
今回は「データホライゾン」についてです。2024年時点の情報となります。
会社概要
基本情報
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商号: 株式会社データホライゾン
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設立: 1982年3月
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所在地: 広島市西区草津新町1-21-35 広島ミクシス・ビル
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電話番号: 082-279-5716(広島本社) / 03-3868-2285(東京本社)
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公式ホームページ: http://www.dhorizon.co.jp/
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事業内容: データヘルス関連サービス、データ利活用サービス、健康管理ソリューションの提供
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上場市場: 東京証券取引所グロース市場(2008年9月上場)
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親会社: 株式会社ディー・エヌ・エー(2022年10月子会社化)
沿革
創業期(1982年-2000年)
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1982年3月: 広島市中区鉄砲町にて株式会社ワイエス企画を設立、ソフトウェア受託開発を開始。
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1989年1月: 保険薬局向け薬剤師支援システム「ぶんぎょうめいと」を開発。
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2000年3月: 商号を株式会社データホライゾンに変更。
成長期(2000年代-2010年代)
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2003年4月: 健康保険組合向け保健事業支援システムを開発、販売開始。
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2006年7月: ジェネリック医薬品通知サービスを開発し、健康保険組合へ提供開始。
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2008年6月: 地方公共団体向けのジェネリック医薬品通知サービス提供開始。
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2008年9月: 東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に上場。
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2016年2月: 首都圏営業強化のため東京支店を設立。
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2017年4月: 関西営業所を開設。
現在(2020年代)
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2020年8月: ベネフィット・ワンと提携し、前期高齢者向け健康支援サービスを提供開始。
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2022年4月: 東京証券取引所の市場区分見直しによりグロース市場へ移行。
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2022年10月: 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の連結子会社となる。
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2022年10月: DeNAよりDeSCヘルスケア株式会社の株式を取得し子会社化。
主力事業
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データヘルス関連サービス: 健康保険組合・自治体向けに健康データの分析や健康増進プログラムを提供。
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データ利活用サービス: 医療ビッグデータを活用した疾病予測や医療費削減支援。
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健康支援サービス: 健康管理アプリの提供、ジェネリック医薬品通知サービスの展開。
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AI・ビッグデータ活用: データ解析による医療費最適化や健康指導の支援。
特徴と動向
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DeNAグループ傘下: 2022年10月にDeNAの連結子会社となり、ヘルステック事業の拡充を進める。
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事業拡大: 自治体向け健康管理アプリの導入数を増加(2024年度目標500自治体)。
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医療データの活用: レセプトデータ分析を通じた医療費の最適化支援。
財務状況
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従業員: 連結382名、単体261名(2024年9月時点)
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平均年齢: 42.1歳
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平均年収: 543万円
事業構成(2024年6月期)
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データヘルス関連サービス: 71%
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データ利活用サービス: 21%
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その他: 8%
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比較会社
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JMDC(4483)
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サスメド(4263)
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CEホールディングス(4320)
株式会社データホライゾンは、ヘルスケアデータの分析を軸に、自治体・健康保険組合向けの健康増進サービスを提供する企業です。DeNAグループとの連携により、AI・ビッグデータを活用した次世代ヘルステック市場での成長を目指しています。
株主構成
親会社
大株主

株価指標
- 概要
- PER:-
- PBR:2.5倍程度
- 利回り:-
- 時価総額:100億円以下
コーポレートガバナンス
支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
親会社であるDeNAは、支配株主に該当いたします。支配株主と取引を行う際は、少数株主保護の観点から、当該取引の必要性および当該取引等の条件が第三者との通常の取引条件と著しく相違しないことを十分に確認した上で取引を実施する方針としております。
その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
DeNAは、当社の議決権の51.66%(2023年9月29日現在)を保有しており、当社の親会社であります。DeNAの取締役および社員3名が当社の取締役に就任しており、経営にあたっては、当該取締役の意見も踏まえておりますが、親会社との兼任取締役は3名で当社取締役(8名)の半数に至る状況ではないことから、独自の経営判断が行える状況にあると考えております。さらに、経営の独立性を一層高める観点から、親会社グループ外からの社外取締役が3名就任しております。また、少数株主保護の観点から、当社の経営判断及び事業展開にあたっては、親会社等の指示や事前承認に基づいてこれを行うのではなく、一般株主と利益相反が生じる恐れのない常勤取締役及び常勤執行役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。
ディー・エヌ・エー(DeNA)がデータホライゾンを子会社化した背景
1. DeNAのヘルスケア事業強化
DeNAは、ゲーム・エンタメ事業を主軸にしている企業ですが、近年はヘルスケア分野の事業拡大にも力を入れています。
特に、デジタルヘルス事業の成長が見込まれる中で、医療ビッグデータの活用はDeNAにとって重要な戦略の一つとなっています。
- ヘルステック事業の拡充:
DeNAは「MYCODE」などの遺伝子検査サービスや、健康管理アプリを展開しており、医療データを活用した新しいヘルスケア事業を強化したいと考えていました。 - データホライゾンとの相乗効果:
データホライゾンは健康保険組合や自治体向けの医療データ分析に強みを持ち、レセプトデータを活用した健康支援サービスを展開しています。この領域は、DeNAのヘルスケア事業と親和性が高く、両社の技術やデータを組み合わせることで、新しいヘルスケアビジネスの創出が可能になると判断しました。
2. 医療データ市場の成長性
- 日本国内では、高齢化の進展に伴い、医療費の増加が社会課題となっています。
- 政府も「データヘルス改革」を推進しており、健康保険組合や自治体が医療データを活用した健康管理や疾病予防に取り組む動きが加速しています。
- データホライゾンは、この流れの中で、健康保険組合向けのデータヘルスサービスを強化しており、DeNAが医療ビッグデータ市場へ本格参入するための最適なパートナーとなりました。
3. DeNAの戦略的M&A
DeNAは、ヘルスケア分野での事業拡大を図るため、M&A(企業買収)や業務提携を積極的に進めています。
- 2022年10月、DeNAはデータホライゾンを連結子会社化し、グループとしてのシナジー創出を本格化しました。
- さらに、DeNAはDeSCヘルスケア株式会社の株式をデータホライゾンに譲渡し、データホライゾンがDeSCヘルスケアを子会社化。これにより、健康データ活用をさらに進める体制を整えました。
4. DeNAにとってのメリット
データホライゾンの子会社化によって、DeNAは以下のようなメリットを享受できます。
医療ビッグデータの活用基盤を強化
- データホライゾンが保有するレセプトデータを活用し、健康管理や疾病予防サービスの高度化を図る。
自治体・健康保険組合向けの事業拡大
- DeNAの持つ技術力を活かし、全国の自治体や健康保険組合向けにAI・ビッグデータを活用した健康支援ソリューションを拡充。
新規ヘルスケアサービスの創出
- スマートフォンアプリやオンライン診療支援など、デジタルヘルス分野での新規事業開発を推進。
5. 結論
DeNAがデータホライゾンを子会社化した背景には、ヘルスケア市場の成長、医療ビッグデータ活用のニーズ、DeNAのヘルステック事業の強化がありました。
データホライゾンの持つレセプトデータ分析や健康保険組合向けソリューションと、DeNAの技術・資本力を組み合わせることで、新たなヘルスケアサービスの創出を目指していると考えられます。
追加のTOBで完全子会社化される可能性についての考察
TOB(株式公開買付)を追加で行い、データホライゾンを完全子会社化する可能性は十分に考えられます。その理由を以下に示します。
(1) DeNAの狙い
- 医療ビッグデータ活用の強化: DeNAはヘルスケア市場での競争力を高めるため、データホライゾンのデータ分析技術を最大限に活用したい。
- 事業の統合と意思決定の迅速化: 現在、DeNAはデータホライゾンの親会社ですが、完全子会社化すれば経営の自由度が高まり、長期的な成長戦略を迅速に実行できる。
- DeNAのヘルスケア事業との統合: DeNAは「MYCODE」などの健康データ関連サービスを展開しており、データホライゾンのデータと組み合わせることで、より包括的なヘルスケアプラットフォームを構築できる。
(2) 上場維持のコストと非公開化のメリット
- 上場企業であることによる経営の制約(四半期決算対応、株主からの要求など)を減らし、非公開企業として事業運営を最適化できる。
- DeNAが100%株式を保有することで、資本政策や投資判断を迅速に行える。
(3) DeNAの過去のM&A戦略
- DeNAはこれまでにM&AやTOBを積極的に活用し、グループ企業の統合を進めてきた。
- 例えば、ゲーム・エンタメ分野だけでなく、ヘルスケアやスポーツ事業でもM&Aを行い、完全子会社化による経営の最適化を進めている。
(4) 結論
- 追加のTOBで完全子会社化される可能性は高い。
- DeNAがデータホライゾンを100%支配することで、事業統合を進めやすくなるため、経営の効率化や事業シナジーを最大化できる。
- 最終的には、DeNAのヘルスケア事業戦略次第だが、長期的な成長を見据えたTOB実施の可能性は十分にある。
投資戦略
- PER/PBR水準は割安とはいえないが、将来的なTOBや業績拡大による黒字化を期待して株価が上昇する局面は大いにあり得る。ただ、銘柄としても魅力はあるが、業績の黒字化が見えないと購入しづらいところではあり、購入のタイミングが難しいところ。
- 直近(2025年2月7日)に公表された業績も前年同期比で減収減益・赤字拡大ということもあり、今時点では手が出しづらい。
- ただし、以下のような記載もあり、黒字化が達成された際には、株価が急騰する可能性もあり、そこにも賭けたい場合には、2025年3月期の決算公表前の2025年3月~4月には購入をしておく必要がある。
TOB用に証券会社をもう1つ作っておこう
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