【TOB候補】アイチコーポレーション(親子上場)

【TOB候補】アイチコーポレーション(親子上場)
今回は「アイチコーポレーション」についてです。2025年3月時点の情報をもとにしています。

会社概要

基本情報

  • 商号: 株式会社アイチコーポレーション
  • 設立: 1962年2月
  • 所在地: 埼玉県上尾市大字領家山下1152-10
  • 電話番号: 048-781-1111(本社)
  • 公式ホームページ: https://www.aichi-corp.co.jp/
  • 事業内容: 高所作業車・特装車の開発・製造・販売、部品・修理サービス
  • 上場市場: 東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場(1981年1月上場)
  • 親会社: 株式会社豊田自動織機(2003年5月子会社化)

沿革

創業期(1960年代-1970年代)

  • 1962年2月: 名古屋市瑞穂区に愛知車輌株式会社を設立。
  • 1965年10月: 埼玉県与野市(現さいたま市)に浦和工場を設置。
  • 1970年8月: 埼玉県上尾市に上尾工場を設置。
  • 1971年11月: 三恵工業株式会社と合併し、愛知車輌株式会社に商号変更。
  • 1981年1月: 名古屋証券取引所市場第二部に上場。
  • 1987年4月: 東京証券取引所市場第二部に上場。
  • 1988年11月: 東証・名証市場第一部銘柄に指定。

成長期(1990年代-2000年代)

  • 1992年4月: 株式会社アイチコーポレーションに社名変更。
  • 2002年4月: 株式会社豊田自動織機と業務・資本提携契約を締結。
  • 2003年5月: 株式会社豊田自動織機による新株予約権の行使により、子会社となる。
  • 2004年10月: 本店を埼玉県上尾市に移転。
  • 2006年8月: 杭州愛知工程車輌有限公司を子会社化。

現在(2010年代-2020年代)

  • 2010年4月: 子会社愛知車輌工業株式会社を吸収合併。
  • 2016年1月: 東京支店、名古屋支店、大阪支店をそれぞれ関東支店、中部支店、関西支店に名称変更。
  • 2022年4月: 東証プライム市場および名証プレミア市場へ移行。
  • 2023年12月: 子会社AICHI AUS PTY LTDを清算。

主力事業

  1. 特装車(売上構成比76%): 高所作業車、穴掘建柱車、電設機械の製造・販売。
  2. 部品・修理(23%): 車両のメンテナンス、部品販売。
  3. その他(1%): 技術研修、コンサルティング事業。
  4. 海外展開(売上比率7%): 中国・東南アジア・欧州市場向け販売。

特徴と動向

  • 国内市場の強み: 高所作業車メーカーとして国内トップシェア。
  • 海外市場の拡大: 南欧市場へ拡販し、2026年度には欧州売上を2023年度比約6倍の50億円に拡大予定。
  • 電力業界向け需要: インドネシアを中心とした東南アジア市場で配電工事用高所作業車の販売拡大。
  • 事業の成長戦略: レンタル事業の拡充、価格改定や生産効率化による利益率向上。

財務状況

  • 従業員: 連結1,059名、単体988名(2024年9月時点)
  • 平均年齢: 43.8歳
  • 平均年収: 631万円

事業構成(2024年3月期):

  • 特装車: 76%
  • 部品・修理: 23%
  • その他: 1%
  • 海外売上比率: 7%

比較会社

  • 兼松エンジニアリング(6402)
  • タダノ(6395)
  • 極東開発工業(7226)
株式会社アイチコーポレーションは、高所作業車市場において国内トップのシェアを誇る企業であり、豊田自動織機のグループ企業として安定した成長を遂げています。今後は南欧市場・東南アジア市場での拡販を進め、事業拡大を図るとともに、価格改定や生産性向上による収益性の強化を進めていく方針です。

株主構成

親会社

大株主

株価指標

  • 概要
  • PER:20倍程度
  • PBR:1~1.5倍程度
  • 利回り:約2.5~3%
  • 時価総額:1,000億円程度

コーポレートガバナンス

支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針

当社が支配株主グループとの営業取引を行う場合には、少数株主の保護の観点から取引状況等の内容の適正性を第三者との取引条件と比較検討し、経済的合理性にかなう意思決定をしております。 また、支配株主グループとの重要な取引については、独立社外取締役で構成する特別委員会を設置し、取引状況等の内容の適正性を第三者との取引条件と比較検討し、当社の利益を害さないようその妥当性の判断を行っております。

その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情

当社の親会社は株式会社豊田自動織機であり、当社の議決権の53.9%を所有しております。 親会社の企業グループの中での当社の位置付けは、産業車両事業での特装車両の製造および販売を担当しており、親会社の従業員1名が当社の取締役に就任しております。親会社との営業取引は、当社製品および部品の販売、部品の購入を行っており、一般的取引条件と同様に価額決定がなされております。 また、親会社が運用する「キャッシュマネージメントサービス」に余剰資金の預け入れをしておりますが、預け入れ金利につきましては、市場金利を勘案した合理的な利息が設定されております。 当社の事業活動につきましては、経営情報の交換、親会社またはその企業グループとの連携を密にしておりますが、事業の棲み分けがなされており、事業活動上の制約はなく、現状、当社独自の経営判断を行っており、親会社からの独立性は十分に確保されていると認識しております。

豊田自動織機がアイチコーポレーションをTOB(株式公開買付)する可能性

1. 現在の資本関係と豊田自動織機の影響力

  • 豊田自動織機は2003年5月にアイチコーポレーションを子会社化しており、筆頭株主として既に強い影響力を持っています
  • アイチコーポレーションの経営方針や事業戦略は、豊田自動織機の意向に大きく影響されている状況

2. TOBを実施するメリット

(1) 経営の自由度向上

  • アイチコーポレーションが上場企業であることで、短期的な市場の圧力を受けやすい。
  • 完全子会社化すれば、豊田自動織機のグループ戦略に完全に統合でき、経営判断を迅速に行える。

(2) シナジー効果の最大化

  • 豊田自動織機は産業機械・物流機器の開発を行っており、アイチコーポレーションの高所作業車技術との相乗効果が期待できる。
  • 完全統合することで、グループ内での製造・開発リソースの最適化が可能。

(3) 収益の最適化

  • アイチコーポレーションの利益を豊田自動織機のグループ内に統合し、長期的な成長戦略に活用できる。
  • 連結決算の最適化により、グループ全体の財務効率を向上させる。

3. TOBの可能性を高める要因

要因 影響
豊田自動織機の成長戦略にアイチの事業が不可欠か 高い(高所作業車市場は今後も成長が見込まれる)
豊田自動織機がアイチの経営統制を強化したいか 中程度(既に筆頭株主で影響力は大きい)
アイチの上場維持がメリットか 中程度(資金調達の自由度はあるが、豊田自動織機がカバー可能)
TOBの資金調達が容易か 高い(豊田自動織機の財務状況は良好で、M&A資金も確保しやすい)
株主の反応 中程度(市場や他株主の動向次第)

4. TOBを実施しない可能性

  • アイチコーポレーションが独立した上場企業であることで、市場からの資金調達が可能であり、上場のメリットを享受できる。
  • すでに豊田自動織機の子会社であり、経営の影響力が十分にあるため、完全子会社化の必要性が低い。
  • アイチコーポレーションの少数株主がTOBに対して消極的である場合、買収コストが高騰する可能性がある。

5. まとめ

豊田自動織機がアイチコーポレーションをTOBで完全子会社化する可能性は「中程度」

  • アイチコーポレーションの事業が豊田自動織機の戦略にとって重要であるため、長期的にはTOBの可能性は十分にある。
  • ただし、現在の資本関係でも豊田自動織機は強い影響力を持っているため、すぐにTOBを実施する必要性は低い。
  • 今後のM&A戦略や業績推移を見ながら、TOBの実施判断がされる可能性がある。

今後、豊田自動織機の成長戦略やアイチコーポレーションの業績動向、TOBに関する公式発表などを注視することが重要となります。

投資戦略

  • PBRや配当利回りからみると、割安すぎるという状況ではない
  • ただし、株価のチャートはきれいな右肩上がりが続いており良好
  • 大きな下落はないと思われため、中長期視点で保有するには良い銘柄ではある
  • なお、過去には英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が豊田自動織機と上場子会社アイチコーポレーションに親子上場の解消を求めたこともあり、会社としても1つのオプションとしてTOBを考えている可能性はある(参考:親子上場の解消を要請

TOB用に証券会社をもう1つ作っておこう

マネックス証券

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