東証グロース市場、大改革へ——時価総額100億円基準の衝撃とは?

東証グロース市場、大改革へ——時価総額100億円基準の衝撃とは?

以前に「グロース上場維持に向けて株価2倍で時価総額40億円を目指す有望株5選!」の記事でグロース銘柄について記載をしましたが、グロース市場改革に進展がありましたので、改めてこちらの記事で最新情報を整理させていただきます。

2025年4月2日、東京証券取引所はグロース市場に関する大きな見直し案を公表しました。目玉となるのは、「上場から5年後に時価総額100億円以上」という新たな上場維持基準の導入です。これは、これまでの「上場10年後に40億円以上」という基準から一気にハードルを引き上げるものであり、スタートアップ業界、IPO準備企業、そして投資家に大きなインパクトを与えています。

本記事では、東証が示した新方針の概要、背景、対象企業への影響、そして投資家が注目すべきポイントを整理します。


グロース市場の役割とこれまでの維持基準

東証グロース市場は、2022年の市場区分見直しにより誕生した新しい市場区分であり、主に高成長を目指すスタートアップ企業を対象としています。設立の趣旨は、未来の日本経済を牽引するような企業を育て、投資家とのマッチングを促進することです。

しかしながら、これまでの上場維持基準は比較的緩やかで、「上場から10年が経過した時点で時価総額が40億円以上」というものでした。この水準では、上場後に目立った成長がなくとも市場に留まり続けることが可能であったため、「本当に成長を促進しているのか?」という声があがっていました。


新たな基準は「5年で時価総額100億円」へ

今回公表された新たな方針では、2030年以降の適用を予定しており、十分な助走期間を設けるものとされています。内容の要点は以下の通りです。

  • 新基準:上場から5年が経過した時点で時価総額100億円以上
  • 現行基準:上場から10年が経過した時点で時価総額40億円以上
  • 移行措置:基準に満たない企業(40〜100億円未満)は、スタンダード市場への移行などが検討される

この新基準は、グロース市場が本来目指す「成長市場としての機能強化」を狙ったものです。特に、機関投資家が投資対象とするには一定の規模感(時価総額100億円以上)が求められるという市場ニーズも背景にあります。


背景にある「成長企業としての質の担保」

東証は今回の見直しにおいて、単なる上場支援だけではなく、上場後の成長を重視する姿勢を明確に打ち出しています。施策は以下の3本柱で構成されています。

① 上場後の高い成長を見据えたIPOの推進(上場準備企業向け)

IPOはゴールではなくスタートであるという考え方のもと、証券会社やベンチャーキャピタル、監査法人と連携し、上場後のビジョンまで見据えた支援を行う方針です。「IPO後にどう成長するのか?」という観点から、上場時期や資金調達規模の見直しも求められるようになるでしょう。

② 成長を目指す経営への働きかけ(既上場企業向け)

グロース市場にすでに上場している企業に対しては、改めて成長状況の評価と、今後の目標の点検を要請します。特に「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示内容をもとに、現状分析と目標の再定義が求められます。

③ 上場維持基準の強化(新規・既存企業に影響)

そして今回のメインである「100億円ライン」。この基準が明示されたことで、IPO前から成長ストーリーを明確に描ける企業がより注目されるようになります。


現在のグロース市場の実情

では、現在のグロース市場はこの基準をクリアできる状況にあるのでしょうか?

東証によると、2024年末時点でのグロース市場上場企業610社のうち、40億円未満の企業は全体の約37%(227社)を占めています。さらに、時価総額の中央値は55億円であり、新基準の100億円には届いていない企業が多数派です。

これは、仮に今この基準が適用されていたとしたら、多くの企業がグロース市場にとどまれないことを意味しています。


スタートアップと投資家の対応は?

この見直し案に対して、今後、企業側にも投資家側にも変化が求められることは明白です。

スタートアップ企業側の対応

  • 上場前の段階から、中長期の成長シナリオを描く力が問われます
  • 資金調達のタイミングや規模も、より慎重かつ戦略的に設計する必要があります
  • 上場後の「事業成長報告」が、株価形成や投資家の信頼に直結する時代へ

投資家側の視点

  • 今後のグロース市場では、短期的な話題性だけではなく、5年後・10年後の企業価値向上を見据えた投資が求められます
  • 成長可能性の開示や、KPI進捗、事業進展の継続的なフォローがより重要に

今後の動きに注目

今回の見直し案は、4月22日に開催予定の「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」でさらに議論される予定です。その後、正式な制度変更に向けた準備が進み、2030年をめどに適用開始となる見込みです。

制度改正までには時間がありますが、今から動き出すことが求められるスタートアップにとっては、時間との勝負とも言えます。


まとめ:グロース市場は第二章へ

今回の改革は、東証が「本気で成長市場をつくる」姿勢を示した象徴的な出来事です。単なる上場実績の場ではなく、「上場後の持続的成長」が問われるグロース市場は、まさに第二章のスタートライに立ったといえるでしょう。

スタートアップ経営者、IPOを検討する企業、そして成長企業を応援する投資家にとって、この動きを見逃す手はありません。今後の議論や制度化の動向に注目しつつ、各プレーヤーが早めに次の一手を打つことが求められます。

あなた自身で“伸びしろ銘柄”を発掘してみよう!

グロース市場には、まだ時価総額100億円未満でも、成長ポテンシャルにあふれる“原石”のような企業が数多く存在します。今回の市場改革を逆手に取り、今のうちに注目度が高まる前の銘柄に投資するというのも、一つの戦略です。

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