市に株式会社小島電機を設立。
- 1972年11月: 第2号店「西大寛店」を開店し、多店舗化を開始。
- 1984年3月: 茨城県下館市に初の県外進出。
- 1993年1月: 商号を株式会社コジマに変更。
- 1996年9月: 東京証券取引所市場第二部に株式を上場。
- 1998年9月: 東京証券取引所市場第一部に昇格。
再編期(2000年代–2010年代)
- 2012年5月: 株式会社ビックカメラと資本業務提携契約を締結。
- 2013年: 「コジマ×ビックカメラ」ブランドで店舗展開を開始。
- 2015年: POSシステムを株式会社ビックカメラと一本化。
成長期(2020年代)
- 2020年: 「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を取得。
- 2023年: 店舗駐車場に電気自動車(EV)用充電設備の導入を開始。
- 2024年: ESG株価指数「FTSE Blossom Japan Index」および「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定。
主力事業
- 家電販売: 家電製品、生活雑貨、日用品の販売を中心に、幅広い商品を提供。
- 事業構成(2024年8月期):
- 音響映像商品: 15%
- 家庭電化商品: 45%
- 情報通信機器商品: 28%
- その他: 12%
- 事業構成(2024年8月期):
- サービス事業: 「くらし応援便」など、地域密着型サービスを展開。
- 環境対応: EV充電設備や電気自動車の導入を進め、環境に配慮した店舗運営。
事業戦略
- 再生と成長: ビックカメラ傘下での売り場改革や赤字店舗閉鎖を経て再生を果たす。
- 中期計画: 2029年8月期までに売上高3,150億円、営業益90億円を目標とし、自社ECやリフォーム事業の成長を図る。
- 人材育成: 接客力向上のための研修センター(例: 東北研修センター)を新設。
店舗と従業員
- 2024年8月時点:
- 店舗数: 139店舗
- 従業員数: 2,821名(平均年齢41.0歳、平均年収506万円)
比較会社
- エディオン(2730)
- 上新電機(8173)
- ケーズHD(8282)
株式会社コジマは、家電製品を中心とした多角的な事業展開を通じて、持続可能な社会の実現と地域密着型サービスの提供に注力しています。ビックカメラとの提携を活かした店舗展開や環境対応型事業を推進し、業界内での競争力強化を目指しています。
株主構成
親会社
大株主
株価指標
- 概要
- PER:20倍程度
- PBR:1倍程度
- 利回り:2%程度
- 時価総額:800億円程度
コーポレートガバナンス
支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
当社は株式会社ビックカメラの連結対象子会社であり、同社は当社の親会社であります。親会社との取引条件については、ほかの取引先と同じく特別な取引条件はございません。 また、当社では業務遂行に関する意思決定の中枢機関として取締役会を位置づけており、親会社との重要度の高い取引が発生する場合においては、取締役会での適正な審議が行われます。なお、当該取引のうち重要なものについては、独立社外取締役で構成された独立諮問委員会を設置し、当該取引等を開始する前に審議・検討を行っております。さらに内部統制強化の観点から、会社の業務が適正に遂行されていることを監視する体制を整備しております。 以上のことから、親会社との取引において、当社の経営の独立性を保つことにより少数株主の保護を図っております。
その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
株式会社ビックカメラは当社の議決権株式数の50.58%(2022年8月31日現在)を保有し、当社の親会社及び主要株主である筆頭株主に該当しており、さらに当社は同社より取締役(監査等委員である取締役を除く。)として1名を受け入れているため、ビックカメラの経営方針が当社の事業活動や経営判断に影響を与える可能性があります。 それらについては、当社は監査等委員会設置会社への移行により、取締役(監査等委員4名を含む)は9名となっているため、独自の意思決定に基づき自ら経営責任を持って事業経営を行える状況にあることから、親会社からの独立性は確保されていると考えております。
コジマがビックカメラの子会社になっている背景
コジマがビックカメラの子会社となった理由には、以下のような背景があります。
1. 経営環境の変化と競争激化
家電業界は、競争が非常に激しい市場です。2000年代以降、価格競争やインターネット通販の台頭により、家電量販店は経営環境が厳しくなっていきました。特に中堅規模の家電量販店にとっては、競争に勝ち残ることが困難になり、再編が進むこととなりました。
2. コジマの経営課題
コジマは、低価格戦略を強みとして成長してきましたが、競争激化や市場環境の変化により収益が悪化していきました。また、他の大手家電量販店に比べて効率的な運営が難しくなり、経営の立て直しが必要な状況に陥っていました。
3. ビックカメラとの相乗効果
2012年、ビックカメラはコジマの経営再建に向けて、出資を決定しました。これには以下のようなメリットがありました:
- 店舗網の拡大:コジマは全国的に多くの店舗を持っており、ビックカメラとの連携により店舗網を強化できました。
- 顧客層の拡大:ビックカメラは都市部を中心に展開していましたが、コジマは地方部や郊外を中心に店舗を展開していたため、両社の補完関係が生まれました。
- 規模の経済:共同で商品を仕入れることにより、コスト削減が可能となり、競争力が向上しました。
4. 出資と子会社化の流れ
ビックカメラは2012年にコジマの株式の過半数を取得し、コジマを子会社化しました。これにより、コジマは経営基盤の安定を図ることができ、ビックカメラも地方市場への進出を加速させることができました。
5. その後の成果
ビックカメラの支援のもと、コジマはブランド名を「コジマ×ビックカメラ」に変更し、ビックカメラのノウハウを活かして事業を再建しました。この統合により、双方の強みを生かした経営が可能になっています。
結果として、コジマがビックカメラの子会社になったのは、厳しい業界環境の中で生き残りを図り、相互補完によるシナジーを生み出すための経営戦略だったと言えます。
TOBの可能性と投資戦略
- コジマがビックカメラノの子会社となった背景を考えると、最終的にはTOBをして100%子会社にしていく可能性もあると思われるが、子会社化後10年以上、この資本関係を維持していることからTOBの可能性は高いとは言えない。
- ただし、同業の親子上場銘柄になるため、現状の資本構成で上場を維持する意義も少なくなっている気もしており、組織再編でホールディングス化する可能性はあり得ると考える。その流れでTOBで完全子会社にする場面も想定される。
- そこまで配当が高いわけではないが、株主優待があったり、株価も順調に上昇していてチャートもきれいなので、キャピタルゲインとTOBの両方を期待しつつ、保有をする戦略も悪くないと思われる