
今回は「GLOE」についてです。2024年時点の情報となります。
会社概要
基本情報
- 商号: GLOE株式会社(旧 ウェルプレイド・ライゼスト株式会社)
- 設立: 2015年11月
- 所在地: 東京都新宿区大京町22-1 グランファースト新宿御苑
- 電話番号: 03-6380-1020
- 公式ホームページ: https://gloe.jp/
- 事業内容: eスポーツイベント企画・運営、プロゲーマー・インフルエンサーサポート、SNSマーケティング支援
- 上場市場: 東京証券取引所グロース市場(2022年11月上場)
沿革
創業期(2015年-2020年)
- 2015年11月: eスポーツイベントの企画・運営を目的としてウェルプレイド株式会社を設立。
- 2017年6月: 株式会社カヤックと資本業務提携し、同社の子会社となる。
- 2017年11月: 自社主催のeスポーツリーグ「ウェルプレイドリーグ」を開始。
- 2019年6月: インフルエンサーマーケティングの提供を開始。
- 2020年10月: 株式会社電通ライブと業務提携し、ゲームを活用したプロジェクト「Play G-round」を発足。
事業拡大期(2021年-2023年)
- 2021年2月: ウェルプレイド株式会社と株式会社ライゼストが合併し、「ウェルプレイド・ライゼスト株式会社」に商号変更。
- 2022年7月: 南海電気鉄道株式会社と協業し、泉佐野市をeスポーツ先進都市とする実証事業を開始。
- 2022年11月: 東京証券取引所グロース市場に株式を上場。
- 2023年5月: 国内最大級のポーカールーム「ROOTS」を運営する株式会社POKER ROOMと業務提携。
現在(2024年以降)
- 2024年2月: GLOE株式会社に商号変更。
- 2024年6月: 配信技術研究所株式会社を子会社化。
主力事業
- クライアントワークサービス(67%): eスポーツイベントの企画・運営、企業向けプロモーション。
- パートナーソリューションサービス(22%): スポンサー仲介、インフルエンサーマーケティング、SNSマーケティング支援。
- ビジネスデザインサービス(12%): ゲーム業界向けデジタルマーケティング支援、新規事業開発。
特徴と動向
- イベント依存からの脱却: eスポーツイベント運営から、ゲーム開発段階でのマーケティング支援へシフト。
- 海外展開: 日本市場でのプロモーションを求める中国など海外ゲーム会社への営業強化。
- SNS活用: インフルエンサーや実況者を活用したプロモーションを強化。
財務状況
- 従業員: 連結70名、単体70名(2024年1月時点)
- 平均年齢: 31.3歳
- 平均年収: 452万円
事業構成(2023年10月期):
- クライアントワークサービス: 67%
- パートナーソリューションサービス: 22%
- ビジネスデザインサービス: 12%
比較会社
- 博展(2173)
- サニーサイドアップグループ(2180)
GLOE株式会社は、eスポーツ業界におけるイベント運営、インフルエンサーマーケティング、企業向けデジタルマーケティングを展開するリーディングカンパニーです。イベント依存型の収益構造から脱却し、海外市場の開拓やSNSマーケティング支援など、多角的な成長戦略を推進しています。
株主構成
親会社
大株主

株価指標
- 概要
- PER:-
- PBR:6倍程度
- 利回り:-
- 時価総額:30億円程度
コーポレートガバナンス
支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
当社グループは、株式会社カヤックおよび同社の連結子会社・持分法適用関連会社により構成される企業グループに属しております。事業運営においては当社グループ独自の判断に基づき実施しており、月次業績報告、内部監査等での連携は行っておりますが、株式会社カヤックと事前協議が必要な事項はございません。当社グループは、株式会社カヤックおよび同グループ企業との連携・協業によるシナジーの最大化が、少数株主の利益拡大にも資するものと考えております。取引を実施する際には、少数株主保護の観点から、取引条件の経済合理性を担保すると共に、社外取締役及び社外監査役が出席する取締役会の決議を経て行うこととしております。
その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
当社グループと親会社である株式会社カヤックとの間には、役員の兼任などの人的関係は存在しません。また、経営指導等に関する契約やその他当社グループの自由な事業活動や経営判断が阻害されるような状況も生じておらず、当社グループの経営の独立性は確保されております。一方で、当社の役員構成については、取締役4名中、独立社外取締役は1名(なお、監査役3名は全員社外監査役)に留まっており、子会社上場における少数株主保護の重要性も踏まえ、今後、独立社外取締役の増員について検討を行う方針です。
GLOEがカヤックの子会社となった背景
GLOE(旧ウェルプレイド・ライゼスト)が2017年6月にカヤックの子会社となった背景には、eスポーツ市場の成長、両社の事業シナジー、経営基盤の強化といった要因が関係しています。
1. eスポーツ市場の成長と将来性
- 2010年代後半から、eスポーツ市場は急成長し、国内外で競技人口や観戦者数が増加しました。
- GLOEはeスポーツイベントの企画・運営に特化した企業として成長していましたが、更なる事業拡大のための資本力やネットワークが必要でした。
- カヤックは、ゲーム開発やデジタルコンテンツ制作に強みを持つ企業であり、eスポーツ市場の成長を見据えて事業参入を検討していました。
2. 両社の事業シナジー
カヤックとGLOEは、eスポーツ事業において補完関係にあり、以下のようなシナジー効果が期待されました。
カヤックの強み | GLOEの強み |
---|---|
ゲーム開発・デジタルコンテンツ制作 | eスポーツイベントの企画・運営 |
デジタルマーケティング・SNS活用 | eスポーツ選手・実況者のマネジメント |
企業向けプロモーション支援 | eスポーツスポンサー仲介 |
カヤックのデジタルコンテンツ制作力と、GLOEのeスポーツイベント運営ノウハウを組み合わせることで、企業向けのeスポーツマーケティング事業を強化できると判断されました。
3. GLOEの経営基盤の強化
- GLOEは、eスポーツ市場での事業展開を加速するために、外部からの資本支援を必要としていました。
- カヤックが子会社化することで、経営基盤の安定化を図り、新たな事業領域(インフルエンサーマーケティング、スポンサー仲介など)への展開が可能になりました。
- 資金調達の面でも、カヤックの支援を受けることで、より大規模なイベント運営や新規サービスの開発がしやすくなったと考えられます。
4. M&Aによる成長戦略
- カヤックは、eスポーツ事業を自社グループの新たな成長エンジンとして位置付けており、M&A(企業買収)を活用して事業規模を拡大しました。
- 2017年6月の資本業務提携を通じて、GLOE(当時ウェルプレイド)を完全子会社化し、eスポーツ市場での存在感を強化しました。
5. その後の展開
- GLOEは、カヤックの支援を受けながらスポンサー仲介やマーケティング支援事業を拡大。
- 2022年11月には東京証券取引所グロース市場に上場し、独立した企業としての成長を続けています。
- 2024年2月にGLOE株式会社へ商号変更し、新たなブランド戦略を推進。
GLOEがTOBで完全子会社化される可能性についての考察
GLOE(旧ウェルプレイド・ライゼスト)がTOB(株式公開買付)で完全子会社化される可能性について、現在の事業環境、主要株主、業界動向を踏まえて分析します。
1. GLOEの現状と市場環境
GLOEは、eスポーツイベントの企画・運営、インフルエンサーサポート、デジタルマーケティング支援を主力事業とする企業です。
- 東京証券取引所グロース市場に上場(2022年11月)
- カヤックの子会社だったが、現在は独立系
- 資本提携先には大手広告代理店やエンタメ企業が存在
現在、eスポーツ業界は成長しているものの、収益モデルの多様化が求められる局面にあり、イベント依存型のビジネスから脱却を目指している状況です。
2. TOBの可能性を左右する要因
(1) TOBを実施する可能性のある企業
GLOEがTOBの対象となる場合、以下の企業が買収を仕掛ける可能性があります。
① カヤック
- かつてGLOEを子会社化していた実績があり、再び支配権を持つことで事業シナジーを高められる。
- カヤック自体がエンタメ分野で強みを持ち、GLOEとの協業を深めることで、広告・デジタルマーケティング事業の強化が期待できる。
② 電通・博報堂などの広告代理店
- eスポーツマーケティング市場の拡大を見据えて、GLOEのイベント運営ノウハウを取り込む戦略。
- すでにGLOEと業務提携をしている企業があり、完全子会社化することで、デジタルマーケティング領域を強化。
③ ゲーム・エンタメ関連企業
- ゲームメーカーやプラットフォーム企業(任天堂、ソニー、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスなど)が、eスポーツ事業を拡大するためにGLOEを取り込む可能性。
- 中国や韓国のゲーム企業が、日本市場でのプロモーション強化を目的にM&Aを行うケースも考えられる。
(2) TOBが実施される可能性
- GLOEが独自成長を続け、上場維持による資金調達のメリットが大きい場合、TOBの可能性は低い。
- 逆に、収益モデルが安定せず、事業成長のために大手企業との統合が必要となれば、TOBの可能性が高まる。
- 広告代理店やゲーム企業がGLOEを戦略的に取り込みたいと考えた場合、TOBが実施される可能性がある。
(3) 経営陣によるMBO(経営陣買収)の可能性
- GLOEの経営陣が、独自の成長戦略を実行するためにMBOを行い、非公開化を選択する可能性もある。
- 資本提携企業と共同で買収を進めるケースも考えられる。
3. 上場維持 vs. 完全子会社化(非公開化)
要素 | 上場維持のメリット | 完全子会社化のメリット(TOB) |
---|---|---|
資金調達 | 市場からの資金調達が可能 | 親会社からの安定した資金供給 |
経営の自由度 | 独立性を維持できる | 親会社の方針に従う |
事業シナジー | 提携先を自由に選べる | 買収企業のリソースを最大活用 |
成長戦略 | 多様な企業と協業可能 | 親会社の支援で成長加速 |
現在のGLOEの事業展開を見ると、資本提携を活用しつつ独立した企業として成長を続ける意向が強いため、短期的には上場を維持する可能性が高いと考えられます。
4. 結論
- 短期的にはTOBの可能性は低いが、長期的には成長戦略次第でTOBやMBOの可能性がある。
- 特に、広告代理店やゲーム企業がeスポーツ市場の拡大を狙って買収を仕掛ける可能性は十分にある。
- GLOEが収益モデルの多様化に成功し、安定した事業成長を続けられれば、TOBの必要性は低くなる。
- 逆に、成長のために大手企業の支援が必要となれば、TOBによる完全子会社化の可能性は高まる。
今後のGLOEの動向や大手企業との提携の進展に注目しながら、TOBの可能性を見極めることが重要となります。
投資戦略
- PER/PBR水準は割安とはいえず配当もないため、中長期目的での保有もしづらいと考えるが、将来的なTOBや業績拡大による黒字化を期待して株価が上昇する局面は大いにあり得る。
- eスポーツの市場規模は年々拡大しており、eスポーツのテーマ株が盛り上がるタイミングでは、GLOEもかなり注目をされると考えられる。
- また、時価総額が小さいため、今後のグロース市場改革の際に盛り上がってくる可能性もある。
- このあたりの特徴も考慮し、監視銘柄としてリストアップしておき、テーマとして盛り上がりそうな状況が来た際には、TOBも考慮しながら保有する戦略が考えられる。
TOB用に証券会社をもう1つ作っておこう
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