
今回は「ユビテック」についてです。2024年時点の情報となります。
会社概要
基本情報
- 商号: 株式会社ユビテック
- 設立: 1977年11月
- 所在地: 東京都港区南麻布3-20-1 Daiwa麻布テラス
- 事業内容: IoT製品、カーシェア用車載機器の開発、センサー技術に基づく受託製造・開発
- 上場市場: 東京証券取引所スタンダード市場(2005年6月上場)
- 公式ホームページ: https://www.ubiteq.co.jp/
沿革
創業期(1977年-2000年)
- 1977年11月: オフィスコンピューター開発を目的にタウ技研株式会社を設立。
- 1986年9月: 新日本製鐵株式会社(現 日本製鉄株式会社)の子会社となる。
- 2004年7月: 株式会社IRIユビテックに社名変更。
- 2005年6月: 大阪証券取引所ヘラクレス市場に株式を上場。
- 2007年: オリックス株式会社のグループ会社となり、社名を株式会社ユビテックに変更。
技術革新期(2010年-2020年)
- 2010年12月: SaaS型省エネソリューション「Ubiteq Green Service」提供開始。
- 2017年: 工場設備リアルタイム監視システム「IoTキット」発売。
- 2019年: 会議室管理サービス「ROOM CONCIER」のリニューアル版を発売。
現在(2021年以降)
- 2022年: 東京証券取引所スタンダード市場へ移行。
- 2023年: 「Work Mate」がASPICクラウドアワードAI部門で準グランプリを受賞。
主力事業
- IoTソリューション: 工場の稼働監視や安全衛生管理を支援するリアルタイム監視サービス。
-
- IoT: 71%
- 製造受託: 6%
- 開発受託: 24%
- 車載システム: 「D-Drive」などの安全運転支援や車両管理サービス。
- エネルギーマネジメント: 省エネソリューション「Ubiteq Green Service」などを通じた効率的なエネルギー管理。
- ITサービス: クラウド型ビデオ会議や会議室管理システムなど、働き方改革支援ツールの提供。
特徴と動向
- 技術外販: 飲酒運転防止機能を大手検知ツールメーカー「パイ・アール」へ供与。
- 環境対応: エネルギーマネジメント分野でのソリューション提供により、持続可能な社会に貢献。
- 業績回復: IoT製品の受注増加とソフト減損の消滅により、5期ぶりの営業利益回復を目指す。
財務状況
- 従業員: 76名(連結、2024年9月時点)
- 平均年齢: 42.4歳
- 平均年収: 573万円
比較会社
- 日本金銭機械(6418)
- グローリー(6457)
- 高見沢サイバネティックス(6424)
株式会社ユビテックは、IoTや車載機器を中心に技術開発を行い、工場や車両管理分野で多くの革新的なソリューションを提供しています。特に安全管理システムや省エネ分野での強みを活かし、持続可能な社会の実現に向けた事業展開を進めています。
株主構成
親会社
大株主

株価指標
- 概要
- PER:-
- PBR:2倍程度
- 利回り:-
- 時価総額:30億円程度
コーポレートガバナンス
支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
当社とオリックスグループとの取引条件につきましては、当社と関連を有さない第三者との取引における一般的取引条件と同様に決定しております。また、取引の実施にあたっては、他の取引先各社と同様に社内規程等に基づく承認を経て、公正な取引を実施しております。これらのことから、少数株主の利害を害することはないものと考えております。
その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
当社は、オリックス株式会社が親会社等に該当し、支配株主を有しております。当社は、独立社外取締役を2名選任しており、原則1-7に記載の通り、当社は、「取締役会規程」の定めに基づき、主要株主や取締役、その他の関連当事者との利益相反取引については、社外取締役2名を含む取締役会の事前承認を要し、取引を行ったときは取締役会への報告を要することとしています。また、「取締役会規程」の定めに基づき、関連当事者との取引を把握するために、役員等に対して毎年関連当事者取引に関する調査を実施し、取引の合理性や手続きの適正性を検証しています。
ユビテックがオリックスの子会社となっている背景
1. ユビテックの経営支援と再建の必要性
- ユビテックは、1977年に設立され、主にIoT製品や車載機器の開発を行う企業として成長しましたが、2000年代初頭には経営の厳しさが顕著となりました。
- 特に、当時の親会社であった株式会社インターネット総合研究所(IRI)の経営不振やITバブル崩壊の影響を受け、安定的な経営基盤を必要としていました。
2. オリックスの戦略的出資
- 2007年: オリックス株式会社がユビテックをグループ会社として傘下に収め、経営支援を開始しました。この戦略的出資は、ユビテックの技術力を活かし、オリックスが展開する事業とのシナジーを創出する目的がありました。
- 2010年: オリックスはユビテックを完全子会社化しました。この完全子会社化により、オリックスの事業ポートフォリオにおいてIoTや車載システムなどの技術分野を強化する狙いが明確になりました。
3. カーシェアリング事業への貢献
- オリックスは国内有数のカーシェアリング事業者であり、ユビテックが持つ車載機器の開発力やIoT技術は、カーシェアリング事業の運営効率向上やサービス拡大に直接的な価値をもたらしました。
- 具体的には、「オリックスカーシェア」向けの車載システム開発や運行管理技術の提供が、両社の協力関係を強化しました。
4. IoT分野の成長可能性
- ユビテックは、IoT製品やエネルギーマネジメント、センサー技術などで強みを持っており、これらは当時急成長していた分野でした。
- オリックスは、IoT分野の成長ポテンシャルに注目し、ユビテックを傘下に入れることで、これらの技術を活用した新事業開発や既存事業の付加価値向上を図りました。
5. 安定的な経営基盤の提供
- オリックスの豊富な資本力や経営リソースの支援を受けることで、ユビテックは事業拡大や製品開発に集中できる環境が整いました。
- この支援により、ユビテックは経営の安定化と競争力の強化を実現し、現在ではIoTや車載機器分野での事業展開を続けています。
6. まとめ
ユビテックがオリックスの子会社となった背景には、ユビテックの経営再建を必要とする状況と、オリックスがユビテックの技術を活用して自身の事業ポートフォリオを拡大しようとする戦略的意図がありました。この関係は、カーシェアリングやIoT分野でのシナジーを生み出し、双方にとって利益のある協力関係を構築しています。
TOBの可能性と投資戦略
- ここ数年、営業赤字が続いており、配当も無配が続いている
- テーマとしてはライドシェア銘柄に属するともいわれているが、業績が芳しくない状況で投資ポジションはとりづらく、純粋にTOB期待ということで保有するかどうかというのが当面の状況といえる。
- なお、親会社のオリックスは過去にTOBをした経験があることから、ユビテックの価値を評価しているとすると、株価が安い現状でTOBをかけてくる可能性は否定できない。
- また、直近の決算(2025年6月期第1四半期決算)では、営業赤字が続いているものの、売上は前期比50%増加で、営業赤字が縮小していることからも「黒字化期待銘柄」としても保有余地はある。個人的には今のうちに仕込んでおきたい銘柄とも感じる。