
今回は「インテージホールディングス」についてです。2024年時点の情報となります。
会社概要
基本情報
- 商号: 株式会社インテージホールディングス
- 設立: 1960年3月
- 所在地: 東京都千代田区神田練塀町3 インテージ秋葉原ビル
- 電話番号: 03-5294-7411
- 公式ホームページ: https://www.intageholdings.co.jp/
- 事業内容: マーケティングリサーチ事業、ヘルスケアリサーチ、ビジネスインテリジェンス、データ分析
- 上場市場: 東京証券取引所プライム市場(2001年11月上場)
沿革
創業期(1960年-1990年)
- 1960年3月: 株式会社社会調査研究所を設立し、マーケティングリサーチおよびパネル調査事業を開始。
- 1970年4月: 本社を東京都田無市(現 西東京市)に移転。
- 1972年9月: 株式会社ミック長野センターを設立。
成長期(1990年-2010年)
- 2001年4月: 商号を株式会社インテージに変更。
- 2001年11月: ジャスダック市場に上場。
- 2008年: 東京証券取引所市場第二部に上場、翌2009年に市場第一部に指定。
- 2013年: 持株会社制に移行し、株式会社インテージホールディングスに商号変更。
現在(2010年以降)
- 2013年以降: 東南アジアやインドを中心に海外展開を加速。
- 2022年4月: 東京証券取引所プライム市場へ移行。
- 2023年10月: 株式会社NTTドコモによる株式公開買付けにより、同社および日本電信電話株式会社が親会社となる。
主力事業
- マーケティングリサーチ事業: 日本で唯一、消費と販売の両パネル調査網を持ち、消費者行動や市場動向の分析を通じてクライアントの意思決定を支援。
- ヘルスケアリサーチ: 医療・製薬分野でのデータ分析やリサーチを通じて、医療業界の課題解決に貢献。
- ビジネスインテリジェンス: データ解析を活用したマーケティング戦略の策定支援。
- 海外事業: 東南アジアやインドでのデータリサーチおよびマーケティング支援を展開。
特徴と動向
- 国内首位: 日本国内でマーケティングリサーチ業界のリーディングカンパニーとして位置付け。
- NTTグループ傘下: 2023年よりNTTドコモおよび日本電信電話株式会社が親会社となり、購買動向分析やデジタルマーケティング領域での連携を強化。
- 技術革新: レシートと商品バーコード登録による「dポイント」付与サービスなど、デジタル技術を活用した新規事業を展開。
財務状況
- 従業員: 連結3,243名、単体78名(2024年9月時点)
- 平均年齢: 47.8歳
- 平均年収: 891万円
- 事業構成(2024年6月期):
- マーケティング支援(消費財・サービス): 65%
- マーケティング支援(ヘルスケア): 23%
- ビジネスインテリジェンス: 12%
- 海外売上比率: 12%
比較会社
- マクロミル(3978)
- クロス・マーケティンググループ(3675)
- GMOリサーチ(3695)
株式会社インテージホールディングスは、国内外で豊富なマーケティングリサーチ実績を持つ業界トップ企業です。NTTグループとの協業により、データ活用の新たな可能性を追求し、企業の課題解決や社会の発展に貢献しています。
株主構成
親会社
大株主

株価指標
- 概要
- PER:15倍程度
- PBR:2倍程度
- 利回り:3%程度
- 時価総額:600億円程度
コーポレートガバナンス
支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
当社の親会社である日本電信電話株式会社及びそのグループ会社との関係については、相互の自主性・自律性を十分に尊重しつつ連携を図るとともに、NTTグループと当社及びそのグループ会社との間の取引等については、取引の公正性を確保することを目的として基本方針および手続を定めた「NTTグループとの取引基本方針」に従い適切に行うこととしています。なお、営業上の取引を行う場合には、取引条件及びその決定方法については、他の取引先と同様の条件によることとしています。当社は、NTTグループとの間で締結する重要な契約については、ガバナンス委員会による審査を行ったうえで、意思決定を行います。特に重要な契約については取締役会での承認を必須とし、NTTグループからの独立した意思決定の確保に努めています。なお、取締役会は、独立社外役員5名を含む13名で構成され、現時点で独立社外取締役は全取締役の38.4%を占めています。また、上記も含む取締役会付議事項における利益相反取引等に対し、経営陣・支配株主から独立した立場より、少数株主の意見を取締役会に適切に反映させ、当社の意思決定の公正性を担保することを目的に、ガバナンス委員会を設置しております。(ご参照:「コーポレートガバナンスに関する基本方針」第10条(公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置に関する方針))ガバナンス委員会は、独立社外取締役より選定される委員3名以上で構成し、委員長は独立社外取締役である委員の中から選定することとし、委員長及び委員は以下のとおりであります。委員長今井厚弘(独立社外取締役)委員 渡邉温子(独立社外取締役)委員 中島肇(独立社外取締役)委員 三山裕三(独立社外取締役)委員 鹿島静夫(独立社外取締役)ガバナンス委員会は、取締役会の諮問機関としての役割を担い、取締役会の諮問に応じて、以下の事項について審議、検討し、取締役会への答申を行います。(1)NTTグループとの取引基本方針の策定及び改訂(2)NTTグループと当社グループとの重要取引の事前承認及び事後検証(3)NTTグループと当社グループとの取引実績の検証(少なくとも毎年1回の実施を予定する)(4)前各号に定める事項に関連する開示内容の検討(5)その他、取締役会または当委員会が必要と判断した事項
その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
当社は、親会社である株式会社NTTドコモの顧客基盤及び行動データと当社が持つデータハンドリングノウハウを組み合わせたIDベース・一気通貫型マーケティングソリューションの提供を推進するにあたり、株式会社NTTドコモと一定の協力関係を保つ必要があると認識しており、データ連携及び事業シナジーの推進等を目的として、株式会社NTTドコモとの兼務取締役が2名就任しております。当社は、自ら経営責任を負って独立した事業経営を行っておりますが、事業運営における重要な事項については株式会社NTTドコモと協議、または報告を行っております。ただし、日常の事業運営では、相互に自主性・自律性を十分に尊重しつつ綿密な連携を保ち、持続的な成長及び発展を図り、業績の向上に努めています。当社は、NTTグループとは相互の自主性・自律性を十分に尊重しつつ連携を図るとともに、NTTグループとの取引等については「NTTグループとの取引基本方針」を策定し、ガバナンス委員会において適切に審議する等、取締役会にて決議しております。また併せて、監査等委員会において、取締役の職務執行が当該基本方針に従って適正に行われているかを監査すること等から、当社は、NTTグループからの独立性を担保する体制並びに少数株主保護の体制がそれぞれ維持されるものと認識しております。
インテージホールディングスがNTTグループの子会社となっている背景
1. 公開買付けの背景
- 市場環境の変化: 通信市場では、電気通信事業法の改正やMVNO(仮想移動体通信事業者)の普及、異業種参入など競争が激化している中、NTTドコモは通信事業にとどまらず、金融・決済、映像配信、エンタメなどのスマートライフ事業や新規領域(電力、メディカル、XR)の拡大を進めています。
- データ活用の重要性: デジタル化の進展により、マーケティング分野でのデータ活用が重要視されており、NTTドコモは9,600万人のdポイントクラブ会員データを活用し、購買動向の把握やマーケティング支援を強化しようとしています。
2. インテージホールディングスの強み
- マーケティングリサーチ: インテージホールディングスは、日本で唯一消費・販売の両パネル調査網を保有し、国内トップクラスのマーケティングリサーチ企業です。
- データ収集・分析能力: 全国の消費者や小売店に関する豊富なデータと、それを分析・価値化するノウハウを持ち、幅広い企業にマーケティング支援を提供しています。
3. TOBの目的とシナジー効果
- 一体的な事業運営: インテージが保有するデータハンドリング力とNTTドコモの顧客基盤や行動データを組み合わせることで、メーカーや小売業などのマーケティング課題を解決し、生活者のライフスタイル向上に貢献する新しいサービスを創出することを目指しています。
- マーケティングソリューションの強化: 両社の連携により、マーケティング分野でリーディングカンパニーの地位を確立し、企業や自治体への付加価値の高いサービス提供を実現します。
- 社会課題の解決: データ活用を通じて、社会的ロスを減らし、持続可能な社会の実現に貢献します。
4. 上場維持の方針
- 独立性と経営の自主性の確保: NTTドコモは、インテージの独自の企業文化や経営の自主性を尊重し、上場を維持する形で連結子会社化を目指しています。この方針により、資本提携による強固な連携を図りつつ、持続的な発展を支える体制を構築します。
5. 中長期的な展望
- 短期的目標: 両社の連携によるマーケティングソリューション領域の拡大とリーダーシップ確立。
- 中長期的目標: データ活用を通じた社会課題の解決や、企業価値の向上を目指し、デジタル社会における新しい価値創造を進める。
6. まとめ
NTTドコモによるインテージホールディングスのTOBは、両社の持つ資源を統合し、マーケティング分野での競争力を強化しつつ、データ活用による社会課題解決や新たなビジネス展開を目指す戦略的取り組みです。また、インテージの上場維持を通じた経営の自主性を確保しつつ、持続可能な成長を両立させることを目的としています。
TOBの可能性と投資戦略
- 2023年にNTTグループのTOBによって子会社化されている。
- 上場企業をTOBで子会社化したうえで、次に完全子会社にするために再度TOBをすることは行われることもあり、インテージホールディングスも再度のTOBの可能性は残る。
- 株価水準も2023年のTOB前の株価に戻っていることもあり、状況によっては株価が安いところで再度のTOBの可能性も否定できない。
- また、利回りも3%程度あることから、一定程度の配当を得つつ、TOBを期待しながら中期で保有する戦略もありだと考える。